学園のアイドルに告白されました。
1話
 俺を除いて、誰もいない放課後の教室。外からは、野球部のかけ声が聞こえる。そこは、もう見慣れた光景である。俺はいつものように教科書を広げ、勉強をしていた。
 現在、俺は華の高校二年である。ではなぜ、俺が勉強しているのかというと、特には理由はない。ただ一つ言えることは、将来が不安であるからであろうか。
 いつか忘れたが、特に理由もなく、ネットで職業の年収を調べていた。そこで、一流商社に入社したいと本気で思ったが、そこに達するまでの学力が足りない。今では本当に高学歴でないと難しいだろう。そこで、適当に始めた勉強が意外と面白いことがわかり、今に至るという感じだ。
 話を戻すが、俺は高校二年の教室で勉強をしているわけで、部活をやっている生徒以外は、おそらく今頃は、高校生活を満喫しているだろう。俺らの学校はそれほど進学校ではない、普通の高校である。故に、高2のこの時期にこれだけ真面目に勉強してる生徒俺以外には確実にいないと言える。だからこそ、この教室はおろか、高校二年のこのフロアには、生徒がいないはずである。
 では、なぜだろうか。
先程から、廊下から視線を感じる。
誰かが忘れ物をしたのだろうか。それとも、担任の先生がなにか用事があってきたが、俺に遠慮して、教室に入るのを躊躇っているのだろうか。
そんなことを考えながら、日本史の教科書を読んでいる。
その時、ガラガラというドアが開く音が聞こえた。
そちらに顔を向ける。
するとそこには、学園のアイドルとも呼ばれる、超絶美少女が立っていた。どうやら、前者が答えだったらしい。彼女は教室を見渡した。
誰もいないことを確認してから、こちらへと歩き始めた。
もちろん俺はガン見してるわけではなく、横目で見ていた。彼女の席は俺の右の列の二つ前である。にもかかわらず、彼女は自分の席の横を通過すると、俺の方に近づいてきた。忘れ物ではなかったらしい。どうやら俺に用事があるようだ。
そこで俺は彼女に視線を向けた。
彼女はそんな俺の視線に少したじろぐが、すぐさまなにか、決心したように表情を引き締めて俺の席の横に立つ。
「ちょっといいかな?」
彼女は俺に話しかけてきた。
「なに?」
少し、冷たい返事をした。別に彼女が嫌いな訳ではないが、こちらとも勉強中である。少しだけだが、俺の中での彼女の株が下がる。心の広い人であれば、なにも思わないのだろうか。
「私、博久君のことが好きなの。よければ私と付き合ってくれないかな」
俺の脳内で、考えていたことが一瞬で真っ白になった。
それは、俺をフリーズさせるには十分だったようだ。しばらく思考が停止していたが、ようやく状況が飲み込めてきた。俺は告白をされたらしい。
「えっ⁉︎」
だが、咄嗟に出たのは驚きの一言であった。
「ダメかな?」
彼女は不安げな顔でこちらを見ている。
「え、あ、えっと、あ、明日、返事をします。」
これが限界だった。俺はコミ症ではないはずだが。
これも彼女のオーラのせいだろうか。
「そっか。じゃあ、また明日ね。バイバイ」
俺の返事を聞くと、彼女は俺に挨拶をして、そのまま回れ右をして、教室を出た。
彼女が教室を出てからしばらく、呆然としていたが、やっと、完全に理解した。
なぜここまで、驚く事かというと、先程も言ったが、彼女は学園のアイドルなのである。艶のあるロングな黒髪と、スラーっとした長い綺麗な脚。そして何より、女優顔負けのその端正な顔立ちをしているのが、綺子川美玲という女性なのである。
そんな、マドンナが、なにも取り柄もない俺に告白してきたらそれは驚くだろう。
気持ちを切り替えて、勉強をしようとするが、できるはずもなく、仕方ないと思い、帰宅の準備をした。
机の中の教材を取り出そうとしたら、教材と一緒に小さなメモが、机から出てきた。
『今日の放課後、屋上に来て下さい。お願いします。綺子川 』
と書かれているのを見て、罪悪感がこみ上げてきた。
明日ちゃんと謝ろう。
それにしても、彼女はこの時間まで、屋上で待ってくれていたのか。本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
準備が終わると、俺はそのまま学校をあとにした。
  
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次もまた読んでくださいね。
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コメント
小説神
どうやってこんな小説が作れるんですか。凄すぎます。頑張ってください‼︎
seabolt
いいですね。いきなり告白からのスタート、後が気になります。
ミラル ムカデ
内容がとても面白いです!!
ノベルバユーザー141746
読みやすい!
芋大根
初投稿なのにこんな面白い作品をかけるなんて
凄いですね。
読んでいる人も多いし。
これから貴方が出す作品も楽しく読ませて
いただきます。
よければ私の作品も読んでくれたら嬉しいです。
まだ初心者ですのでコメントや
お気に入りに登録してくれたら
ありがたいです。