チェガン
戦いの末に
   〜屋敷内〜
  三人で激しい攻防を繰り広げている。
  片方が攻撃を仕掛ければもう片方は避け、カウンターを仕掛けまた避ける。
  ヒュースとソフィアが仲間(と思いたくはないが)だが、手を組んで戦うなどはよっぽどがない限りはしない。
「おいおい、どうしたヒュース?そんなものか?お前の『チェガン』も役に立たないポンコツだな」
「はぁ?!ざけんなよ!お前もいつも通りの動きができないじゃないか!どうした?やっぱり、『女の子』を殺すことに躊躇か?実はムッツリか...って、あっぶね!」
  横からいきなり目の前に当たったらやばそうな蹴りが空中で襲ってきた。
「あぁ〜、悪い悪い心底うざい声が耳についたものでな、敵の応戦かと思った。」
  戦いながら言い争ってしまうのは、あいつがうるさいから仕方が無いだろう。そんなことより少年の戦い方、武器は大体は把握出来てきた方だろう。
  少年の武器は、短剣と長剣。あとは格闘センスだ。主体として使っているのは、短剣(小さめなナイフ)だ。後は、スピードを活かし相手を少しづつ削っていっている。
(意外に厄介な戦い方をする...一発で狙いに来てくれれば隙を狙いやすいが...) 
  壁をつたって背後に回り込み狙いに行った。だが、後ろに目でもついているのか冷静に横へと避けられカウンターをくらいそうになる。
  体を捩らせ避けたが少し掠ってしまった。が、致命傷は避けられた。
(落ち着いている...慌てる様子もなければ冷静に相手の動きを見切っている。)
(...ソフィアでも無理なのか...?相手はスピードもあり戦闘能力も高い、でも、俺よりは遅いだろ!)
  ヒュースが相手の真正面からすごいスピードで近づき、まず武器を落とそうとしたが、それをすれすれでかわされナイフがヒュースの腕を掠った。
  もう一回近づけば次はやられるだろう。
(武器も落とせないか...つーか、こいつ俺の動きを読んでないか?てか...)
((俺達の動きが読まれてる?))
  ソフィア達の考えを悟ったのか少年は口を開いた。
「...お前達の戦い方は単調だ。こんな動きならたやすく避けられる。」
  糞ガキが。
  イラつきはしたがこいつとの会話は最低限にしないとこっちの策がバレる可能性がある。
  それに、こいつの言葉は今の状況を把握するのに最低限必要。そのため無闇に言葉を発さない方が良いだろう。
「お前らはエレナを泣かした...許さない」
  少年からはすごい黒い今にも食われそうな殺気が放たれている。
さっきまでとは桁違いだ。
「これ、まずいな。」
「涼しい顔でいうことかよ...」
「もとがこんな顔だから仕方ねぇーだろ」
  ソフィア達三人が睨み合っている。
  相手の出方次第で戦況が変わる。
(どう出る...あいつは一体...)
「なぁ〜、ソフィア」
「...なんだ」
「お前...もうそろそろ武器使ったらどうだ?」
「あぁ?」
  ヒュースを睨みつつ、考えている。
「だって、流石のお前でもこのままやっていてもこっちがやばい。」
「俺は武器は使わん...ここに入ってから使ってないしな、腕がなまっている可能性がある。それに...」
「それに?」
  少しヒュースを見たあと。
「それに、今回は『殺し』じゃない、『時間稼ぎ』だ。武器を使わなくても構わん」
ぴくっ
  
「時間稼ぎだと?」 
  少年は先程のソフィアの言葉が気に入らなかったのか鋭い眼光で二人を睨んだ。
「そうだ。時間稼ぎだ。お前を殺すだけだったらもう終わってる」
「だよなぁ〜。ニシシ」
  手を頭の後ろで組んで軽く言った。
...こういうところも気に食わん。
「ふざけるなよ...じゃ〜お前らからその余裕を無くしてやる。そして、殺す」
  すごい形相だ。
油断したら本当に殺される
真正面から相手がくる。
ニヤッ
「これを待っていた。」
「何?!」
  目の前から白い髪の奴が消えたと思ったら
「な?!」
  次の瞬間、少年の背中にすごい衝撃がきた。
「がはっ?!」
ドン!
