桜雲学園の正体不明《アンノウン》

美浜

21話 正体不明からの脱却?

 今日は木曜日だ。

 何が言いたいのかって?
 この学園に転校してきて4日目だってことだよ。
 


 この4日間で俺の生活は大きく変わった。

 その内の一つである用事を今からしようと思う。





「失礼します」


 俺が今いるのは生徒棟の4階、生徒会室だ。


「うん、よく来たね。別に毎日来る必要は無いんだよ。何かあったときに報告に来るだけでいいんだ」

「その、何かがあったとすれば?」

「··········そうか、なら聞こう」


 いや、すいませんね会長。
 別に大したことじゃないんですけどね。
 でも、こうでも言わないとちゃんと対応してくれなさそうだから、しょうがないよね?
 

「その前に、俺は明日は何かするべきですか?」

DOP ドップのことかい? それなら、安心していいよ。君のやりたいようにしてくれて構わない」

「そうですか、それじゃ報告のことなんですけど、別に大したことじゃないんですが、今日、風花ふうかさんが休んだんですよ」

「それがどうかしたのかい?」 

「今日休んだのは無断だったらしくて、よくあることらしいんです。それに、たまにふらっとどっかに行っちゃうこともあるとか」

「ふむ、それじゃ石崎いしざき君は白鳥しらとりくんが犯人だと、そう言いたいのかい?」

「違います!」

「じゃあ何でそんなことを僕に?」

「なんでも会長さんは、相手のタレントが分かってしまうとかなんとか」

「それで?」

「俺のタレントが何なのか教えてくれませんか? 会長は知っているんでしょう?」


 今日、俺が生徒会室に来たのはこの事を聞くためだ。
 明日のDOP に向けて少しでも自分のタレントの情報が欲しい。
 

「つまり、取引がしたいと」

「そういうことです。会長の力を少しでもいいんで借りたいんです」

「ん~~」


 迷った素振りを見せたあとに


「まあ、いいよ。最初はこっちから頼んだわけだし、その代わり石崎君は情報を提供すること。でも、ちょっとだけだよ? これでも僕は忙しいんだ」


 よし!
 これでやっと俺のタレントが分かるんだ。


「まぁ、早速なんだけどね。石崎君の言うとおり僕のタレントは相手のタレントが分かるって奴だ。これはみんなには内緒だよ? それでね、結果を言うと·······」


 なんだ? なんだ?
 どんなすごい・・・タレントなんだ?

 ヤバい、むっちゃ緊張する。
 授与式の前の時と同じくらい今は緊張している。
 あのときはタレントが分からなくてとりあえずで正体不明アンノウンになったけど、今日でこの称号ともおさらばだ。


「あっ、ごめんね。なんか盛り上がってるところ悪いんだけど.......」


 えっと、まさか......まさかね?
 これでショボい奴だったらどうしよう?

 まだ、正体不明の方が神秘的な感じでかっこいいんだけど......

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