平凡な生活を送るはずが異世界転移に巻き込まれてしまった

零羅

登録と予想外のテンプレ

冒険者ギルドへ入るとそこから男と酒の臭いが............という展開にはならず、むしろ一般家庭よりも豪華な感じがする。豪華といってもきらびやかというわけではなく白をベースとした、質素ながらも高級感を漂わせる感じの内装である。
まぁ、外装が綺麗なのになかは酒臭いというのも考えものだが。
そして冒険者登録するため受付まで行くと、一人の女性がいたのでその人に話しかけた。
「あの、冒険者登録したんだが......」
しかし、受付の人は俺をじーっと見て固まっている。
「おーい」
「......ハッ!す、すいません冒険者登録ですね。ではこちらにお名前と適正魔法の記入をお願いします」
一体どうしたんだろう。熱があるとか?
もしそうならば冒険者ギルドもなかなかのブラック企業だな、熱のある人を出勤させるとは。
そんなことよりも登録だ。
俺は紙に名前と適正魔法を書いた(嘘情報)。
「レイ・サイフィニス様ですね。分かりました、少しお待ちください」
そういうと、奥の方へと消えていった。
この名前はよくゲームで使っていた名義を少しアレンジしたものだ。本来はサイファーという名前である。
レイってのは零人から取った。まぁ、ほかにも意味はあるが…...
そして一分ほどすると受付嬢はカードを片手に戻ってきた。
「こちらがギルドカードです」
俺はギルドカードを受け取った。
このギルドカードはとても有能である。
図書館で読んだ本によると無くしても一定距離離れると強制的に持ち主の元へと戻ってくるらしい。
あと、討伐記録が残るとか。これは虚偽報告の防止策だろう。
良かった。これを貰ってからダンジョンに入っていたらとんでもない記録が残るとこだった。
まぁ、その場合は隠蔽すればいいだけだが......
「それではギルドについて説明をします。
まず、ここは国や国民から受けた依頼を冒険者登録している人たちへと斡旋する場です。
もちろんそのなかには危険な依頼も含まれております。ですから、そこで依頼の難易度をF~SSSのランクで表し、見合った依頼を受けてもらうようにしています。といいましても、SSSランクの人は現在ひとりも存在しないのですが......」
SSSランクは......ね。つまりSSランクはいるわけだ。
「ランクを上げるためには一定数の依頼を受けるか、ランクをあげるにふさわしい実績を残すかです。しかし、後者は稀ですのでランクを上げたいのでしたら依頼をこなすのが1番です。また依頼を失敗、もしくは放棄してしまいますと報酬の半額を支払わなければなりません」
「なるほど、ありがとう。分からないことがあったらまた聞きに来る」
「あっいえ......これが仕事ですので」
受付嬢は顔を真っ赤にした。
本当にこのギルド、ブラックなんじゃないか!?
そして俺は依頼の貼ってある掲示板まで向かった。
今の俺はFランクだから大した依頼は受けれない。
本当は護衛依頼を受けてここを出るつもりだったが、護衛依頼は最低でもDランクになる必要がある。
そのままこの国を出てもいいが、せっかくなので依頼を受けることにする。
別に今の姿なら勇者たちに見られてもバレないだろうから大丈夫である。
問題があるとすれば髪の色くらいだが、黒髪が全くいないわけではないので大した問題ではない。
そうして俺はFランクの依頼の中で討伐依頼がないか探していた。
するとひとつだけ残っていた。
『ラディレーンを討伐    補足:ラディレーンの魔石を5つ納品   報酬:金貨10枚』
ファッ!?
何だこの依頼、報酬高すぎだろ。
なんでこんなのがFランクなんだ、ってかなんで誰も受けないんだよ。
因みにこの世界の金銭はこうなっている。
石貨:日本円での1円
鉄貨:石貨10枚
銅貨:鉄貨100枚
銀貨:銅貨100枚
白銀貨:銀貨10枚
金貨:銀貨100枚(白銀貨10枚)
黄金貨:金貨10枚
白金貨:金貨100枚(黄金貨10枚)
帝金貨:白金貨100枚    
つまり金貨10枚とは黄金貨1枚のことである。
この依頼書を持って先程の受付嬢の元まで行った。
「この依頼なんでこんなに報酬高いのに誰も受けないんだ?」
「ああ、この依頼を誰も受けないのはですね、成功率の極めて低い依頼だからです」
「成功率が極めて低い?なら何でFランクなんだ?」
成功率が低いのにこんなところに置いておくといずれ死者が出るんじゃないか?
「いえ、危険度は高くないんです。ただラディレーンという魔物は出現率が低い上に臆病なためにすぐに逃げてしまいます。それにラディレーンはスキル『透明化(インビジブル)』を持っているため一度逃げられた場合見つけるのが困難なのです」
なるほどな、だから誰も受けようとしないのか。
「じゃあ、この依頼受けてもいいか?」
「えっ、受けるんですか?失敗すれば金貨5枚も失うんですよ」
「失敗しなければいいんですよ」
そう言って俺は依頼を受理し、ギルドから出ていった。
......そう言えばテンプレ来なかったな。
まぁ、あんなに設備の整った場所で問題起こす馬鹿はいないか。


そして俺は今この間のダンジョンより少し離れた森に来ている。
どうやらここにいるらしい。
なぜそれが分かるかって?世の中には知らなくていいこともあるんだ。
俺は森の中を一切迷うことなく歩き、ラディレーンの反応がたくさんある場所へと向かった。
そこには20匹ほどのラディレーンがいた。
ラディレーンとは一言で言うと虎模様をした兎である。なんとも奇妙な生き物だ。まぁ可愛いけど......
しかし俺は無情にも影縫いで全員の動きを封じ、なるべく傷をつけないように窒息死させた。
ラディレーンの部位は魔石に限らず皮や爪、肉も高級らしいので全てBOXに入れて保存しておく。
もし依頼が来れば高収入になるからだ。
それから森の中の魔物を手当り次第狩り尽くした。(ただの暇つぶし)
ラノベだとすぐに依頼を終えて帰ると驚かれるので、こういうのはいっときして夕方頃に帰らなければ行けないのだ。
夕方になった頃には森から魔物の反応が消えていた。
ついつい狩りすぎてしまった。
ただし、俺はこのとき忘れていた。
ギルドカードが討伐記録をちゃんと残しているということに。


俺はいかにもたった今終わりましたよという感じのオーラを出しながらギルドに入った。
「あっ、レイさん。どうされたのですか?」
「いや、依頼終えたから達成報告に来た」
そういうと、俺は鞄から(BOXから)ラディレーンの魔石を取り出した。
「本当に終わらせたのですか!?なんとも強運の持ち主ですね。では、一応確認のためギルドカードを提示してください」
言われた通り俺はギルドカードを提示した......あっ!
そう言えばこのカード討伐記録残るんだった。
「............えっ?」
俺の討伐記録を見て受付嬢は固まった。
「あ、あのう、この討伐記録はいったい......」
それはそうだろう。森の魔物をすべて狩ったんだ。
とんでもない事になっているのは見なくともわかる。
「少し待っていてください」
そういうと、受付嬢は奥の方ではなくギルドの二階へ向かった。
受付嬢は二回から降りてくると俺にこう告げた。
「ギルドマスターが呼んでいます。こちらへ来てください」
結局テンプレ通りになるのかよ、と思いながらも受付嬢について行った。

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