「捕らえろ!ヒュース」
「命令すんな!」
  手を後ろに回し、体を抑え上に乗った。
「はなせ...」
「誰が離すかよ」
「確かになぁ〜せっかく捕らえたのに」
  ソフィアが少年の後ろに周り蹴りを食らわせたあと、ヒュースが間髪入れずに床にねじふせ動けないように上に乗っている。
  腕からナイフを外し手の届かないところへと投げた。
  これではさすがのこいつでも動けないだろうと安堵した。が、少年は怒りの声を上げまだ抵抗を続けようとする。
  
「はなせぇーー!!」
  今までにないほどの声を出した。のと同時に、ヒュースの手から逃れようと体をよじらせている。
「は?!お...おい!それ以上動いたら?!」
「エレナを泣かせたやつは、絶対に許さない!」
「っ?!はなせヒュース!」
「うわ?!?」
  ソフィアに引っ張られた。
  視界には長剣。
  
「どわ?!がっ...」
「ちっ!あいつ...」
「はぁ〜...はぁ〜...」
  息を切らせながら片腕を抑えている。
「自分の腕を犠牲にしてヒュースから逃げやがった...」
(それに、油断してたとはいえ、ヒュースにダメージを与えに来ていた。少しでも気づくのが遅かったら...)
「くそっ!」
「悪い、油断した。」
  しかめっ面ですごく怒っている。
「...テメーの唯一誇れる顔に傷がついたら、誇れるところがなくなって可哀想だから仕方なくやったことだ。」
「...そうだよなぁ〜、唯一誇れる顔が...って!てめ!!唯一とはどゆことだ!!」
「うわっ、今頃?おそ...」
「あんだとー!!」
  怒りながらヒュースはソフィアに殴りそうになる。
「ふん...」
「...ちっ」
  立ち上がり戦闘態勢に入る。
(ムカつくが、こいつの声が無かったらやられてたかもしれねぇ...感謝...しないとならないな...)
ちら......チラチラ...
「何見てんだ。うぜぇ...」
「〜〜?!なんでもねぇーよ!」
(やっぱり、感謝なんかしてやらねぇー!!)
「殺す...殺す...」
  少年は小さく呟いている。
ソフィア達からは目を絶対に離さない。
(隙がねぇーな...)
コソッ
「なぁ〜、時間稼ぎはいつまでやればいいんだ?流石にもうそろそろ...」
「そうだな...流石に限界だな...俺たちだけで『時間稼ぎ』は難しい」
「だよなぁ〜...」
「殺す!!」
  少年はさっきまでとは比ではないくらいのスピードで向かってきた。
「っぶね?!」
「っち!」
  あともう少し反応が遅れていれば多分、かすり傷程度ではすまなかっただろう。
「時間稼ぎをしている暇があるのか?お前らに!」
  さっきと同じスピードで今度はソフィアに向かって仕掛けた。が、ソフィアは動こうとはせず落ち着いた口調で言い放った。
「いや、もう稼がなくていいらしい。」
  ソフィアが口を開いたのと同時に少年が仕掛けた長剣は、目の前で止まった。
「な...なに?!」
  体には鎖が巻かれており動きを封じられた。
「なんだ...これは...」
こつ...こつ...
廊下の方から人の足音が聞こえる。
「間に合いましたか??」
  廊下から現れたのは、大きめのパーカーを着てフードをかぶって、長めの前髪で右目を隠している人。
そして、その人の袖口から鎖が出ていて掴んでいる。
「遅い...」
「もう少し早く来て欲しかったかな」
「すいません...これでも走ったんですけどぉ...ところで、この人でよかったんですか?アルカが言ってたのは...」
「!!離せー!!!」
  鎖から抜け出ようともがくが...
「うわっ!すごい力...やめてください、そんなことしてもあなたの体が傷つくだけですよぉ〜」
  そう言うと腕を後に引いて鎖をきつくしめた。
「がはっ?!」
  少年は抜け出そうとしているが動けば動くほど鎖は体へとくい込んでくる。徐々に動きが弱まっていく少年を見て、もう問題は無いだろうと判断しソフィアは口を開いた。
「そいつであってる。さっさとやれ」
「了解致しましたぁ〜。」
  少し笑いながら鎖を握りしめている。
  いつもだが、この状況でその顔かよ。わらえねぇっつーの...。
「ちょっと、前の方を向いてもらっても構いませんか?」
「なに?!」
「前を向いてください。死にたいんですか?」
  無理やり前を向かそうと鎖を引いた。
「がっ...!!」
「早く」
  すごく冷たい目で少年を見た。
少年は驚いて、言われた通り前を向いた。
  そこには、人が立っていた。
髪は短くて、片方だけ短いマントを羽織っている。
  それだけだったら普通だが、顔の方を見てみるとそいつは目をつぶっている。
「目...開けてもいいよ」
「...わかりました」
すっ...
