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現代社会に冒険者という職業が出来るそうですよ?

Motoki

No.0 迷宮出現

初めまして、Motokiです。

アンチコメはMotokiの精神を強烈に削るので、優しく柔らかく伝えてください。

誤字指摘等ありましたら積極的に報告して頂けると助かります。


 大地が揺れる、雷が鳴り響く、風が吹き荒れ呼吸もしづらい。

 周りにいた何人かは恐怖のあまりか気絶したり泣いていたりする。
 実際俺にも何が起きているのかは分からない。いや、起きている事自体は分かる。だがその現象がどういったもので、何故起きているのかは分からない。


 ただ、簡単にこの状況を説明するとするならば

 _____今、俺の目の前で、巨大な塔が突如として現れている。






 数時間前、俺は学校の大学説明会とやらで北海道の中心・札幌に来ていた。

 俺、坂本優人さかもとひろとは北海道の田舎でも都会でもない中途半端な町に住んでいる高校1年生だ。


 「俺らまだ1年生だぜ?大学説明会とか早すぎね?」

 大学説明会の会場に向かう途中のバスの中で、隣から愚痴が聞こえてきたが無視をする。

 「お、おい?無視?無視なの?俺のガラスのハートに亀裂が走ってるよ!?」

 …しつこいし、うるさい。

 「…うるさいな、勇気。だいたい何回目だよその話」

 俺の隣で妙にテンションの高い(これが平常のテンションだが)大谷勇気おおたにゆうきに返事をする。

 認めたくはないが勇気の容姿は誰の目からみてもイケメンの類に入るそれだ。
 ちなみに幼稚園の頃からの腐れ縁だ。

 「冷たいなー、優人は。幼稚園の頃は 勇くん勇くん ってニコニコしてくれてたn…グハッ!!」

 隣で余計な事を言い出した勇気バカの脇を肘で突き黙らせる。

 「昔の話だろ。…っと、見えてきたぞ」

 俺の声に勇気が反応する。
 俺たちの目的地である大学説明会会場が見えてきた。

 周りの生徒達もやっとバスから開放される、と嬉しそうだ。



 ………!?

 「きゃあっ!」
 「なんだ!?」

 周りの生徒達が今まで以上に騒ぎ出す。
 それもそうだろう、外が急に暗くなったのだ。
 日陰とかそういうレベルではない。夜だ。


 バスは止まり何人かの生徒達が外へ出る。
 先生は止めようとしていたが、突然の事に対応しきれていない。

 「優人!どうなってる!?」

 勇気が聞いてくる。
 窓側の俺の方が外を確認しやすいからだろう。

 「空が…見えない…?」

 「はぁ?」

 俺の言葉に勇気が怪訝な顔をする。
 そりゃそうだ、言った俺ですら理解できない。

 空が見えないといったのは建物とかに遮られているからではない。
 暗いのだ。真っ黒な天井があるような、底のない穴を見るようなそんな感じなのだ。


 ピカッと空が光った。
 その数秒後、轟音が鼓膜を刺激する。
 雷だ。

 「どーなってんだよ!意味わかんねぇよ!」
 「い、今のって雷なの!?」
 「皆さん!落ち着いてください!」

 騒ぐ生徒達を運転手と教師が静めようとするがそれは無理だろう。
 こんな状況で平気でいられる人間などそういない。
 その証拠に運転手や教師も、生徒達をほったらかして逃げそうな雰囲気である。

 突然、バスが動いた。
 運転手が動かした訳では無い。風だ、風に押されているのだ。

 直後、ものすごい衝撃とともにバスが横転した。
 俺と勇気は何とか脱出したが何人かは出てこれてないようだ。

 俺は何が起きているか確認しようとして____転んだ。
 地面が揺れている、立っていられないほどに。
 風も強く、呼吸がしづらい。

 「…い!な…だアレ…!」

 風で聞き取りづらいが勇気の声のようだ。
 勇気の方を向くと、青白い顔でどこかを指差している。

 そこには
 輪郭がはっきりしていない、巨大な塔の様な物があった。
 よく見ると徐々に輪郭がくっきりしてきている。
 高い、500メートルはありそうな高さだ。
 幅も言うまでもなく、でかい。
 そして頂上が微妙に歪んで見える。塔が歪んでいるのではなく、空間が歪んでいるようだ。
 だがそれもすぐにおさまり、その他の異常事態も少しずつおさまっていった。

 「…何が…起きたんだ…」

 その問いに対する答えは誰からも返ってこない。
 考えてても埒があかないか。

 「勇気、バスの中の皆を……助けよう」

 一瞬口ごもってしまったのは、助からない者もいる可能性がある事に今になって気づいたからだ。勇気もそれを悟ったようで泣きそうな顔をしている。
 この中で今冷静で居られているのは俺と勇気ぐらいだろう、周りは皆放心しているか気絶している。
 俺と勇気は重たい足を動かし、バスへ向かった。



 結論から言うと、バスの中に居たのは6人だった。その中で怪我をしていたのが4人。みんな重症だ。
 …そして残りの二人は死んでいた。

 やっと落ち着きを取り戻して来た生徒達や教師も、その事実を知った途端泣き喚いたり気絶したりした。

 「何で…何でなのよぉ…!」

 一人の女子生徒が、死んだ二人のうちの一人を抱えている。死んだ一人は彼女の恋人だったようだ。高校生なら遊びで付き合っている奴らが多いが、二人は本物の恋人だったようで本当に辛そうだ。

