現代社会に冒険者という職業が出来るそうですよ?
No.4 レッドウルフ・ロード
放置していた震えるほどの量の課題に取り組んでいた為更新が遅れました。
 本当にすみませんでした(土下座)
 開放感がすごいなか、書き始めていこうと思います!
 皆が息を飲む。
 今の雄叫びでレッドウルフ・ロードの存在をより強く実感したのだろう。
「……行こう」
 俺がそう言うと勇気がこちらを見て、いや皆を見てこう言った。
「防御は俺に任せろ!だから全力でボコってくれよ!」
 笑いながらそう言う。皆がその言葉によって勇気を振り絞る。
 防御は任せろと言いながら震えている勇気を見て、ビビってなんかいられないと思ったのだろう。
「…あぁ、任せたぞ!敵はこの刀で沈める!」
 剣心が強く言い放ち、レッドウルフ・ロードがいるであろう方向に視線を向ける。
「じゃあ、俺が偵察してくるよ。それに見合ったスキルもあるし、動き方も理解している」
 皆が「任せた」「頼むのです」「頑張れよ!」と声を掛けてくれる。何だか心が温かくなる。
 これは負ける訳にはいかないな、と心に決めつつ俺はレッドウルフ・ロードへと歩みを進めた。
〜勇気side〜
『レッドウルフ・ロード視認。ゆっくり近づいてきている。そちらでも視認できる距離に入りそうだ』
 優人からチャットが来た。
 作戦では最初に凜々花ちゃんが得意な氷魔法で敵の動きを止め、そこに莉奈ちゃんがアッパーを食らわせる。そのままいけるなら剣心が渾身の攻撃を浴びせ、敵を沈める。
 剣心が間に合わなければ俺が食い止める。皆は守る、そう心に決めたからな!
「レッドウルフ・ロード、視認しました!」
 なずなちゃんが小さな声で知らせてくる。
「行くのですっ!」
 凜々花ちゃんがそう言うと全身から青い光を放ち出す。青く輝く吹雪を纏う、銀髪の美少女は戦場に舞い降りた女神の様だった。
「くらえっなのです!」
 吹雪が敵へとかなりの速度で移動していく、レッドウルフ・ロードはいきなりの事で反応できていない。
 吹雪に当たった顔面から凍っていく。全身が白くなり、大きくリアルな氷像の様だ。
「…いっま…だぁぁぁ!」
 全身を赤く光らせた莉奈がレッドウルフ・ロードの顔の下からロケットの様に垂直に飛ぶ。
 次の瞬間、凍っていた為か全身が固まったままレッドウルフ・ロードが頭から宙へ浮く。
「グル…ハァッ!」
 物凄い威力の様だけど、まだ倒せてはいない。同じような攻撃が後5発は必要だと思う。だけど莉奈ちゃんは今の一撃でかなりの体力を使ったようで肩で息をしている。
「ルルゥ……グアァァァァガァァァァ!!!」
 予想より遥かに早くレッドウルフ・ロードが立ち直る。そして近くにいた莉奈ちゃんを尖った爪で切り裂こうとする。
______キィィィィィン!
 金属と金属がぶつかり合う様な音を散らしながら、レッドウルフ・ロードの爪が受け止められる。
(ギリッギリ間に合った…!!)
 盾で受け止めたのは良いが重すぎる。このままでは押し切られてしまう。
(どうすれば…。優人っ……。)
 直後、敵の攻撃が嘘のように弱まった。というか攻撃が終わった。
 みると、レッドウルフ・ロードが地面に倒れて苦痛の声をあげている。
「ふぅ、危なかったな」
 俺たちを助けたのは、今まで姿を見せていなかった優人だった。
〜優人side〜
(よし、報告終了っと。戻るか)
 俺はそう思い来た道を戻ろうとする。
ドンっ
 何かにぶつかった。物凄く嫌な予感がする。
「グルルルル…」
 そこにはこちらに背を向け、だが顔はしっかりとこちらへ向いているレッドウルフがいた。
「グルアァ!」
 レッドウルフが攻撃を仕掛けてくる。それをギリギリで避け、後ろに飛び退きつつ持っていた石を投げつける。
「ははっ、ついてないな…」
 一刻も早く皆に合流しなければならないのに、レッドウルフとソロで戦わなければならない。
 早めにケリを付けるべく、短剣を構え敵に攻撃する。
 レッドウルフはその攻撃を器用に躱すと、爪をこちらへ向け突き出してくる。間一髪爪と身体の間に短剣を挟み、攻撃を左へと逸らし自分は右へと避ける。
 互いの場所を入れ替えた俺達は互いに睨み合い、そして悟る。相手は強い、と。
(力に慣れとくのも特訓のうちだよな…)
 俺は集中力を高める。今まで1部分しか使っていなかった力を解放する。
 全身から黒い光が放たれる。
(1瞬で終わらせる!)
