能力しかないこの世界で

卯月色

逆転

 蕾は動揺していた。そしてその動揺を相手は見逃さなかった。いつの間にか後ろに周り拳銃の銃口を蕾の頭につけていた。
「その銃…さっきのとは違うな?まあこんなに速く取り出せるのだから、拳銃だろうな。」
「察しが良いのね…そうよ、これはリボルバー…日本で言うと回転式拳銃よ。」
「そんな危ないものをくっつける?」
「あら、私の国では良くあることよ。」
  そんな会話をしながら黒装束の女性はゆっくりと出口に近ずいていく。だがその時、あることに気がついたのだ。なんとさっきまで普通にドアの近くにいたはずのキバナがいなくなっているのだ。辺りを見回した時にはもう遅く後ろからキバナが飛びかかっていた。
「捕まえた!」
キバナは身体をがっちりと抑えたその時。
ドドドドドドドドドドドドド…
 遠くから何かが迫ってくる音が聞こえた。そして協会の窓から沢山の人が入ってきた。鈴音、花月そしてキバナが人の波に呑まれてしまった。3人の叫び声が聞こえたあと人々は居なくなり、ただ静寂だけが残っていた。キバナ、花月、鈴音は3人とも無事だったが黒装束の女性を逃がしてしまったことを残念がっていた。

コメント

コメントを書く

「現代アクション」の人気作品

書籍化作品