能力しかないこの世界で

卯月色

帰宅

その頃、教会には1人の人物がいた。その人物は小声でスズネ…クニツグ…と呟きながらある物を探していた。静かな教会にただただ物をゴソゴソと動かす音だけが聞こえた。
  場面は戻り、国次はある事を皆に提案していた。
「なあ、これからどっちが速く戻れるか競走しようぜ。」
  全員の頭上にはてなマークが浮かんでいるのに対し国次は続けて言った。
「これからバイク組と自動車組でどっちが速く帰れるか競走しようぜ。」
「でも行きは同じ道だったから帰りも同じ道だと競走にならないんじゃないの?」
  鈴音のツッコミに対して国次は鼻を鳴らして答えた。
「ふっふっふっ…俺達が来たのは確かに同じ道だったがあの道以外にもう一つ帰れる道があるのだよ。」
  そう言うと国次は一緒にバイクで来た和斗を引っ張っていった。
「おい!どの道か分からなかったら凄い不安じゃないか!俺ぐらいには教えてくれよ!」
「しょうがないなぁ…ほらこの道だよ。」
「ああ、このルートね、なるほど…」
  などと和斗と国次の会話が遠くから聞こえる。
「全く…それじゃあ私達も帰りましょうか。」
  鈴音達もそう言って車に乗った。
         ………………………………
  途中から全く別の道になった為どちらが先に着いたか分からない状況出会ったが先に教会に着いたのは鈴音達だった。
「ツーツー…あれ?どうして国次達は電話に出てこないんだろう?インカムを携帯に繋げているはずだから運転中でもでれるはずなのに…」
  そんなことを言っている花月に静かに…と鈴音が本気の顔でそう言っている。
「ん?どうしたの?鈴音さん?まさか…」
  彼女達は教会に 誰 か が い る 事に気づいた。
  そして教会の中の人物も鈴音達に気づいていた。
                      ガチャ
  扉がゆっくりと音をたてて開いていた。
「ただいまー」
  そう言って鈴音とキバナは入ってくる。
  教会にいた人物は既に身を潜めており、手に持っているライフル銃でゆっくりと鈴音の頭に合わせていた。ニヤリと笑いトリガーに手をかけた時…何故か顔の下に輝く物があった事に気づく。何か確認しようと思ったらその輝く物体が首の下についていた。その時潜んでいた人物は輝く物体の正体に気づいた。
  その輝く物体はナイフだった。
  後ろには整った顔立ちをした二十代の女性がナイフを掴んでいた。ナイフを持った人物は女性にしては低い声で、
「あんた…その不自然な黒装束の服に目以外を隠している姿と言うことは…イズロム教の女性か?それともそう見えるようにわざと変装しているのか?」
  その質問に対して、黒装束の人物は何も答えなかった。
「…まさか言葉が通じない訳じゃ無いよな?しらばっくれるなら別に答えなくていい、だがあんたは誰の命令で来た?これには答えて貰うぞ。」
  ナイフを持った女性は暗く深い殺気を放ちながらそう言った。
「桜吹雪…桜吹雪 守(さくらふぶき まもる)よ。」
「えっ?」
  ナイフを持った女性は明らかに動揺した。なぜならその桜吹雪という名前は今自分もそうなのだから。
  そうその女性の名前は桜吹雪花月だった。正確に言うともう一つの身体が桜吹雪花月という名前だった。

コメント

  • 卯月色

    急に現実の宗教要素をいれるのは失敗でした…

    0
  • 柏崎権三

    イスラーム教は草

    0
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