平凡な生活を送るはずが異世界転移に巻き込まれてしまった

零羅

Sランクと奴隷

今俺はギルド二階のある部屋の前にいる
「ギルドマスター、レイ様をお呼びしました」
「入れてどうぞ」
中から女性の声が聞こえた。
入るとそこには女騎士という言葉が最も似合う女性が椅子に座っていた。
金色に輝く髪から尖った耳がみえることからおそらくはエルフだろう。
「わざわざ呼び出してすまないね。君の討伐記録が異様だったものだから話を聞きたいと思ったんだ」
そういうとギルドマスターは目を細めた。
「いやぁ、なんかの手違いですかねぇ」
取り敢えず誤魔化す。通用しているといいけど、
「ギルドカードは何百人もの賢者が試行錯誤して完成させたものだ。もし手違いならばそれはそれで気をなるのだが......」
うん、無理。
「討伐数の多さは大規模魔法と言われれば納得出来なくもない。ただ......」
納得出来るんだ。
それよりも何が気になってるんだ?
討伐数の多さじゃないなら俺何もしてないと思うんだけどな。
「ここにサイクロプスとあるのはどういう事だい?」
何が言いたいんだろうか。サイクロプスなんてゲームじゃ中盤くらいに出現しそうなもんだが。
あれか、冒険者になりたての俺が中盤らへんに登場する魔物を倒せるわけがないと言いたいわけか。
まったく、肩書きだけで人を判断するとはいかんやつだな。
ここは胸を張って肯定してやる。
「そうだ、俺が倒した。別に素人冒険者がサイクロプスを倒すなんてこと有り得なくはないだろ」
自分でさっきギルドカードを誤魔化せないと言ったんだ、信じるしかないだろ。
しかし、なんだろう。
ギルドマスターも受付嬢もすごく驚いている。
えっ?俺そんなに貧弱そうに見える?
なんかこいつら失礼だな。
「君はSSランクの魔物、サイクロプスを倒したということの重要性を理解しているのかい?」
......SSランク?
ははは。何を言ってるんだ?
サイクロプスがSSランクなわけないじゃないか。
............マジ!?
「その顔は理解していなかったようだね。SSランクの魔物をひとりで討伐なんてSSランクの人でもできるかどうかってくらいの難易度なんだよ。それを傷一つ負わずに完遂するなんて......君は何者だい?」
困ったな、なんと答えようか。
もう考えるの面倒だし適当でもいいか。
「ただの暇人冒険者だ」
なりたてだけど......
そういうとギルドマスターは諦めるように引き下がった。
「教えるつもりは無いようだね」
そりゃそうだ。まだひとりの例外もなく言ってない秘密なのにここで暴露するわけが無い。
「ただ、SSランクを一人で倒したことは事実だ。このままFランクに留めておくのは無理だ。最低でもSランクにはなってもらうよ」
なんともすごい出世なこと。
いきなりSランクって飛びすぎだろ。まぁその分高ランクの依頼を受けることが出来るわけだから収入アップにも繋がるが......
目立ちそうなんだよなぁ。
「ただしいきなりSランクになると他の冒険者にとってはおもしろくないだろう。だから形だけでも試験を受けてもらうよ」
うわぁ、面倒事だ。断りたいなぁ。
「そんな嫌そうな顔しないでくれよ。試験は明日の正午に行う。絶対に遅刻しないでよ、というかまずちゃんと来てね」
それで話は終わりらしく、俺はギルドを出た。
メンドクセェ、何でこんなことに......


憂鬱気にギルドから出て(白金貨10枚くらい貰った)街をうろついているとふとどうでもいいことを考えた。
(奴隷が欲しい)
......本当にどうでもいいことである。
因みに何故奴隷が欲しくなったのかというと、ただ話し相手が欲しいだけだ。
今回の依頼で思ったのだ。
旅って思いのほか暇である。だから話し相手が欲しくなったのだ。
奴隷だともし力を使うことになってもむやみに聞かれることはないので俺からするとこれ以上ない優良物件なのだ。
ここの世界じゃ奴隷は国から認められた奴隷商人のみ、販売が可能である。だから俺が奴隷を連れていても、今俺が大通りで奴隷商を見つけてもなんら問題はない。
ここで俺の新しい仲間(戦闘員ではない)がみつかるのかと思うとそんなことは些細なことなのだ。
新しい仲間のことを考えるとワクワクが止まらない。
期待に胸を膨らませながら俺は奴隷商の扉を開けた。

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