三人の精霊と俺の契約事情
水竜討伐①
翼羽ばたく度に巻き起こる竜巻ーー地面を震わす咆哮。
秘密結社アルファのメンバーの前に現れたのは災厄の一つ竜ーー水竜。
「天才魔導士参上!! お嬢さんお困りでしょうか」
高笑いしながら屋敷から出てきたキルケー。
黒いとんがり帽子、黒いローブ、銀色の杖ーーお決まりの王道魔女スタイル。
「何が天才よ、変態女。 一人で伝説を倒せるわけないでしょ」
「伝説は、打ち砕かれるためにあるさ。今日がその日になるのだ」
杖を水竜に向けて腰に手を当て、高笑いしながらのけ反るキルケー。
「竜ーー初めて見たよ。 何て迫力なんだ」
アーサーは、竜を目の前にしその迫力と存在感に圧倒される。
「竜魔族ーーその名のとおり竜や幻獣などがそれに当てはまり、人間を超越する絶対的存在と言われています。倒す事より封印するのが一般的な対処方法ですね」
シルフィーが眼鏡を抑えながら自分の持っている知恵を披露した。
水しぶきと水竜が羽ばたく度に巻き起きる突風が皆を襲う。
「竜を相手にした事は今までにないですが竜の皮膚はありとあらゆる攻撃を回避すると言われているのだよ」
メイザースは髪の毛を抑えながら前屈みになり突風に耐えている。
「ひいい、 飛ばされちゃうの」
エルザは、アーサーにしがみ付いて飛ばされないように必死だ。
「凄い風と波。 エルザにまた障壁を作ってもらいましょうよ」
リサがアーサーにしがみ付いて喋る。
水竜が羽ばたきを強くして更に高く舞い上がると物凄い咆哮を轟かせたーー
水竜は口から冷気を吐き出しアーサー達を襲うーー
「エルザ。ーー障壁だ! 」
「なの! 大地の母ガイアよ 我にチカラを大地の障壁」
「氷には炎だな! この天才の魔法を篤とご覧あれ」
障壁の前に立ち襲い来る冷気の吹雪に向かい杖を出すーー
「灼熱旋風魔法! 」
キルケーの銀色の杖から爆炎が放たれ水竜が吹き出した冷気を食い止める。
「むむ、押し返される・・・ヤバッ」
水竜の吐き出した冷気の方が勢いが良くキルケーのファイヤーストームを打ち消すーー
「キルケーちゃん、障壁の中にーー」
メイザースが叫ぶ。
キルケーは、攻撃を止めると素早く障壁の中に身を隠した。
水竜の吐き出した冷気が障壁に直撃するーー
「くっーー凄い威力なの」
「エルザの大地の障壁でなければ吹き飛んでいたかも」
リサがぞっと寒気を感じていた。
「何とか動きを止めましょう」
メーディアは、再び障壁の外へと歩き出す。
「茶チビちゃんは障壁継続で頼むよ」
キルケーもメーディアの後を追うように出て行った。
アーサーは、何も出来ない自分が情けなく感じていた。
今までは何とか精霊たちのチカラを借りてどうにかなっていたが相手が少しでも強くなってしまえば自分なんてただボーッと安全な場所で立って見ているだけだ。
強くなったような気がしただけ。
自分自身は、何一つ変わっていない。
周りに助けられてそれを自分がやったように手柄にしてきただけだ。
悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい
弱い自分が嫌いだ。
悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい
すぐ諦める自分が嫌いだ。
悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい
出来ない事から逃げ出す自分が嫌いだ。
悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい
何も出来ない今の自分が大嫌いだ。
「アーサー様、どうしましたあ? なぜ泣いているのですか」
リサが心配そうにアーサーの顔を覗き込む。
「えっ? 涙。 ーー何でもないよ」
ーー 代わりなよ僕と ーー
「前にもこんな事が・・・」
「アーサーきゅん? 」
メイザースがアーサーの異変に気付いて様子を伺う。
ーー みんなを助けたいなら僕と代わればいい、君は力不足だ ーー
「やめろよ、俺は自分の力でみんなをーー」
アーサーは地面に崩れ、膝をついた。
「アーサー様? 」
「アーサーきゅん、どうしました」
ーー君では役不足だよ。 何も出来ないーー
「頭が割れるように痛い・・・」
頭を抱えてうな垂れるアーサー。
「アーサー様、 大丈夫ですか? 」
「メイザース様、治癒魔法を」
リサとシルフィーは心配でたまらない様子だ。
「アーサーきゅん・・・一体」
メイザースは、異変の正体を観察しながら探っているようだ。
「ぐっ、出て行ってくれ。話しかけないでくれ」
ーー自分では何も出来ないくせにずいぶんな事を言ってくれるねーー
「頭がーー」
より一層苦しみだすアーサー。
声の主が声を張り上げて言うーー
ーー僕の身体返してくれるかな ーー
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