三人の精霊と俺の契約事情
死闘ホーエンハイム①
波のように押し寄せる敵軍。
キャットハンズのメンバーは必死に戦った。
ある者は腕を折られ、ある者は血を吐き、ある者は、 足を引きずりながらそれでも国民や王宮を護る為に立ち上がった。
何度も・・・何度も・・・。
「隊長がきっと援軍を連れて帰って来てくれる。 後少しの辛抱だにゃ」
「めっちゃ辛えけど、俺らが諦めたら誰がこの国守んだよ」
「援軍が来るまで頑張るんだにゃん」
「にゃん!!」
キャットハンズは、お互いをお互いが励まし気持ちを切らさずにいた。
原動力は、メルルが援軍を連れて帰って来てくれるというその事だけが彼らにとって何よりの希望だった。
「隊長は、きっと大軍の援軍を連れて帰って来てくれるにゃ」
「メルル隊長、早く来てくれにゃ」
現実は残酷だったーー。
必死に凌いでいた彼らも限りが見えてきた。
三十人程居た兵士も一人、また一人と倒され遂に残り半分程になり周りを包囲されてしまった・・・
更に、キャットハンズが必死に壁となり守ってきた王宮へもクルセイダーズの魔の手が襲いかかろうとしている。
「メルル隊長ーー クソ!!まだかにゃ」
クルセイダーズ達はキャットハンズ達に向けて一斉に剣を向ける。
無数の刃が七人兵士に向けられている。
キャットハンズ達は、覚悟を決めたのか目を閉じ唇を噛み締めたーー
ーー メルル隊長ぉぉぉぉぉぉーー
クルセイダーズ達が動き出したその時ーー、
クルセイダーズ達の持っていた無数の剣が宙に舞い上がる。
その直後、バタバタとクルセイダーズ達はその場に倒れ剣は音を立てて地面に落ちた。
キャットハンズのメンバー達は何が起きたか分からずそっと目を開けるとそこには待ちに待っていた姿がそこにはあった。
ーー メルル隊長!!! ーー
「待たせたにゃん。遅くなって申し訳なかったにゃん」
「もう間に合わないと思いましたにゃ」
「援軍は何処に?」
「それは、その内分かりますにゃ。敵軍の攻撃きますにゃ」
クルセイダーズ達は魔法攻撃をメルルやキャットハンズ達に向けて一斉に放つ。
メルル達は、身構えている。
ーーーー!?
しかしーー目の前に茶色半透明な不思議な空間が現れ魔法攻撃を回避した。
「大地の障壁なの」
王宮の方向から一人の男がゆっくりと歩いてくる。
下を向き表情は伺えないがその男が歩いて来た道には無数のクルセイダーズ達が倒れている。
クルセイダーズは剣を持ちその男に襲い掛かる。
男は無反応だーー。
「ヤバイにゃ」
思わず三毛猫たまが大声をあげる。
しかしーーー、
「緊急炎障壁発動」
クルセイダーズの剣先が触れるか触れないかの瞬間に爆炎が上がりクルセイダーズは炎に包まれた。
「ーーーー!!」
更にクルセイダーズ達はその男に襲い掛かるが男は無反応にそのままゆっくりと歩く。
クルセイダーズ達は男に触れるか触れないかの瞬間にまたも爆炎に包まれ倒される。
「何なんだ? あの方は」
クルセイダーズ達はたまらず魔法攻撃をその男に放つーー しかしーー、
「大地の障壁なの」
茶色の半透明の障壁が魔法攻撃を回避する。
クルセイダーズ達が動揺している瞬間、その男は反撃に出る。
「アサルト ドライブ」
その男の右の掌には圧縮された気圧の塊が形成されていた。それを一気に解放しクルセイダーズ達数人を一斉に吹っ飛ばした。
「彼は一体何者にゃ・・・」
キャットハンズ全員が彼を見つめていた。
何より驚いたのは彼の隣をフワフワと三人の精霊が浮いていることだ。
「私の呼んだ援軍にゃん」
★ ★ ★
「もう大丈夫ですよ。月華の光(治癒魔法)」
ルナは、傷付いたキャットハンズの兵士の傷の手当てをしてあげていた。
「一人でこの軍勢を・・・メルル様この方は一体」
白猫ミントがあまりのアーサーの強さに驚く。
