三つ子と三つ子

しゃどー

三つ子と三つ子 3話

        私たちが沖沢家に来て1ヶ月が経った。
6人で小学校へ行き、6人で帰る。
それがいつの間にか当たり前になっていた。


「みんな〜朝ごはん出来たよー!」
みんなと一緒に朝ごはんを食べて、一緒に家を出る。

「いってきまーす。」
「行ってらっしゃい!気をつけてねー。」

「紫響兄さん、一緒に行こ。」
桃瑚が紫響兄さんの隣を歩く。

多分、桃瑚は紫響兄さんのこと…。
「なんだあいつら、仲いいな。」
拗ねたように灰星兄さんが言った。
「そうだね。最近ずっと一緒に行ってるな。」
「まぁ、いいや。俺は姫水と行こっ!!」
兄さんが寄ってきた。
「ちょっ!倒れるって!!」

学校へ着いた。
みんな、同じクラスなのだ。

紅希姉さんはクラスで一番頭がいい。
私は、普通。
あ、紫響兄さん、また本読んでる。
本好きなのかな?

私は紫響兄さんの机に向かった。
「紫響兄さん、何の本読んでんの?」
紫響兄さんがこちらを見上げる。
「別に…。普通の本…。」
相変わらず静かすぎだな…。
「ふーん、兄さんそーゆー感動系好きなの?」
兄さんが読んでいた本は『犬と私の生命』という
感動系の本だった。
小学二年生が普通こんなの読むのか…?
「なんか、意外。ホラー系とか読みそうなんだけど。」
「…俺、そんなに…暗いの…?」
「うん。」
「………」
紫響兄さんがしょぼんとした感じで本に目を向けた。
「姫水姉さん、そんなに本が読みたいのなら私が貸そうか?」
桃瑚が言ってきた。
その顔は…怒っている感じだった。
「いや、いいよ。」
私は断り、自分の机へ向かった。
桃瑚のやつ、紫響兄さんのことほんとに気に入ってんだな。

授業はつまらない。家で、紅希姉さんに教えてもらう方がよっぽどいい。

学校が終わった。
そして、6人で帰る。
…桃瑚、紫響兄さんに引っ付きすぎだろ。
そう思いながら、後ろで灰星兄さんとしゃべりながら帰った。







そういえば私
どうして桃瑚のこと、
悪く思っちゃうんだろ?

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