平凡な生活を送るはずが異世界転移に巻き込まれてしまった

零羅

階層主と別れ

ダンジョンに入って数分初めての魔物とエンカウントした。

ステータス
【名前】スライム
【レベル】1
【HP】20
【MP】5
【STR】8
【DEX】3
【VIT】7
【AGI】2
【INT】3
【MND】2
【スキル】溶解

スライムか、定番だな。
白石が一撃で仕留めた。ただそれだけなのにみんなのレベルが上がった。
成長速度えげつねェ。
そうしてゴブリンやコボルドというRPGで馴染みのあるモンスターとばかりエンカウントしていった。
それでも5層についた頃には皆レベルは10になっていた。
「ここからは今までの魔物より強いのがでてくる。おそらく戦闘経験のない君たちなら少し苦戦するだろう。気を引き締めて行くぞ」
しかし、その後も油断せずに挑んでいくと苦戦することなく7層にまでたどり着いた。
7層を廻っていると途中に怪しい扉があった。
「何この扉」
白石が不信がりながらも扉へと近づいていった。
すると扉にはこう書かれていた。
『進化の間』
「ねぇ、進化の間だって。ここに入ると強くなれるんじゃない?」
「いや、確かにそうだが、そこに入るのはやめておいた方がいい。俺も進化の間については詳しく知らないがあまりいい噂は聞かない。情報がない今は入らないのが無難だ」
ノーブルは扉へ入るのに否定的なようだ。
俺も入らない方がいいと思っている。図書館では進化の間については存在しか書かれていなく、詳細が書かれて無かった。
そんなこんなで立ち往生していると急に扉が開き俺達は中へと吸い込まれた。
扉の中は何も無い白い空間が広がっていた。
「しまった、扉が閉められている」
つまり閉じ込められたのか。
解放条件はモンスターハウスかボス級の魔物の討伐ってところだろう。
するといきなり何も無い空間に影が差した。
正面を向くと緑色の牛頭男......ミノタウロスがいた。

ステータス
【名前】ヴァンムッカ (階層主)
【適正魔法】風     【レベル】187
【HP】76760
【MP】36450
【STR】56470
【DEX】11370
【VIT】36480
【AGI】44250
【INT】29750
【MND】11860
【スキル】斧術 風装

おいおい、ステータスおかしいだろ。
さっきまではいてもレベル10だぞ。いきなり187って…...
しかも階層主とか訳の分からない肩書きが付いている。
他のみんなも奴のステータスを見て驚いている。というか、皆は怯えている。
それもそうだろう。ここにいるみんなのステータスを足しても奴には届かないからな。
俺達が動かない間にもやつはこちらに近づいてきている。俺は影縫いでやつを足止めした。
「何ぼさっとしてる。死ぬ気か!」
普段ほとんど会話をしない俺が声を荒げたせいか皆ビクついた。しかし、皆の意識は戻ってきた。
「しかし、どうする。奴には半端な攻撃は聞かないぞ」
ノーブルが正論を述べてきた。
「ノーブルさん、『透過』を使えましたよね?」
「確かに使えるが、しかしあれは魔力の消費が早い。5人運ぶのが精一杯だ」
そんなことは知っている。だが......
「俺には影魔法があります。俺が影縫いでやつの動きを止めます。そのうちに皆を外へ。自分は影を通して外に出ます」
「しかし......」
「はやく!!」
俺が怒鳴るとノーブルは納得してない顔をしながら、透過を使い扉を抜けた。去り際に
「気をつけろよ」
と残していった。


............さて、皆も居なくなったし、俺は影縫いを解き、
階層主の元へ向かった。
「この世界を見て回りたかったしここでアイツらともわかれるか」
歩くことついに階層主との距離も20mほどになった。
「俺にアイツらと分かれる機会をくれたことには感謝するがお前がいると俺がいない間に誰か殺されるかもしれないからな。それは後味が悪い。お前には悪いが死んでもらうぞ」
レベル187という、イレギュラーなレベルの敵を前にしても俺は全く怯んでいない。なぜなら............
「『影の世界(オンブルヴェルト)』」
俺の後ろから影が現れた。いや、光をも飲み込みそうなほどの闇である。闇は階層主をいとも容易く飲み込んだ。
......さすがレベル187。今の勇者からすると強敵だが俺からしたらただの『格下』だ。
俺は掃除を終えると扉へ向かわずに影の中へと入っていった。
そして影で移動を続け俺は今、7層のある分岐点にいる。
「このままアイツらがここを使うなら他の階層主と出会う可能性があるからな。無言で別行動する分のお詫びってことで旅の前にこのダンジョンを掃除するか」
そう呟き8層へと向かった。


それから数時間が過ぎた。
「ここが最終層の50層か。意外と早くついたな」
ここに来るまでに俺は階層主9体(ミノタウロスも含む)を倒した。ケンタウロスやガーゴイルなど種類はバラバラだったがいくつかの法則を見つけた。
どうやら5層ごとに1体いるらしい。それと全員が風属性であることも分かった。
そして何より階層主は全員各層のダンジョンボスの上位種であったということに気づいた。
そうして今、俺は最終層の階層主と対峙している。

ステータス
【名前】暴風龍ストレンヴルム (階層王) (属性龍)
【適正魔法】風 嵐     【レベル】1530
【HP】1675450
【MP】1635790
【STR】1387980
【DEX】2267290
【VIT】1462180
【AGI】4963170
【INT】1538760
【MND】1359740
【スキル】大災害(風) 風装 自然化(風) 竜王解放 台風魔法(ユニーク属性『嵐』)

「『影墜(アトラディオーネ)』」
俺は厄介なスキルを使われる前に敵を『潰した』。
俊敏と器用さの異様な数値や属性龍というワードなど色々気になることはあるが一旦度外視して、階層主が階層王になっていることでコイツが最後だと確信を持つことが出来、ひと安心した。
「階層主や階層王は普通の人じゃ相手にもならないな、それどころか勇者でも相手になるか分からん。いや、階層主ならば善戦できるかもな」
もし勇者たちが今後階層主たちと出くわすようなことがあるならばドンマイとしか言えない。
先程の属性龍だが、おそらくは他のダンジョンにも階層王がいるのだろう。そいつらは旅の途中であったら倒すって感じでいいだろう。
それにしてもあとこいつレベルの奴が10体程いるのか。
よくこの世界存続できたな。
「そろそろ外に出るか」
そういいながらメガネとマスクを取った。
「この世界じゃ顔を晒していてもあいつらは来ないだろうし、勇者たちは俺の顔を知らないからなバレないだろ。『転移』」
そして、俺は本来使えないはずの転移魔法で地上へと戻った。


しかし、その時俺は忘れていた。
勇者のほとんどは零人の顔を知らないが1人だけ、彼の顔を知っている人物がいるという事実に............
そして、零人がそのことを後悔する日が来るということに。
ただそれは、まだ先の話である。

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