桜雲学園の正体不明《アンノウン》

美浜

10話 タレント授与式

 ラプルさんについていき、普段は通れないという階段を上って部屋へ入った。


「ではこれから、タレント授与式を始める。······といってもそんなに堅苦しいものではない、楽にするといい。それに、すぐ終わる」


 そんなことを言われても俺の前には、何に使うのかまったく見当のつかない機械が多く並んでいて、とても落ち着ける状況ではなかった。


「終わったぞ」

「えっ? もうですか?」


 本当に早い。部屋に入ってからまだ1分程しか経っていない。
 

「考えてもみろ。いちいち時間をかけていたら、1学年1000人もいるこの学園で、いつまでたっても終わらないじゃろ」


 それもそうだな。ラプルさんの言うことには一理ある。


「それで、俺のタレントはどんなものなんですか?」
 
「ん......なんというか、わからんのう」

「えっ? なんで?」

「わしも初めて見るタレントじゃ、そもそもどんなものか見当がつかない」


 そういって、渡されたカードは真っ黒で何も書かれていなかった。


「本来、タレントはその特性により色を変えて出るものだが、このカードはどんな能力を持っているかわからぬ。機械の不調は······ないはずだからのう。そういう能力なのか、もしくは......」


 最後の方は小さい声であまり聞こえなかったけど、どうやら俺のタレントは特殊らしい。


「とりあえず、お主のタレントは正体不明アンノウンと名付けよう。何かあればわしに言うがよい」

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