「ルナにゃんのお友達にゃん」
「それに、精霊を三体も宿しているように見えるにゃん」
三毛猫たまも驚きの表情を隠し切れない。
「私もここまでお強いとは思わなかったにゃん」
「まさかあのリサ、エルザ、シルフィーがこんなに逞ましく見えるなんて」
ルナも尊敬の眼差しをおくる。
アーサーは、またゆっくりとクルセイダーズ達は方向へと歩き出すと。
「かかって来いよ! 薔薇十字いい」
クルセイダーズ達に向け叫んだ。
その声は国中に木霊した。
顔を上げたアーサーは、怒りに満ちていた。
あまりの迫力にクルセイダーズ達は後退りする。
「散々こいつらの友情や人生をごちゃごちゃにしやがって絶対許さないからな」
アーサーの怒りの叫びに精霊たちは心打たれた。自分達の為にこんなにも本気で怒ってくれるこんなにも思ってくれていることに。
次々に襲いかかるクルセイダーズ達の軍勢にアーサーとメルル率いる数人のキャットハンズの兵士で対抗する。
「母なる大地の女神ガイヤよ 大地の障壁ーー」
「緊急炎障壁ーー発動!」
「吹き飛べ、アサルト ドライブ!」
アーサーと三人の精霊も鬼神のごとく活躍する。
「頑張るのにゃ! 確実に数は減らしてるのにゃ」
「この足が無くなろうとも、立ち上がりますニャ」
疲労困憊によりキャットハンズの持ち前のスピードが低下しクルセイダーズの魔法攻撃を回避しきれなくなっている。
「ぐはっ・・・」
「ニャンーー!!」
徐々にダメージが蓄積されていくキャットハンズ達。
「厳しい戦いにゃん・・・はあ、はあ」
百戦練磨のメルルも息を切らす。
「ぐはっーー クソォ」
「カスケードーー 大丈夫かにゃ」
メルルの後方でカスケードが血を吐き倒れ込む。既に限界を超え魔法攻撃を回避出来ずに真面に受けてしまったのだ。
「メルル・・・さ・・・スイマセ」
「カスケードおおおお」
カスケードは、倒れたまま目を閉じたーー。
「うわぁぁぁぁ」
メルルは、取り乱しクルセイダーズの軍勢に向かって突っ込んで行ったーー。
クルセイダーズの数は減少傾向にあるが、ホーエンハイムがは劣勢状態だ。
そしてーー遂に限界を向かえることになる。
ハア、 ハア、 苦しい・・・
爆音と悲鳴が交差する戦場、国民が逃げ惑う、頭がボーッとし思考が低下する。
何でこんなに苦しい?
「アーサー様、これ以上の魔法は危険です」
「あーさーさま? あーさーさまあ」
リサ、エルザが呼びかけるが反応がない。
「エルザ集中して障壁が剥がれてしまうわよ。リサ一度あなたの障壁を解除して、少しでもアーサー様の負担を軽くしましょう」
「うん」
「わかったなの」
そう言えば、前に注意された事があった
精霊の魔法は、パートナーの体力と気力と精神力そして愛のチカラを消費するって。
これだけ長い時間使い続ければ疲れるのは当たり前か・・・。
「アーサー様、お気を確かに。アーサー様?」
* * * * * * * * * * * * *
ハア、はあ、苦しい・・・。
何で俺こんな思いまでして他人(ひと)の国守ってんだ?
別に俺が守ってやる必要ないよな?
だって俺ほら、誰にも期待とかされてないから。
みんな俺のこと必要ないよね。
落ちこぼれの役立たずだから・・・
戦うの辞めていいよね?
みんなどうせ助からない。
だって・・・苦しいんだ。
辛いんだ、怖いんだ、みんな死ぬんだ。
ーー アーサー様ぁ ーー
誰かの声が聞こえてた気がする・・・
ーー しっかりして下さいーー
誰・・・
ーー あーさーさま ーー
俺は、強くなった気でいただけ。
俺は何も出来ないし、誰も助けられない。
俺は、あの時のままだった・・・
ーー 誰か、俺を助けて ーー
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