魔法が使えるのはそんなにもおかしいことだろうか。

満月ノ林檎

13話 神器錬成(ゴッドアーツ)

「シル…カ…?」

その名前には聞き覚えがあった。かつて転生するときに不思議な空間で出会ったアルの姉である。
そしてその姿はその当時のまま、金髪のロンゲにアルより高い身長。

「なんで…」

早速問いかけてみるものの返答はなし。その立つ姿は今まで見てきたアルとは違う別のものを感じる。

「今は話している時間はない。とりあえず、あの男を打ちのめしましょう」

「でも、どうやって?俺の攻撃が効かないんだぞ?」

そうだ。今俺が出せる最大の攻撃であるフラガラッハまで止められている。きっとこれでは解放【ライトニング】でも勝つことはできない。

だがシルはその方法を口にする。

「言ったじゃない。ここへ来るときに。あなたには常人にはない特殊な力があると。今こそそれを開放するときよ。」

そう言うとシルは右手を俺に向ける。

その瞬間。光が俺を包み頭の中に言葉が流れてくる。
呪文詠唱。その流れ出てくる言葉を言葉として放っていく。

〜我は汝。汝は我。神に誓い、その力を我が糧とする。汝が応えるのならば、その全てを我が力として権限させよう我が声に答えよ!スルト!〜

俺を中心にとてつもない魔力量の炎が上がる。

そしてそれらが収束し、形となり、1つの剣となる。

〜良いだろう。汝の言う権限とやらを見せてみろ〜

そう脳内で囁かれ、その右手には紅く眩い光が宿った剣が握られている。

そう。これこそが俺に与えられた唯一無二の特殊魔法

【神器錬成】(ゴッドアーツ)

名を【レーヴァテイン】ケルト神話における、最大の炎神の剣。

その剣より放たれる炎が俺を包み両手に篭手のような形で纏わり、足にもブーツ状に炎が形成され、額からはV字の炎が高らかに旗を上げるように立ち上がる。

「これなら……行ける!行こう!シル!」

「ええ、やつを、ガレウスを打ち破りましょう!」

そう答え、2人同時に地を蹴り走る。

「そのような力を持ってしても…俺に叶うと思うなァァァ!!!禁術五式 【Dunkle Eisschwerter】!!」

「行くよっ!魔法発動!セイクリッド・レボリューション!!!」

シルの周りに魔法陣が形成され、そこから光の珠が作られる。それから放たれるは光の粒子で構成された、一直線のビーム。闇金属で錬成された剣を難なく砕く。

「よしっ!俺も行こう!魔法発動!【ライトニング】!!」

速度超加速。目にも止まらぬ速さで走り抜け、その剣で迫りくる剣を砕いていく。オーガの素材で作られた剣より、圧倒的な強さを誇るこの剣は、不可能を可能にする。

俺とガレウスとの距離の差をぐんぐんと詰める。
どんどん近づき走り抜けていく。

「なんだ…なんなんだ!その力はァァァ!!!」

ガレウスが先程とは遥かにかけ離れた悲鳴をあげる。

「クソッ!終わらせてやる!【Das Gebrüll der dunkelsten Bestie】!」

黒い灰が柱のように立ち上がり、巨大な獣の形をとる。とてつもない程の魔力量。

「喰らえっ!魔獣の咆哮をっ!」

その獣の口から闇のオーラがとてつもない密度で襲いかかる。

「シルッ!!」

そう言うと、俺は飛び上がりその魔獣目掛けて剣を掲げる。

シルも一緒に飛び上がり、俺に力を分け与える形で後方に待機する。

「強化魔法!フルブースト!」

俺の全ステータスが跳躍するように上がる。

「いくぞっ!ガレウス!
神器解放!レーヴァテインッッ!!!」

炎が高く、高く、高く上がり、全てを斬るように叩きつける。

咆哮との衝突。

その音はすべてを歪め、割れ目を刻むかのような禍々しい物だった。

炎と目に見えぬ波動の衝突。その時は長く伝わり、短く終わる。

とてつもない爆発と共にその平原は煙と化した。
そして…その煙から出てきたのは鎧の一部が砕けた、大きな男の姿だった。

「クソッ…たかが駆け出しの冒険者如きに我に傷をつけるとはっ…まぁ良い…いずれは必ず…その身を粉砕しておくと覚えておれ…」

そう言って亜人協定第5位の闇錬成ガレウスは闇にその姿をくらました。

膝を地面に置きぎりぎり立っていられる程の魔力しか俺にはのこっていなかった。

その横には紅い長剣がぎりぎり存在している

「シル…すまないが…すこし運んでくれ…」

そう言って振り返ると、そこには先程いた金髪の長い髪をした姉ではなく、紅い髪をした妹が立っていた。

「あらら…もう終わりか…あーあつっかれた…」

そう言って平原に寝そべるアルがいた。

「やった…やったぞぉぉぉ!!!」

とてつもない歓声が響いた。

街の住人と冒険者達である。

「みんな!あの冒険者達を運べ!重症だぞ!」

「おう!」

そうして俺達は冒険者達に担がれ街の中へと運ばれた。

そのときにはすでに、俺の体から出ていた炎やあの剣は消えていた。

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