魔法が使えるのはそんなにもおかしいことだろうか。

満月ノ林檎

12話 脅威。そして覚醒

走ること2分。ようやく街についた。

「おい…どうなってんだ!!」

俺の目に入ってきた光景は今までとは違ういびつな光景であった。

闇のオーラをまとった人間が1人。その向こう側には姿だけは見たことがある街の住人。否。冒険者である。

そしてその黒いコートにところどころ鎧を付けた人間がこちらに気づき振り向く。

「ほう…この気迫……さては貴様が例の…」

「どういうことだ!お前は何者だ!」

「俺の名はガレウス。亜人協定幹部第5位の闇錬成のガレウスだ。」

「亜人協定っ!?」

レフィが驚いた声を出し語り始める。

「亜人協定というのはその名前の通り、亜人族の実力者達で結成された軍団です。その上位の者はすべて人間のサイズにして強大な力を持ちます!なぜこんなところに…」

「少し前に、ここに配置しておいたオーガが撃退されたと聞いてな…そんな実力者がこの街にいるとは…厄介であるために殺しに来た。ひょっとして貴様か…?」

やっ…ヤバい。ヤバい。心拍が一気に上がった気がする。オーガのときも中々に運要素が6割近かったのに今回はまずい。今ここでトンズラこきたいのは山々だが逃げてしまえばこの街の人間がどうなるかわからない。いくら知らない人たちとはいえ世話になったのは確かだ。すると俺は絞り出すように叫ぶ。

「ああっ!俺だ!オーガを倒したのは俺だーっ!!!」

「「「なっ!?」」」

きっと俺のことだから逃げるとか思ってた三人が一斉に驚いた。

「言っとくがな!亜人協定だかなんだか知らないが…とりあえず仕留めてやるよっ!」

半分無意識に
発した決め台詞ではあるが内心ビクビクしているため逃げ出す覚悟すらない。

「クックックッ…面白いやつだ。いいだろうかかってこい」

「いくぞーっみんなァァーっ!!」

「「「おりゃああああ!」」」

4人同時に走り込みそれぞれ戦闘態勢にうつる

「先陣を切りますっ!速攻魔法!ボルケイン!」

3式の中型魔法。大抵のザコモンスターなら即死。ボスモンスター出会ってものけぞらせるほどの火力をもつボルケイン。

「フッくだらん魔法だ。
禁術五式 【Dunkle Eisschwerter】(闇の氷剣)」

魔法陣が形成される。なんとその数5つ。5式の大型魔法である。

それに俺達含めこの場にいる全員もなんと発音したのか聞き取れなかった。

そしてその瞬間、ガレウスの周りにドス黒く荒んだ長剣が大量に生成される。

その一つがボルケインを防ぐ。

「な、あれは…」

アルがつぶやく。

「あれは…古代魔術!?それに、浮遊魔法と錬成魔法の同時使用なんて…」

「愚かな…我が能力も知らんのか…我はの魔術流派は禁術五式闇金属による錬成魔法。その出力と火力にはいかなる魔法さえも通用せん。」

「そんなバカな…」

レフィも同様に驚きを隠せない模様。

「ならば物理で殴るだけだーっ!!」

アリアが物凄いスピードでガレウスへと突進する。

「てやぁぁっーー!」

そしてそのハンマーを振り下ろす。

ガキィッ!!!と金属音が響く。

だがそのハンマーはガレウスには直撃していなかった。
周りに生成された剣がいともたやすくその攻撃を防いだからだ。

「理解すらできないか…まぁいい。消し飛べ。」

その瞬間周りの剣がアリアに向かって飛ぶ。

それを必死に避けつつ防ぎきる。だが、当然ダメージかま一切はいらなかったわけではない。

「くっ…くっそぉぉ!」

「こうなりゃ、全員!突撃だあああああ!!俺たち全員で攻撃をかませば、あの出力に勝てる筈だ!」

そして再び進撃。

「はぁ…仕方がない。跡形もなく消し飛べ!!
 禁術五式 【Dunkle Eisschwerter】!!」

そして再び射出される剣達。俺達はそれらを防ぐために持ちこたえた。持ちこたえ続けた。

そして5分後。

「つ…つえぇ…」

アリアとレフィはダウン。残るは俺とアルだけだ。

「今になって気づいたが……貴様。転生者か…ならば横の女は…ククッ!なるほど、神の使いが直々下界に降りてくるとはなっ…」

(あいつ…俺のことを知っている!?)

なぜわかったのかが不明。だがこれが知られてはいろいろ厄介だ。

「おまえっ!なんてことをっ!!フラガラック!!」

剣技スキルによる斬りつけ。だが当然のように弾かれる。

「ぐっああっああ…」

闇の氷剣が俺の腹に深く刺さる。

「晴夜っ!!」

「まだだ……おわ…れな…い…」

立ち上がり続ける。その理由は単純。助けなければいけないから。その心境はアルも同じであった。

(終われない。助けなければ…)

どうやって?

………………

どうやって?

……………………もう、やるしか

どうやって?

終われない。負けられない。勝たなければいけない。

私が…晴夜を助けなくちゃ……

「これで終わりだ。」

がレウスが剣を掲げ晴夜の体を貫こうとする。

「やめて…やめてぇぇぇぇぇ!!!!!」

その瞬間。とてつもない量の光が溢れ出す。

ガレウスを守っていた剣は跡形もなく消え、その力にガレウスさえも吹き飛ばす。

「あ、アル…?」

そこに立っていたのはいつもの知っているアルではなかった。

「アル…それはっ…?」

「私はアルじゃない。」

「えっ…?」

「私はシルカ。シルカ・リルフォード・テミス。シルでどうぞ。晴夜。」

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