三人の精霊と俺の契約事情
契約の押し売り
「魔法が使えるようになりたいんでしょ」
「ーー本当に使えるようになるのかよ」
「ええ。 私と契約すればね。だから、今すぐ私と契約しなさいよ」
リカちゃん人形または、玩具のフィギュアのような大きさの赤い髪の毛の精霊がふわふわと浮いている。
何故か分からないが、やけに焦っているような気がするのはどうしてだろう?
精霊は、顔を近づけて来て、
「 契約するの?しないの?ハッキリしなさいよ」
「し・・・します」
完全に強引に押し切られた形だ。
「ーーところで、契約ってどうやるんだ」
「 接吻よ 」
精霊は、恥じらいもなく普通に言った。
「・・・やめておく」
じゃあーーと、精霊に背を向け帰って行こうとするアーサー。
「ちょっ・・・ちょっと待ってよ。何で? 何でよお」
精霊は、何かに追われるようにあたふたと焦りだす。
「何で俺が、お前とキスしなければならないんだよ」
「だってえ、 仕方ないじゃない。精霊との契約は人間と精霊との繋がりで接吻って決まってるのよ。とにかく早くちゃちゃっとしちゃいなさいよ」
精霊は、焦りを抑え切れなく強く乱れた早口になっている。
まるで、何か恐ろしいモノにでも追われているかのように。
「・・・お前さっきからやけに焦ってないか? 何故そんなに急がる。何か企んでるんじゃないか」
アーサーは、目を細めてじーっと精霊を見つめた。
精霊は、アーサーの視線から目を逸らし明らさまに困った顔になった。
「お前、絶対ウソだろ?魔法が使えるように本当は、ならないんだな」
「魔法は、使えるようになるわよ!それは本当よ。契約の接吻も事実よ」
私は、無実よと言わんばかりの弁解をしてきた。
「ーーじゃあ、何焦っているんだよ」
アーサーが精霊に問いかけた時、精霊は顔に手を当て首を振りながら肩を落とした。
不思議に思いアーサーが振り返るとーー。
「リサ、自分だけ抜け駆けしようなんてダメなの」
「ふふふーー見つけたわよ。リサぁズルしようなんて駄目な子ですわ」
何処からとも無く二人の精霊が現れたーー
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