三人の精霊と俺の契約事情
彼女たちの夢②
精霊族と悪魔族は対処的な存在である。
精霊族は基本的に女性しか生まれないとされている。
そして、人間と契約を交わし初めて本来の自分の持つ潜在能力を発揮出来る。
対処的な悪魔族は、基本的に男性しか生まれない。
悪魔族は、あることをきっかけに魔力を高めることができるのだ。
それはーー 精霊と口づけを交わすと精霊の持つ魔力を奪うことができるというものだ。
悪魔族と口づけを交わした精霊は、精霊ではなくなり悪魔に成り下がってしまう。
悪魔族と口づけを交わした精霊は死んでも消えない十字架を背負うことになる。
悪魔族はチカラが欲しいが為に頻繁に精霊狩りを行っているのだ。
普段は、世界樹の加護により悪魔族の進入出来ないが、一歩世界樹の加護から出てしまえば即餌食になりかねない。
悪魔族は、今か今かと世界樹の周りを頻繁に彷徨いているのだーー。
★ ★ ★
「あなた達、足引っ張らないでね」
「ルナ! そうゆう言い方しないの。せっかく同じチームなんだからみんな仲良く協力してやろうね」
「ミリアは優し過ぎるんだよ。もう!」
ミリアは、茶色の髪でふんわりボブカットの清楚な雰囲気を出している。世話好きでルナとミリアは幼なじみで凄く仲が良い。
いつも二人でいて気の強いルナは、周りから反感を買いやすいがミリアがいつもサポートして揉め事がおきない。
ミリアの前だとルナも大人しくなってしまうほどミリアは、みんなの心を癒してくれる存在なのだ。
「私とミリアで攻撃を仕掛けるわ。エルザとリサは、障壁準備ね。シルフィーは、私とミリアの援護をしてちょうだい」
「・・・私の・・その」
リサは、障壁の事を言いかけた時だった・・・。
「ーー ルナ来るわよ!!」
「エルザ!ーー 障壁準備!!」
「えっ? えっ? なの、なの」
エルザは、パニックになり何をどうして良いのか分からなくなっている。
「ーーーーっ、リサ!」
エルザのパニックぶりに無理だと判断しリサに障壁をお願いする。
しかし ーー、
????!
「ーー リサ?? 」
ルナが振り返るとリサは、下を向きぼーっと立っている。
無理も無い。リサの障壁は物理的な条件下の中でないと発動出来ないのだ。
それを説明しようと思って最中の襲撃だったのだ。
ミリアが何とか敵の攻撃を回避させた。
ルナが怒りを露わに振り返ると、
「どういうつもりなの?! ヤル気がないの?あなた達がそういう態度ならこっちはどうすれば良いわけ? 」
鬼の形相でエルザとリサを睨み付けルナが怒鳴り散らす。
「今のは流石に私もフォロー出来ないわよ」
ミリアも肩をすくめて呆れた表情をする。
「・・・けど・・・私の・・・」
リサが申し訳なさそうに弁解をしようとするが、
「ーー 言い訳なんて聞きたくない!!
ミリアと二人で勝手にやらせてもらうわ」
リサ達は、その言葉に対して何も言い返せなかった。
「ごめんなさいね。私もルナの意見に賛成なの。やる気のない人達とはやりたくないわ。あなた達はここで見学していて良いわよ」
そう言い残しルナの元に駆け寄り二人で仲良く何やら作戦でも立てているようだった。
取り残された三人は置物のように静かにただ呆然と立ち尽くしていた。
その時だーーーー
物凄い爆音が森全体を震わせるように響き渡り、 女性の悲鳴が木霊した。
「ーーーー!!」
演習中の学生達もこれはただ事ではない事をすぐ判断した。
ーー 今の悲鳴と爆音は如何に ーー
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