 俺は炎を纏った短剣を構える。青の石の能力で炎を生み出し短剣に付与したのだ。
 レッドウルフからも赤い光が放たれる。どちらからでもなく、互いが同時に地を蹴る。
 赤と黒の光が近づき、混ざり、そして全てが黒に染まった。
「…グァ……ラァ………」
 自身の首に根元まで刺さった炎を纏う短剣を感じながら、レッドウルフは光の粒へと変わった。
(…急がなきゃな)
 俺は黒い閃光となって皆のもとへと向かった。
「優人さんっ!」
 なずなが泣きそうになりながら叫ぶ。
 俺は剣心の方を確認し、そしてレッドウルフ・ロードをみる。
 既に立ち上がり、こちらへとヘイトを向けたレッドウルフ・ロードを正面から睨む。
「グルアァァァァァァァ!!」
 レッドウルフ・ロードが仕掛けてきた。俺はそれを避け、攻撃してきた腕を数回斬りつける。
 そのままそこから退き、地面を蹴り壁を蹴って敵の背中に乗る。短剣を深く突き刺し、雷撃を浴びせる。
「グルアァァァァァァァ………!」
 先程とは違う意味で叫び声をあげるレッドウルフ・ロードの背中をさらに数回斬った所で振り落とされる。
 俺を噛み砕かんとするレッドウルフ・ロードの口が眼の前に迫っていたが、周囲に光の結界を展開しそれを阻む。
 そこから無理やり光の結界を押し広げレッドウルフ・ロードの体勢を崩す。
「今だ!剣心!」
 俺の声を聞くのと同時に地を蹴った燃える様な赤を放つ剣心がレッドウルフ・ロードの正面にたつ。
「……はあァァァァ!!!五星斬ッッ!!」
 左上から右下へ、右上から左下へ。敵の身体にXを刻む。左下で止まっていた刀が中央上へと跳ね上がり、さらにそこから右下へと振り下ろされる。振り下ろした勢いを利用し身体を回転させ威力を上げた左から右への渾身の1撃が、レッドウルフ・ロードに打ち込まれる。
 空中に一筆書きでかく星の形が出来ている。神速の5連撃。一撃一撃が莉奈のパンチを超えているだろう。
 剣心が刀を鞘に戻すと、レッドウルフ・ロードが断末魔すらあげられずに光の粒となって弾けた。
 
 周囲を静寂が包む。誰も言葉を発しない。いや発せない。
 端末が震える。レッドウルフ・ロードの討伐がなされ、クエストが完了した事を俺達に伝える。
「…おわったな」
 剣心がそう言い倒れそうになるが、それをなずなが支え回復魔法も同時にかける。
「やったのです…凜々達が倒したのです!」
 ようやく実感がわいてきたのだろう。女子は抱き合いながら喜び、男子は互いの健闘を称えている。
「それにしても剣心。最後のは凄かったな」
「あ、確かに!私のパンチより全然強かった!」
 皆が思っていたであろう事を俺が口にすると、剣心は照れくさそうに笑った。
「あれはうちの親父が生み出した技なんだ。ただ、並の筋力じゃ高速では振れないし威力も出なくて没になっていたんだがな」
 剣心の父さんの技か。赤石を取り込んだ剣心だからこそ使いこなせたのだろうな。
「ただ、俺はそんな事よりも優人の事の方が気になるぞ?」
 やっぱりバレるよな。そりゃ黒く光ってたし、雷撃も光の結界も使ったしな。
「あ〜、話すと長くなるし迷宮を出てからでもいいか?」
 ここで長話出来るほど俺達は体力も気力も残っていない。誰からともなく迷宮の出口へ向かっていた。
「あぁ、構わない。それと…その、なんだ。出来れば今後もパーティーを組んで貰えないだろうか?」
 剣心が皆を見渡して言う。
 俺個人としてはもちろんokだ。皆戦力として申し分ないし、信頼の置ける人間である事は短い時間でも分かった。
なずな達は互いに頷き合うとまわりに綺麗な花が咲いたように見える笑顔で俺たちを見た。
「もちろんです!むしろ私達からお願いしたいくらいでした!」
