能力しかないこの世界で

卯月色

支配の体

「まず最初に話すべき事は俺の母さんは誰かかな…」
国次の静かな口調に和斗はゴクリと唾を飲み込んだ。どうやら国次の父親である男はその話を遮らず、遠くでぼんやりと立っている。
「俺の母さんはお前も会っているが…分かるか?」
「多分スズ姉の事だな…年齢も姉弟にして離れすぎているし、お前がたまにスズ姉の呼び方を間違えかける。」
「そうか…まあそうなるよな。」
「しかしだ…親子にしては少し年が近すぎるぞ?だから俺は姉弟で無理矢理納得せざるおえないんだ。」
「う…うん。実は俺の母さんは14の時に俺を産んだんだ。」
「え…」
あまりの衝撃の真実に和斗は何も言えなかった。国次の今の年齢は20なので一般的な親の年齢は40から50若くても38というのに対して鈴音は34、余りにも若かった。
「お前って一体…」
「それじゃあ俺の母さんと父さんの話もしていこう…」
  

*ここからは国次視点で物語が進みます。


  母さんと父さんは物心ついたときには既に一緒だった。というのも母さんと父さんは拾い子だったんだ。
  正確には父さんと母さんともう1人の人物がいたらしい…
「もういーかーい!」
「もういーよー!」
  和斗が今想像しているような子供3人出会っていると思うよ。その3人が今かくれんぼをやってる状況と考えてほしい。
「みーつけた!」
「ちぇ、みつかっちゃったぁ。」
  この元気でかくれんぼの鬼をやっている女の子が俺のお母さんだ。
  お母さんの元々の正確はとっても元気で笑顔溢れる子供だったんだ。この3人の中だと上から2番目で長女に当たるね。まあ年齢は皆一緒だからそんなに問題じゃないんだけどね。
   そしてこのみつかっちゃった子は…確か名前は響(ひびき)だった気がする…俺も会ったことないからよく分からないんだよなぁ…
   響…さんはこの中だといちばん最後に来た子供だったから次男になるね。
   そして最後にひっそりとニヤニヤしながら隠れてるこの子が俺の父…つまり守だ。
   父はいちばん最初に来た人間だから長男にあたるな。
   この3人は幸せな生活を送っていたんだ…少なくとも響さんが13歳の誕生日になる2月14日までは。

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