君と僕の七不思議

はゆゆ

吹っ切れた意思

「わかりました、はいりま…」
「コラーーーーーーッッッッッ!!!!」

僕が入ります、という声は、何者かの声によってかきけされた。

何だ?と思い、声のする方を向くと、先輩であろう男子生徒がこちらへ向かって走ってくる。

もしかして、この女子生徒の彼氏で、僕と話しているから怒って!?

…と思ったが、違ったようだ。

男子生徒は、女子生徒の肩を掴み、強引に僕から引き剥がす。
女子生徒は、「ヤバ…」と呟き、顔が青ざめていく。

「お前!!また新入生を脅迫して!!何度叱ればわかるんだ!?」
「ご、ごめんなさーい…」

男子生徒は女子生徒の胸ぐらを掴み、怒鳴る。
女子生徒は面倒くさそうに謝る。

なんだ…この人たち…

そう思っていると、男子生徒と目が合った。

「あっ…君。ごめんね、迷惑かけて。」
「あっ…だ、大丈夫です…。」

男子生徒は女子生徒を離さずに、僕に謝る。

よかった…この人は常識人のようだ。

「もーう…。あともうちょっとだったのにぃー。あっ!でも、さっきわかりましたって言ったよね?後輩クン!」

女子生徒はさっきの僕の言葉を覚えていたらしい。

「えっ…あぁ…それは…えっと…」
「どうせ、お前が脅迫したから面倒くさくなってそう喋ったんだろ。」

僕が返事を迷っていると、男子生徒がそう言う。
そうなんだよ…!

「ちがうもーん。てか、アンタだって、新入部員ほしいでしょー?」

…この人も部員だったのか。

「そ、それは…。まぁ、欲しいけど…。」

欲しいのかよォ!
もう、これ、僕に入れと言ってるようなモンだよね?

「あぁ…もう…わかりました、わかりましたよ。入ればいいんでしょ!入れば!!」

僕は吹っ切れて、そう返事をしてしまった。

…これが厄介なこととなるとはしらずに。

女子生徒の目がきらん、と光る。
男子生徒も明るい表情になる。

「おおおおぉ!!やったぁ!ありがとうー!」
「それは本当か!?ありがとう。」

女子生徒は僕に思い切り抱きついてくる。

「うわっ!!ちょっ、離れてください!!」

女子生徒は嬉しそうに笑い、僕から離れた。

これは聞き分けがいいんだな…。

「じゃあさっ!部室行こ!部室っ!」
「ああ、そうだな。ここじゃあ、話しにくいだろう。後輩君、いいかな?」
「は、はぁ…。いいですけど。」

てか、こんな部活に部室なんてあったのか。

女子生徒が先頭になって進み、それに続いて男子生徒が歩き、後ろで僕がついていく。

…どんな部室なんだろうな。変な部室じゃないといいな…はぁ…。

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