  ゆっくり目を開けた。
目があったと思った瞬間、そこで少年の記憶は途絶えた。
  三人で激しい攻防を繰り広げている。
  片方が攻撃を仕掛ければもう片方は避け、カウンターを仕掛けまた避ける。
  ヒュースとソフィアが仲間(と思いたくはないが)だが、手を組んで戦うなどはよっぽどがない限りはしない。
「おいおい、どうしたヒュース?そんなものか?お前の『チェガン』も役に立たないポンコツだな」
「はぁ?!ざけんなよ!お前もいつも通りの動きができないじゃないか!どうした?やっぱり、『女の子』を殺すことに躊躇か?実はムッツリか...って、あっぶね!」
  横からいきなり目の前に当たったらやばそうな蹴りが空中で襲ってきた。
「あぁ〜、悪い悪い心底うざい声が耳についたものでな、敵の応戦かと思った。」
  戦いながら言い争ってしまうのは、あいつがうるさいから仕方が無いだろう。そんなことより少年の戦い方、武器は大体は把握出来てきた方だろう。
  少年の武器は、短剣と長剣。あとは格闘センスだ。主体として使っているのは、短剣(小さめなナイフ)だ。後は、スピードを活かし相手を少しづつ削っていっている。
(意外に厄介な戦い方をする...一発で狙いに来てくれれば隙を狙いやすいが...) 
  壁をつたって背後に回り込み狙いに行った。だが、後ろに目でもついているのか冷静に横へと避けられカウンターをくらいそうになる。
  体を捩らせ避けたが少し掠ってしまった。が、致命傷は避けられた。
(落ち着いている...慌てる様子もなければ冷静に相手の動きを見切っている。)
(...ソフィアでも無理なのか...?相手はスピードもあり戦闘能力も高い、でも、俺よりは遅いだろ!)
  ヒュースが相手の真正面からすごいスピードで近づき、まず武器を落とそうとしたが、それをすれすれでかわされナイフがヒュースの腕を掠った。
  もう一回近づけば次はやられるだろう。
(武器も落とせないか...つーか、こいつ俺の動きを読んでないか?てか...)
((俺達の動きが読まれてる?))
  ソフィア達の考えを悟ったのか少年は口を開いた。
「...お前達の戦い方は単調だ。こんな動きならたやすく避けられる。」
  糞ガキが。
  イラつきはしたがこいつとの会話は最低限にしないとこっちの策がバレる可能性がある。
  それに、こいつの言葉は今の状況を把握するのに最低限必要。そのため無闇に言葉を発さない方が良いだろう。
「お前らはエレナを泣かした...許さない」
  少年からはすごい黒い今にも食われそうな殺気が放たれている。
さっきまでとは桁違いだ。
「これ、まずいな。」
「涼しい顔でいうことかよ...」
「もとがこんな顔だから仕方ねぇーだろ」
  ソフィア達三人が睨み合っている。
  相手の出方次第で戦況が変わる。
(どう出る...あいつは一体...)
「なぁ〜、ソフィア」
「...なんだ」
「お前...もうそろそろ武器使ったらどうだ?」
「あぁ?」
  ヒュースを睨みつつ、考えている。
「だって、流石のお前でもこのままやっていてもこっちがやばい。」
「俺は武器は使わん...ここに入ってから使ってないしな、腕がなまっている可能性がある。それに...」
「それに?」
  少しヒュースを見たあと。
「それに、今回は『殺し』じゃない、『時間稼ぎ』だ。武器を使わなくても構わん」
ぴくっ
  
「時間稼ぎだと?」 
  少年は先程のソフィアの言葉が気に入らなかったのか鋭い眼光で二人を睨んだ。
「そうだ。時間稼ぎだ。お前を殺すだけだったらもう終わってる」
「だよなぁ〜。ニシシ」
  手を頭の後ろで組んで軽く言った。
...こういうところも気に食わん。
「ふざけるなよ...じゃ〜お前らからその余裕を無くしてやる。そして、殺す」
  すごい形相だ。
油断したら本当に殺される
真正面から相手がくる。
ニヤッ
「これを待っていた。」
「何?!」
  目の前から白い髪の奴が消えたと思ったら
「な?!」
  次の瞬間、少年の背中にすごい衝撃がきた。
「がはっ?!」
ドン!
