Human is freedom

人は、世界に存在している。

いま、1人の女の子の頭に粉がかけられた。

クラスメイトは見て見ぬふりをしている。不用意に何かをして自分が絡まれるのを恐れているのだ。

女の子の周りには女子たちがいる。3人だ。

女子たちは笑う。笑い続ける。

女の子の周りで、笑い続ける。

女の子は、泣いていた。

クラスの中で、静かに、泣いていた。

クラスメイトは、何もしようとしない。

ばかなのではないか。

そう思ってしまった。

黒谷「お前ら、その辺にしとけ」

男の子が、女子たちに向かって言う。

女子たちは男の子を睨み付ける。

「はぁ?」
「なに、なんなの?」
「あたしたち、この子をきれいにしてあげただけじゃん」

女子たちは興奮しながら言う。

黒谷「いいから、離れろ。」

女子たちは文句を言いながら去っていった。

男の子も、女の子の頭についた粉を払ってすぐに自分のクラスに戻っていった。

女の子は、何があったのかわからないまま、泣いていた。

黒谷「こんな世界、誰が作ったんだか」

男の子は、クラスに帰る途中にそう思った。

世の中には、幸せな人、不幸な人といろいろいる。

幸せな人は幸せな時間を過ごし、あっという間に1日が終わる。

さっきの見て見ぬふりなクラスメイトも、時間が経てば自分たちにはまた幸せな時間が来るとわかっている。

だからわざわざ手を出してまで不幸な道に行こうとしない。

粉をかけていた女子たちも同じだ。女の子に何かすることでどこか楽しみ、本人たちは幸せな時間を得ているのだろう。

だが、それには同時に不幸な時間を持つ人がいることになる。

この場合は、女の子がそうだ。

女子たちは粉をかけて楽しむ。

女の子は、髪の毛が汚れる。服も汚れる。

周りから可哀想な目で見られる。

でも助けてくれる、差し伸べてくれる手はない。

孤独感。心に暗いなにかが生まれる。

1秒でも早くその時間が終わることを願い続ける。

負の時間が、女子たちのばかみたいな時間から生まれる。

この世界に、そんな事が必要だったのだろうか。

みんなが幸せではだめだったのか?

俺には、黒谷一には分からなかった。

誰かが不幸になり、誰かが幸せになる。

なぜなんだろうか。

黒谷「こんな世界、壊れればいい。」

最近、そう思うようになった。


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