「俺もいいぜ!」
 皆が同意した。ならば俺も、自分の思いを止める必要は無い。
「これからも宜しくな剣心、なずな、凜々花、莉奈。…後勇気も」
「俺はついでかっ!?」
 勇気が涙目で訴えてくる。
 それを見た皆が笑う。俺は久しく感じていなかった複数人との友情を感じながら、帰路を歩んだ。
「まさか初日に、しかも6人でレッドウルフ・ロードを討伐するとはな」
 ギルドへ来た俺達は偶然会った西村さんと話をしていた。
「いや〜、マジで怖かったっすよ!1人も欠けなくて本当に良かったっす!」
 勇気が自分で自分の身体を抱きしめながらそう言う。
 …気持ち悪い。
「はは、まぁ取り敢えず報酬を渡そうか」
 西村さんはそう言うと受付の奥へと入っていった。俺達も受付まで行き西村さんを待つ。
 程なくして西村さんが出てくると、手には封筒が握られていた。
「まずはレッドウルフ・ロード討伐報酬の5万円だ。それとマッピングデータで4500円だ。さっき預かったフルーツは然るべき所で調べさせてもらう。」
 封筒を受け取ると西村さんがこそっと耳打ちしてきた。
「レッドウルフ・ロード討伐報酬だが、5万円だと6人で割れないだろう。だから特別に+1000円しておいた。」
 何て優しい人なんだろう。出会った時の印象からは考えられない。
「ありがとうございます」
 深々と頭を下げて謝意を伝える。皆はそんな俺に驚いていたが、すぐに頭を下げて感謝を述べた。
 今日得た収入は55500円だ。6人で割っても一人頭9250円。かなりの収入だろう。これが冒険者なのか。
 
俺達はギルドを後にし、皆で夜ご飯を食べて帰ることにした。
 夜ご飯を食べて、非現実の様な現実の話を皆でして、俺と勇気の石についても伝えて。これからもまだまだ続く冒険を、俺はこの仲間達とならいつまでも楽しんでいけるという確信を胸に、期待で胸を膨らませていた。
ご愛読ありがとうございます!
冒険の初日が終わりました。
今日持ち帰った謎のフルーツが実は…という話はまた今度にして(多分明らかになるのはだいぶ先)、更新が遅れてしまったことを謝ります。
すみませんでした!
以後、課題は計画的に放置しようと思います(違う)
では、また明日。今度は学校での話です!
 本当にすみませんでした(土下座)
 開放感がすごいなか、書き始めていこうと思います!
 皆が息を飲む。
 今の雄叫びでレッドウルフ・ロードの存在をより強く実感したのだろう。
「……行こう」
 俺がそう言うと勇気がこちらを見て、いや皆を見てこう言った。
「防御は俺に任せろ!だから全力でボコってくれよ!」
 笑いながらそう言う。皆がその言葉によって勇気を振り絞る。
 防御は任せろと言いながら震えている勇気を見て、ビビってなんかいられないと思ったのだろう。
「…あぁ、任せたぞ!敵はこの刀で沈める!」
 剣心が強く言い放ち、レッドウルフ・ロードがいるであろう方向に視線を向ける。
「じゃあ、俺が偵察してくるよ。それに見合ったスキルもあるし、動き方も理解している」
 皆が「任せた」「頼むのです」「頑張れよ!」と声を掛けてくれる。何だか心が温かくなる。
 これは負ける訳にはいかないな、と心に決めつつ俺はレッドウルフ・ロードへと歩みを進めた。
〜勇気side〜
『レッドウルフ・ロード視認。ゆっくり近づいてきている。そちらでも視認できる距離に入りそうだ』
 優人からチャットが来た。
 作戦では最初に凜々花ちゃんが得意な氷魔法で敵の動きを止め、そこに莉奈ちゃんがアッパーを食らわせる。そのままいけるなら剣心が渾身の攻撃を浴びせ、敵を沈める。
 剣心が間に合わなければ俺が食い止める。皆は守る、そう心に決めたからな!