「捕らえろ!ヒュース」
「命令すんな!」
  手を後ろに回し、体を抑え上に乗った。
「はなせ...」
「誰が離すかよ」
「確かになぁ〜せっかく捕らえたのに」
  ソフィアが少年の後ろに周り蹴りを食らわせたあと、ヒュースが間髪入れずに床にねじふせ動けないように上に乗っている。
  腕からナイフを外し手の届かないところへと投げた。
  これではさすがのこいつでも動けないだろうと安堵した。が、少年は怒りの声を上げまだ抵抗を続けようとする。
  
「はなせぇーー!!」
  今までにないほどの声を出した。のと同時に、ヒュースの手から逃れようと体をよじらせている。
「は?!お...おい!それ以上動いたら?!」
「エレナを泣かせたやつは、絶対に許さない!」
「っ?!はなせヒュース!」
「うわ?!?」
  ソフィアに引っ張られた。
  視界には長剣。
  
「どわ?!がっ...」
「ちっ!あいつ...」
「はぁ〜...はぁ〜...」
  息を切らせながら片腕を抑えている。
「自分の腕を犠牲にしてヒュースから逃げやがった...」
(それに、油断してたとはいえ、ヒュースにダメージを与えに来ていた。少しでも気づくのが遅かったら...)
「くそっ!」
「悪い、油断した。」
  しかめっ面ですごく怒っている。
「...テメーの唯一誇れる顔に傷がついたら、誇れるところがなくなって可哀想だから仕方なくやったことだ。」
「...そうだよなぁ〜、唯一誇れる顔が...って!てめ!!唯一とはどゆことだ!!」
「うわっ、今頃?おそ...」
「あんだとー!!」
  怒りながらヒュースはソフィアに殴りそうになる。
「ふん...」
「...ちっ」
  立ち上がり戦闘態勢に入る。
(ムカつくが、こいつの声が無かったらやられてたかもしれねぇ...感謝...しないとならないな...)
ちら......チラチラ...
「何見てんだ。うぜぇ...」
「〜〜?!なんでもねぇーよ!」
(やっぱり、感謝なんかしてやらねぇー!!)
「殺す...殺す...」
  少年は小さく呟いている。
ソフィア達からは目を絶対に離さない。
(隙がねぇーな...)
コソッ
「なぁ〜、時間稼ぎはいつまでやればいいんだ?流石にもうそろそろ...」
「そうだな...流石に限界だな...俺たちだけで『時間稼ぎ』は難しい」
「だよなぁ〜...」
「殺す!!」
  少年はさっきまでとは比ではないくらいのスピードで向かってきた。
「っぶね?!」
「っち!」
  あともう少し反応が遅れていれば多分、かすり傷程度ではすまなかっただろう。
「時間稼ぎをしている暇があるのか?お前らに!」
  さっきと同じスピードで今度はソフィアに向かって仕掛けた。が、ソフィアは動こうとはせず落ち着いた口調で言い放った。
「いや、もう稼がなくていいらしい。」
  ソフィアが口を開いたのと同時に少年が仕掛けた長剣は、目の前で止まった。
「な...なに?!」
  体には鎖が巻かれており動きを封じられた。
「なんだ...これは...」
こつ...こつ...
廊下の方から人の足音が聞こえる。
「間に合いましたか??」
  廊下から現れたのは、大きめのパーカーを着てフードをかぶって、長めの前髪で右目を隠している人。
そして、その人の袖口から鎖が出ていて掴んでいる。
「遅い...」
「もう少し早く来て欲しかったかな」
「すいません...これでも走ったんですけどぉ...ところで、この人でよかったんですか?アルカが言ってたのは...」
「!!離せー!!!」
  鎖から抜け出ようともがくが...
「うわっ!すごい力...やめてください、そんなことしてもあなたの体が傷つくだけですよぉ〜」
  そう言うと腕を後に引いて鎖をきつくしめた。
「がはっ?!」
  少年は抜け出そうとしているが動けば動くほど鎖は体へとくい込んでくる。徐々に動きが弱まっていく少年を見て、もう問題は無いだろうと判断しソフィアは口を開いた。
「そいつであってる。さっさとやれ」
「了解致しましたぁ〜。」
  少し笑いながら鎖を握りしめている。
  いつもだが、この状況でその顔かよ。わらえねぇっつーの...。
「ちょっと、前の方を向いてもらっても構いませんか?」
「なに?!」
「前を向いてください。死にたいんですか?」
  無理やり前を向かそうと鎖を引いた。
「がっ...!!」
「早く」
  すごく冷たい目で少年を見た。
少年は驚いて、言われた通り前を向いた。
  そこには、人が立っていた。
髪は短くて、片方だけ短いマントを羽織っている。
  それだけだったら普通だが、顔の方を見てみるとそいつは目をつぶっている。
「目...開けてもいいよ」
「...わかりました」
すっ...
  ゆっくり目を開けた。
目があったと思った瞬間、そこで少年の記憶は途絶えた。
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