色彩を宿す者たち〜銀を宿した少女(元青年)は異世界を生き抜く〜

スーノ

第十九話 謎の水晶眼球と後半戦

ーその変化が終わると同時に水晶眼球の円がチェンソーの刃のように回転し始め、球体状の本体も高速で横回転し始め、冷夜達に迫る

その回転があまり速過ぎるせいか回転する刃は熱を発しその辺りの空気が歪んでおり、本体の球体が進んだ進路は焦げ臭い匂いを発して僅かに溶けている

ー《銀天魔導》"銀氷烈波"
冷夜が銀色に輝く氷の波を放ち、高速回転する水晶眼球を迎え撃つ

ー《金天剣帝技》"剣帝金斬"
銀の波で水晶眼球の回転が鈍ったところへ、春斗が金色の斬撃を放つ

二つが激突し、水晶眼球の回転する体と春斗の大太刀が擦れ合い耳障りな音を立てる中、奏が駆ける

ー《黄天魔鎚技》"黄氷破鎚撃"
巨大水晶に到達すると同時に鎚に黄氷を集め巨大化され思いっきりぶん殴る

ガッシャァァァン

その瞬間、ガラスを破る音を何倍にもしたかのような音が鳴り響き……

「……っ」

まるで衝撃がそのまま返されたかのように奏の戦鎚が揺れ黄氷と共に砕け散り、黄氷の礫をその辺り一帯に降り注がせる

ー《固有武装:鍛治王の黄鎚》
《黄天魔鎚技》"黄炎鎚撃"
当然、その場に居る奏にも礫が猛威を振るうが、奏は咄嗟に武器である黄鎚を再召喚してそのまま黄炎を纏わせ、自身に降り注ぐ礫を的確に対処していく

その一人が動けなくなっている間に水晶眼球が動く

ー水晶眼球は嫌な音を鳴らす円を再度分離させ、その分離させた片方で地面を叩きその場を離脱し、奏の方向に突進する

だが、そのような行動を許す冷夜と春斗ではない

ー《銀天魔導》"銀天翼"
《銀魔導剣技》"銀姫天翼斬"
冷夜が銀色の翼を展開して跳躍、そのまま上空から高速で回り込み、六翼と双剣に白銀の光を纏わせ、そのまま水晶眼球を思いっきり斬り付ける

ー〈瞬間機動〉
《金天剣帝技》"剣帝金極斬"
春斗はその場に万物踏破の靴の能力で一気に加速して、水晶眼球に回り込み白金の斬撃を放つ

「ぐっ、ヤバい」

「春斗、どうした!?」

「魔力がもう殆ど無くなった」

「このタイミングで…」

その結果、春斗の魔力が殆ど無くなってしまったが何とか水晶眼球の動きは止まり、更に円ではなく本体に当たった為、水晶眼球に深い罅が入る

「春斗、省エネで戦って!私も前に出るっ!奏は色々試してみてっ!冷夜はそのまま継戦でっ!」

「「「了解っ!」」」

周囲の小晶球を殲滅し終えた創華が春斗の魔力切れを目敏く見つけ、全体に指示を出し、自らも剣を〈空間庫〉から取り出して前衛に出る

ー創華が浮遊する二本の剣を掴み、足元を蹴って加速、片方の剣を水晶眼球の体を狙って投擲して自身もそれに追随する

周囲の円で冷夜達の相手をしていた水晶眼球の無防備な場所に橙剣が突き刺さり、追撃とばかりに創華の持つ剣も突き刺さる

これにより水晶眼球の体に大きな亀裂が走る。その影響か分からないが円の軌道が一瞬乱れる

そして当然、冷夜と春斗がその隙を見逃すはずがない

ー《銀魔導剣技》"銀天瞬撃・二連"
冷夜の双剣から銀の剣線が高速で走り、水晶眼球の体を更に破損させ、

ー春斗が水晶眼球を大太刀で斬り付け、水晶眼球の体の一部を落下させた

それにより水晶眼球の表面を覆っていた鎧が崩れ、本体が再び露わになる

本体が露わになった瞬間に冷夜が短刀から魔力を一斉解放し、その意図に気がついた春斗と創華がなけなしの魔力を振り絞り水晶眼球の周囲の円を全力で抑え始める

ー《銀魔導剣技》"銀姫天極波斬"
そして冷夜が途方も無い力が籠められた白銀の斬撃を無防備な水晶眼球の体に向け放った

ッーーーーー!

放たれた輝く白銀の斬撃は水晶眼球を捉え命中する。その瞬間、衝撃音が大き過ぎた故に音が消え、一拍、耳を劈くような爆音が周囲一帯に鳴り響いた。その中では水晶眼球が木っ端微塵に砕け散っている

だが、それだけでは終わらない。否、終われないッ!

ー《黄天魔鎚技》"黄氷破鎚撃"
奏が水晶眼球が砕け散った瞬間から巨大水晶が脆くなった事に気づいて、今度こそと言わんばかりに黄氷を纏い巨大化した戦鎚を爆音が鳴り響く中、巨大水晶に向け振るう

その鎚撃によって巨大水晶が砕け散り、爆音の中に更なる爆音が響き渡った

そして爆音が鳴り止んだあと巨体系【原初の怪物】が緩やかに崩壊し始めていた。どうやらあの巨大水晶はこの【原初の怪物】の心臓みたいなものだったらしい

そう考えつつ【原初の怪物】中から全員で脱出し終わると【原初の怪物】は深橙、深黄、深金、深銀の原初結晶に変化した





「ふぅー、なんとか終わったねー」

「疲れた」

魔力が切れて少し体調が悪そうな創華と奏がそう言って仰向けで地面に寝転がる

「うん、オレも疲れた」

「あぁ、俺もだ」

それに続いて冷夜と春斗も地面に倒れるように寝転がる。当然二人とも魔力切れであり、余り慣れていないだけあって創華達よりも体調が悪そうだ

だが、だからといって原初結晶を放置するのは、なんとも言えない微妙な気分になるので取り敢えず回収する

[討伐者の接触を確認。討伐報酬を選択して下さい]

[原初結晶は討伐者の強化に使用されます]

そしていつもとちょっと違ったアナウンスが流れた

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