平凡な生活を送るはずが異世界転移に巻き込まれてしまった

零羅

初恋と異世界

私の名前は黒百合 聖。
今日は入学式で本来なら今年1年を過ごすクラスメイトとの初交友だったりで楽しいはずなんだけど、私は今とても憂鬱な気分だ。
その原因はさっきからずっと感じる視線だ。ストーカーなんかではない。大勢の男子からのいやらしい視線なのだ。入学式も終わり今から教室へ向かおうとしているのだけど、学校の敷地内に入ってからずっとこんな感じである。
教室に入ると私は急いで一番後ろの席についた。もし真ん中の席につくと後ろに男子が来たときに授業に集中出来ないからだ。
はぁ、中学校のときもそうだけど高校でも男子に気をつけながら過ごすのかなぁ。
そんなことを考えていると私の隣......窓側の一番後ろの席に誰かが座った。
チラリと横目で見ると、メガネにマスク、目を隠すほどの前髪といういかにも地味って感じの容姿をした男子がいた。やっぱりこの人も私に言い寄ってくるのかな。
しかし、どれだけ経っても彼は私に話しかけてこない。というか、チラリとすら私を見ないでずっと本を読んでいる。
珍しいな、と思い少し興味が出たので話しかけてみた。
「ねぇねぇ君」
「何か?」
なんだろう、少し怒気が混ざってる気がする。読書の邪魔されて怒っちゃったかな?
でも本当に珍しい。私を顔を見ても眉一つ動かさないでそれどころか距離をおこうとする男子なんてはじめてだよ。
なんかこの言い方だと自意識過剰な人みたいだな。
「いや、せっかく隣になったんだし挨拶しようかなって思って......」
「ああ、たしかにそうだね。俺は神無木 零人よろしく」
「私は黒百合 聖よ。よろしくね」
なんだろうこの気持ち。今まで男子は下心のみで私に近づいてきたけど、この人となら仲良くなれるかも。
それから神無木君と世間話なんかをして楽しんでいるといつの間にか時間が経っていて担任の先生が教室に入ってきた。
「私がこのクラスの担任だ。よろしくな。本当なら自己紹介の場を設けたいんだが、時間が取れそうにないんだ。だから各自で行ってくれ」
そして、先生は連絡事項を述べるとすぐに教室から出ていった。
皆が集まって早速交友を始めている中、神無木君は1人鞄を持って教室を出ていった。
私は急いで彼のあとを追った。どうせあの中に交じっても男子が言い寄ってくるだけだ。
それならまだ彼といた方が楽しい。まだ、あって少しなのにそう思えてきたのだ。
「神無木君。もう帰るの?」
「黒百合さんこそもう帰るの?」
「いや、神無木君が帰ろうとしてたから追いかけてきたんだ。あと、呼び捨てでいいよ。」
「そっか、なら校門まで一緒に行く?」
「うん!」
そうしてまた神無木君と話しながら昇降口まできてロッカーを開けると中にラブレターらしき手紙が入っていた。内容は
『放課後、校舎裏の木の下で待ってます』
まだ、会話もしたことないのにもうこんなの送ってくるんだ。
「ラブレター?それなら返事返してあげた方がいいんじゃない?」
「......うん」
せっかく楽しく話していたのに、誰よこんなの送ってきたのは。
「それじゃあ、また明日ね」
「うん、また明日」
神無木君と別れると私は校舎裏の木の下に向かった。
するとそこには背の高い運動系男子がいた。
「黒百合、俺はお前に一目惚れした。付き合ってほしい」
人生で聞き飽きたフレーズを最後まで聞くと私はこう言った。
「すいません、勉学に集中したいのでお断りさせてもらいます」
長年告白されたのでもはや、定型文になってきている返事を返した。
すると、その男子は怒った形相で私に詰め寄った。
「嘘をつくな!お前はさっきまで男子と楽しく会話してたじゃないか」
さっきまでって......ストーキングしてたんだ。
しかし、その後の男の行動には驚いた。
なんと私の服に手を伸ばしてきたのだ。
私は急いで距離をとった。
「何をする気ですか。学校側に言いつけますよ」
「知るか!俺を怒らせたんだ。俺がたっぷり遊んでやる。そして、その写真を撮ればお前も学校に言えないだろ」
なんてゲスな。私は急いで逃げようとしたが腕を掴まれた。
運動系ってだけあり、女の私じゃ振り切れない。
私はそのことに絶望し、その後されることを考えると涙が出てきた。
「グハッ」
しかし、何故か男は急に私の腕を離し自分の局部に手を当てて倒れた。
男の後ろにはなんと神無木君がいたのだ。
「ありがとう、私もう少しで......」
「いやいいよ、なんか揉める声が聞こえたから見に来てみればさっきの光景が見えたから助けただけだよ」
安心しているとさっきの男が立ち上がった。
「よくも、キサマぁァァァ」
「神無木君!!」
そしてあろう事か神無木君目掛けて殴りかかってきたのだ。
神無木君は見た感じ運動音痴なように思う。このままだと危ない。
そう思っていたけど、
神無木君は男のパンチを軽くいなして、鳩尾に一撃、そして首裏に手刀をいれて一瞬で男を気絶させてしまった。
そして私はその動きを見てカッコイイと思ってしまった。
私が神無木君に見蕩れていると運動したせいか、曇ったメガネとマスクを外した。
私は彼の素顔を見て絶句した。
なんと、かなりのイケメンだったのだ。
私は自分が可愛いという自覚はあったのだが、その私が自分以上に顔の整った人だと思うほどだったのだ。
ただ、少しすると神無木君はすぐにメガネとマスクを戻してしまった。
もう少し見ていたかったけど仕方が無い。
「それじゃあ、帰ろうか」
神無木君が私を誘った。
「うん!」
間違いなくこれが私の初恋だろう。


だけど、入学式以降彼が学校に来ることは無かった。
そして、彼が次に学校に来たのは二年生になってからである。どうやって進級したかはわからないけど、そんなことよりもまた彼とあえて私は嬉しかった。
そして1ヶ月後に私たちはこの学校から消えた。

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