「レッドウルフ・ロード、視認しました!」
 なずなちゃんが小さな声で知らせてくる。
「行くのですっ!」
 凜々花ちゃんがそう言うと全身から青い光を放ち出す。青く輝く吹雪を纏う、銀髪の美少女は戦場に舞い降りた女神の様だった。
「くらえっなのです!」
 吹雪が敵へとかなりの速度で移動していく、レッドウルフ・ロードはいきなりの事で反応できていない。
 吹雪に当たった顔面から凍っていく。全身が白くなり、大きくリアルな氷像の様だ。
「…いっま…だぁぁぁ!」
 全身を赤く光らせた莉奈がレッドウルフ・ロードの顔の下からロケットの様に垂直に飛ぶ。
 次の瞬間、凍っていた為か全身が固まったままレッドウルフ・ロードが頭から宙へ浮く。
「グル…ハァッ!」
 物凄い威力の様だけど、まだ倒せてはいない。同じような攻撃が後5発は必要だと思う。だけど莉奈ちゃんは今の一撃でかなりの体力を使ったようで肩で息をしている。
「ルルゥ……グアァァァァガァァァァ!!!」
 予想より遥かに早くレッドウルフ・ロードが立ち直る。そして近くにいた莉奈ちゃんを尖った爪で切り裂こうとする。
______キィィィィィン!
 金属と金属がぶつかり合う様な音を散らしながら、レッドウルフ・ロードの爪が受け止められる。
(ギリッギリ間に合った…!!)
 盾で受け止めたのは良いが重すぎる。このままでは押し切られてしまう。
(どうすれば…。優人っ……。)
 直後、敵の攻撃が嘘のように弱まった。というか攻撃が終わった。
 みると、レッドウルフ・ロードが地面に倒れて苦痛の声をあげている。
「ふぅ、危なかったな」
 俺たちを助けたのは、今まで姿を見せていなかった優人だった。
〜優人side〜
(よし、報告終了っと。戻るか)
 俺はそう思い来た道を戻ろうとする。
ドンっ
 何かにぶつかった。物凄く嫌な予感がする。
「グルルルル…」
 そこにはこちらに背を向け、だが顔はしっかりとこちらへ向いているレッドウルフがいた。
「グルアァ!」
 レッドウルフが攻撃を仕掛けてくる。それをギリギリで避け、後ろに飛び退きつつ持っていた石を投げつける。
「ははっ、ついてないな…」
 一刻も早く皆に合流しなければならないのに、レッドウルフとソロで戦わなければならない。
 早めにケリを付けるべく、短剣を構え敵に攻撃する。
 レッドウルフはその攻撃を器用に躱すと、爪をこちらへ向け突き出してくる。間一髪爪と身体の間に短剣を挟み、攻撃を左へと逸らし自分は右へと避ける。
 互いの場所を入れ替えた俺達は互いに睨み合い、そして悟る。相手は強い、と。
(力に慣れとくのも特訓のうちだよな…)
 俺は集中力を高める。今まで1部分しか使っていなかった力を解放する。
 全身から黒い光が放たれる。
(1瞬で終わらせる!)
 俺は炎を纏った短剣を構える。青の石の能力で炎を生み出し短剣に付与したのだ。
 レッドウルフからも赤い光が放たれる。どちらからでもなく、互いが同時に地を蹴る。
 赤と黒の光が近づき、混ざり、そして全てが黒に染まった。
「…グァ……ラァ………」
 自身の首に根元まで刺さった炎を纏う短剣を感じながら、レッドウルフは光の粒へと変わった。
(…急がなきゃな)
 俺は黒い閃光となって皆のもとへと向かった。
「優人さんっ!」
 なずなが泣きそうになりながら叫ぶ。
 俺は剣心の方を確認し、そしてレッドウルフ・ロードをみる。
 既に立ち上がり、こちらへとヘイトを向けたレッドウルフ・ロードを正面から睨む。
「グルアァァァァァァァ!!」
 レッドウルフ・ロードが仕掛けてきた。俺はそれを避け、攻撃してきた腕を数回斬りつける。
 そのままそこから退き、地面を蹴り壁を蹴って敵の背中に乗る。短剣を深く突き刺し、雷撃を浴びせる。
「グルアァァァァァァァ………!」
 先程とは違う意味で叫び声をあげるレッドウルフ・ロードの背中をさらに数回斬った所で振り落とされる。
 俺を噛み砕かんとするレッドウルフ・ロードの口が眼の前に迫っていたが、周囲に光の結界を展開しそれを阻む。
 そこから無理やり光の結界を押し広げレッドウルフ・ロードの体勢を崩す。
「今だ!剣心!」
 俺の声を聞くのと同時に地を蹴った燃える様な赤を放つ剣心がレッドウルフ・ロードの正面にたつ。
「……はあァァァァ!!!五星斬ッッ!!」