 周りを見渡せば札幌は酷いことになっていた。
 助けを求められそうな場所もない。
 携帯も使えないようだ。

 「優人、助けを呼びに行こう。」

 勇気がそう提案してくる。
 確かに怪我人がいる以上そうするのが懸命な判断だろう。慣れない都会だが、地図はある。

 「わかった、いこう。」


 俺たち2人の他にも4人ほど助けを呼ぶために動くと言ってくれたので、2人×3つのチームで別々に助けを呼ぶ事にした。俺と勇気はもちろん一緒だ。

 「じゃあ行ってくる。」

 そう言い残し、俺たちは歩き始めた。




 
 しばらく歩いていると不意に声が聞こえた。

 「ん?今なにか聞こえなかったか?」

 「あぁ、聞こえたよ」

 どうやら勇気にも聞こえていたようだ。

 「行ってみるか?」

 俺が提案すると勇気は少し迷う素振りを見せたが頷いた。
 声のする方へ近づいていくにつれ、周りの被害状況が大きくなっているようだ。塔からは離れているというのにどういう事だろう。
 その理由はすぐに分かった。
 隕石のような物が地面に半分埋まっている。隕石、と言ったのは地面にクレーターが出来ているからだ。

 「なんだよ、これ。黒い…水晶か?」

 俺は黙ったままそれを観察する。黒い、真っ黒な石のようなものだ。だが透明度があるような、そんな綺麗な石だ。大きさはバスケットボールより少し大きいくらいだ。

 「綺麗…だな。」

 俺がそうつぶやくと、勇気も頷いた。

『貴方達は、資格を有しているようですね』

 突然女性の声が聞こえた。
 勇気に至っては驚きで顔が凄いことになっている。
 …この顔を女子に見せてやりたいな。おっと、余計な事を考えてしまった。

 「お前は誰だ?」

 どこから声が聞こえているかは、分かっている。
 石だ。この黒い石から聞こえている、気がする。
 気がする、というのは頭に直接話しかけられた感じだったからだ。

『私は「塔を超えた所」にいる者です。貴方達この世界の人間は塔を超えなければならないのです。そうしなければこの世界は滅びるでしょう。』

 …何を言っているんだ?
 世界が滅びる?塔を超えろ?理解が追いつかない。
 それに塔を超えろとは?普通は塔を登れ、ではないのか。

 「…塔に行けば良いのか?」

『はい、ただしその前に私に触れてください』

 触れる事によって何が起こるか分からないが、俺は何故か素直に従っていた。

 「!? おい!待てよ!」

 勇気が俺の手を掴んで止めようとしたのと、俺が石に触れたのは同じだった。
 触れた途端、何かが身体の中に入ってきた。だが不思議と怖くはない。今まで欠けていた何かが元に戻っていくようだ。
 程なくしてそれは終わり、その場にもう黒い石は無かった。
 俺と勇気は顔を見合わせて何が起きたか確認しようとしたが、途端に勇気が倒れた。
 そして俺の視界も端から暗くなって行き、俺も意識を手放した。





 目を覚ますとそこは病院だった。
 隣のベッドには勇気が寝ている。
 特に何も付けられて居ないことから身体の方は無事なようだ。俺は身体を起こすと何があったか思い出そうとした。が、強烈な空腹感に襲われその思考も途中で止まる。取り敢えず近くにあった林檎(誰かが持ってきてくれたのだろう)を食べつつナースコールをした。

 「…知らない天井だ…!くぅ~、このセリフ言ってみたかったんだよな!」

 勇気が起きたようだ。寝起き直後にそんなセリフをはける様だし、俺と同じく無事みたいだ。…頭はもとからアレだしな。

 「起きたか、腹減ってないか?」

 「おっ、さんきゅ!こんな腹減ってんの生まれて初めてだぜ」

 林檎を夢中になって食べていると看護師達が集まってきた。

 「坂本優人くん、大谷勇気くんね。身体の調子はどう?」

 「はい、大丈夫です。あの、ここはどこですか?」

 俺がそう尋ねると看護師は少し困ったような顔をした。

 「ここは札幌ではあるのだけれど、その、色々と壊れてしまって、今は市として機能していないわ」

 なんと、そこまで被害が大きかったのか。
 勇気も目が点になって…いや、アイツは看護師を凝視しているだけのようだ。変態め。

 「ちなみに僕達はどのくらい眠っていましたか?」

 「貴方達がいつから眠っているのかは分からないわ。けれどここに運ばれてきたのは四日前よ」

 四日?四日って事は少なくとも96時間以上は眠ってたのか?勇気も驚き過ぎて目が点に…あぁそうだった、看護師を凝視してるんだった。

 「取り敢えず検査をしたいのだけれど、歩けそうかしら?」

 俺は立ち上がって多少動いてみたが問題なさそうなので頷く。

 「じゃあ、ついてきてね」


 俺たちはその後色々と検査したが特に何も無かった。
 強いて言うならレントゲンを撮る時に勇気が林檎を吹き出したことだ。
 何でもレントゲンを撮る時の「はいて〜!吸って〜!止めてくださ~い」というレントゲンを撮る人のイケボすぎる掛け声がツボに入り、笑いを堪えきれずに吹いたら林檎も一緒に出てきたらしい。理解できない身体の構造をしているようだ。




 その後何だかんだあったが無事退院した。
 …その頃には北海道は、いや日本は、一応は落ち着きを取り戻していた。

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