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この世界をこんなにも美しいと感じたのは何時からだっただろうか

TAKE-C

第1章 0.5話

    その日は、まるで太陽が南極の氷を溶かしきってしまおうと画策しているかのようなこの夏1番の猛暑日であった。
外を歩く者達は皆汗をダラダラとかいている...







様なことは無い。これは別にここに住む人間が暑さに特別強いから…という理由ではない。
事実、 野生の生き物達は少しでも暑さから逃れようと影に身を潜めている。




 そんな猛暑日であるなら普通なら皆、汗まみれのはずなのだが何故か皆汗一つかいていない。     よく見ると彼らの指には皆同じネックレスのようなものが掛かっている。




このネックレスの様なものの正体はこの世界の先人達の生み出した魔石を使うことによって稼働する魔法道具である。

だが道行く者達の中には1目見て何日も風呂に入っていないであろうと分かるほどの姿の、首に頑丈そうな金属製の首輪をつけた者達が所々で見ることが出来る。



そう、この国では未だに奴隷が存在しているのである。この世界では奴隷に堕ちる迄に、3通りある。
1つ目は、犯罪を犯した者達がその罪を償うために奴隷となる犯罪奴隷である。犯罪奴隷は主に鉱山や戦争の最前線に送られる。    奴隷の中で2番目に数が多いのがこの犯罪奴隷である。

2つ目は  税を納めることの出来なくなった者達が堕ちてなる。借金奴隷である。この借金奴隷は最も数が多くその多くは辺境の村や親に売られた子供たちである。   数は多いが労働力が低いので彼らはしばしば使い捨ての様に扱われることもある。

3つ目は  奴隷商人が子供や女を攫って売り出す違法奴隷である。この国では禁止されている違法奴隷であるが、抜け道は多くこの違法奴隷を買う殆どは貴族である。


そんな奴隷達は快適そうに歩く人々と違い皆痩せていて、滝のような汗をかいている 。



そんな奴隷達の中で一際幼い子どもが倒れた。   奴隷の主はそんな子供を見るとニヤニヤと寄ってきて、その子供の目の前で立ち止まり醜悪な声で言った。


「おい、貴様奴隷の分際で何を休んでいるんだ?」


「許して下さい!!この子はまだ幼いんです!!」
子供の父親であろう奴隷の男が言った。


「誰が、貴様に口を開いていいと言った?」
運動など全くしていないであろう、醜く肥えた奴隷主は、父親であろう奴隷に、美しい宝石で飾り立てられた剣を向けた。


父親であろう奴隷は「ヒッ」と怯えた声で、子供を抱きしめた。


「グフッ     せっかくの機会だついこの間手に入れたこの魔剣で試し斬りをしてやろう。」

そう言うと、丸々と肥えた奴隷主は、煌びやかな装飾の施された剣を鞘から抜きはなった。

「この魔剣はわざわざお前ら奴隷共を嬲る為に買ってなぁ         何が良いかって刺せば刺すほど傷が癒えるんだよ       つまりこの剣を使えばほぼ永久的にお前らで遊べるんだよ」



と自慢げにそう言うと、奴隷主は抜きはなった剣を高々と振り上げ父子諸共突き刺した。

奴隷主は狂ったように笑いながら突き刺し続けているが、奴隷の親子達には傷ひとつ無い 

だが勿論、刺された痛みはあるので子供は泣き叫び  父親はそんな子供を守るかのように抱きしめている。


2人の人間が刺されたと言うのに周りの人間は止めるどころか、ニヤニヤと下品な笑いを浮かべていた。



そう、この国では奴隷は人ではない。
奴隷は、主人の為に働く家畜なのだ。



当初この国の奴隷の扱いを見た近隣諸国は怒った。     そしてこの国の奴隷達を救おうと奮起した。   


が、この国は近隣諸国がどれだけ救おうとしても救えなかった。


その理由はその国の圧倒的な地理の差であった。  この国は島国である。そしてその島国は浮いている。文字通り空に浮かんだ島なのだ。浮かんだ島に兵を攻め込ませるのは至難であった。何せ空を飛べるのは、自然に愛されたエルフ族であるか、飛竜と呼ばれる、読んで字のごとく空を飛ぶ竜の2つの兵力だけであった。



そしてまずエルフ族は争いを好まない、圧倒的な魔力と人間の数倍を誇る長大な寿命もあり、彼らの多くは森の中で精霊達と共に暮らしている。 


そして飛竜は希少であり、その飛龍を駆ることの出来る、竜騎士達も数が少なく国家の切り札として、簡単には戦に出すことは出来ない。



この2つの理由が空に浮かぶこの島から奴隷達を救うことの出来ない大きな理由であった。



そして近隣諸国はこの国に傷一つ付けることが出来ぬまま次々と敗れていったのだ。







道の往来ではいまだに奴隷主が父子を斬りつけている。そんなこの国では大して珍しくもない光景を冷めた目で見る少年がいた。



少年の髪は白く    整った容姿は否が応でも人目を引いている。


彼は誰にも聞こえないであろう声で呟く
「相変わらずつまらない国だなここは」

そして彼はそのつまらない国の目の前で起こる死ぬほどつまらない光景を止めるべく男の方へ向かって歩き出した。

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