 左上から右下へ、右上から左下へ。敵の身体にXを刻む。左下で止まっていた刀が中央上へと跳ね上がり、さらにそこから右下へと振り下ろされる。振り下ろした勢いを利用し身体を回転させ威力を上げた左から右への渾身の1撃が、レッドウルフ・ロードに打ち込まれる。
 空中に一筆書きでかく星の形が出来ている。神速の5連撃。一撃一撃が莉奈のパンチを超えているだろう。
 剣心が刀を鞘に戻すと、レッドウルフ・ロードが断末魔すらあげられずに光の粒となって弾けた。
 
 周囲を静寂が包む。誰も言葉を発しない。いや発せない。
 端末が震える。レッドウルフ・ロードの討伐がなされ、クエストが完了した事を俺達に伝える。
「…おわったな」
 剣心がそう言い倒れそうになるが、それをなずなが支え回復魔法も同時にかける。
「やったのです…凜々達が倒したのです!」
 ようやく実感がわいてきたのだろう。女子は抱き合いながら喜び、男子は互いの健闘を称えている。
「それにしても剣心。最後のは凄かったな」
「あ、確かに!私のパンチより全然強かった!」
 皆が思っていたであろう事を俺が口にすると、剣心は照れくさそうに笑った。
「あれはうちの親父が生み出した技なんだ。ただ、並の筋力じゃ高速では振れないし威力も出なくて没になっていたんだがな」
 剣心の父さんの技か。赤石を取り込んだ剣心だからこそ使いこなせたのだろうな。
「ただ、俺はそんな事よりも優人の事の方が気になるぞ?」
 やっぱりバレるよな。そりゃ黒く光ってたし、雷撃も光の結界も使ったしな。
「あ〜、話すと長くなるし迷宮を出てからでもいいか?」
 ここで長話出来るほど俺達は体力も気力も残っていない。誰からともなく迷宮の出口へ向かっていた。
「あぁ、構わない。それと…その、なんだ。出来れば今後もパーティーを組んで貰えないだろうか?」
 剣心が皆を見渡して言う。
 俺個人としてはもちろんokだ。皆戦力として申し分ないし、信頼の置ける人間である事は短い時間でも分かった。
なずな達は互いに頷き合うとまわりに綺麗な花が咲いたように見える笑顔で俺たちを見た。
「もちろんです!むしろ私達からお願いしたいくらいでした!」
「俺もいいぜ!」
 皆が同意した。ならば俺も、自分の思いを止める必要は無い。
「これからも宜しくな剣心、なずな、凜々花、莉奈。…後勇気も」
「俺はついでかっ!?」
 勇気が涙目で訴えてくる。
 それを見た皆が笑う。俺は久しく感じていなかった複数人との友情を感じながら、帰路を歩んだ。
「まさか初日に、しかも6人でレッドウルフ・ロードを討伐するとはな」
 ギルドへ来た俺達は偶然会った西村さんと話をしていた。
「いや〜、マジで怖かったっすよ!1人も欠けなくて本当に良かったっす!」
 勇気が自分で自分の身体を抱きしめながらそう言う。
 …気持ち悪い。
「はは、まぁ取り敢えず報酬を渡そうか」
 西村さんはそう言うと受付の奥へと入っていった。俺達も受付まで行き西村さんを待つ。
 程なくして西村さんが出てくると、手には封筒が握られていた。
「まずはレッドウルフ・ロード討伐報酬の5万円だ。それとマッピングデータで4500円だ。さっき預かったフルーツは然るべき所で調べさせてもらう。」
 封筒を受け取ると西村さんがこそっと耳打ちしてきた。
「レッドウルフ・ロード討伐報酬だが、5万円だと6人で割れないだろう。だから特別に+1000円しておいた。」
 何て優しい人なんだろう。出会った時の印象からは考えられない。
「ありがとうございます」
 深々と頭を下げて謝意を伝える。皆はそんな俺に驚いていたが、すぐに頭を下げて感謝を述べた。
 今日得た収入は55500円だ。6人で割っても一人頭9250円。かなりの収入だろう。これが冒険者なのか。
 
俺達はギルドを後にし、皆で夜ご飯を食べて帰ることにした。
 夜ご飯を食べて、非現実の様な現実の話を皆でして、俺と勇気の石についても伝えて。これからもまだまだ続く冒険を、俺はこの仲間達とならいつまでも楽しんでいけるという確信を胸に、期待で胸を膨らませていた。
ご愛読ありがとうございます!
冒険の初日が終わりました。
今日持ち帰った謎のフルーツが実は…という話はまた今度にして(多分明らかになるのはだいぶ先)、更新が遅れてしまったことを謝ります。
すみませんでした!
以後、課題は計画的に放置しようと思います(違う)
では、また明日。今度は学校での話です!
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