三人の精霊と俺の契約事情
ホーエンハイム
ある晩の宿屋での出来事ーー、
「メルル、分かってると思うけど本当に時間がないのよ。この国にいる時間が勿体無いわ。違う国に行って援軍を頼むとかした方が良いわよ」
メルルは、ルナの話を聞いているのかいないのか全く興味がないような態度をとっている。
「メルル、聞いているの? もっと真剣にーー」
「ルナ、結局何処の国に行っても同じにゃん。 助けても何もメリットもないにゃん。ウチの国には報酬を払う対価も資源もないにゃん」
「・・・ならせめて帝国に」
メルルは、首を横に振りながら肩を落とした。
「噂でしかにゃいけど、新聖教のバックに帝国の人間が関与しているらしいのにゃん。ウチのような小さな国にゃんて見殺しにゃん」
「じゃあ、ギルドで冒険者やフリーの騎士を集めて・・・」
「帝国を敵に回す馬鹿はいないにゃん」
「じゃあどうすればいいの? 何のためにはるばるこんな何処まで来たの?」
ルナは落胆して肩を落とし表情を暗くする。
「友達に頼めば良いにゃん」
ルナは驚き目を丸くしながらメルルを見た。
「ルナには友達がいるにゃん。一緒に来てもらうようにお願いするにゃん」
「何言ってるの? 私には友達なんていないわよ」
「そう思ってるだけにゃん。それとも国よりも自分のプライドのが大事にゃん? 終わったことは過去のことにゃん。今は過去は水に流し前に進むことのが大事じゃにゃいの」
「メルルあんた最初から・・・ハメたわね」
「人聞きが悪いにゃん。彼女たちのせいにしたいのも分かるが・・・守れなかったのは全て自分にチカラがなかったからじゃにゃいの?覚悟が足りにゃいんじゃにゃいの?何かを棄てる覚悟がなきゃ守りたいものは守れないにゃん」
「・・・わかってるわよ」
図星を突かれ唇を噛むルナ
「はーい、お終いニャン。コショコショしてにゃんルナあ」
メルルは猫のようにゴロゴロ布団に転がる。
「・・・・・」
ルナは目を細くして冷たい視線をメルルに送っていた。
「早くしてにゃん」
★ ★ ★
何時も通り朝起きて、顔を洗い朝御飯を食べて歯を磨く、するとーー、
「あーさーさまあああ、おはようございますう」
などと言いながら精霊たちが起き出す。
ちゅ、チュッ、ちゅーーーっぽん。
「ーー 吸い付くなエルザ」
これも日常茶飯事の一幕だ。
そして、この後は何時も通り隣の喫茶店に向かうのが日課だ。
しかしーー 今日は違った・・・。
店の前に人影が立っている。
「おはようですにゃん」
メルルとルナが待っていたかのように立っていた。ルナはこっちを見るとペコっと頭を下げた。
「二人揃って朝から喫茶店? 俺らも丁度今来たところなんだ」
メルルは、ニコッと微笑むとルナに視線を送った。ルナはその視線を感じとるとモジモジしながらこちらに視線を送った。
「えっ・・・お話があって待ってたの、少しの間でいいから話を聞いてほしいです」
「どういうつもり?」
リサが突っ掛かったがーー、
「とりあえずみんな中に入ろうか」
アーサーがそれを制止ゾロゾロと中に入って行った。
メルルが入る途中で、こちらを向きウインクしてきた。まるで空気が読めるにゃんとでも言うかのように。
「あら。みなさんお揃いで仲がよろしいですね」
ウエイトレスのミーナが笑顔でみんなを出迎える。
三人の精霊とルナは一向に目を合わせず席に向かう。
アーサーはいつも通りに奥の窓際に座る。
同じように精霊たちもテーブルにちょこんと座った。メルルは、カウンター席を諦めきれないのか横目で見ながら残念そうに座ったのだった。
「ーーっで。何の用なわけ? ルナ」
やはり啖呵を切るのはリサだ。
「え・・・と・・・何から話せば」
話がまとまってなかったのか、それとも昨夜のメルルの一件で同様したのかおどおどしているルナ。助けを求めるようにメルルを見る。
やれやれといった様子でメルルが語り出した。
「まずは、改めて私はメルル。ここより南東の小さな国 ホーエンハイムの騎士ですにゃん」
全くもってそんな感じには見えなかったので騎士と言われて意外だった。
「我々の国は今、非常に危険な状態にあるのですにゃん」
ーー 危険な状態・・・ーー
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