【嫌われ体質】自覚したら最強?かも

久留米天狗

(136) 眠る喜び

(136) 眠る喜び



「「ビーストリア様に栄光あれ!」」

そう叫ぶ、兵士たち
『遮音』で叫び声を消す

「アメイヤ、この中に召喚師は居るか?」

アメイヤは、『ロケートアイ』で三人の召喚師を見つける


三人の座る椅子を動かし、俺たちの前に移動させる

「質問だ、お前たちは、ドワーフの村を魔物に襲わせたのか?」

首を左右に振る
『遮音』していたので、声が聞こえなかった

三人の『遮音』を解除

「『召喚誘導』に関して、知る限りの事を話せ」

「私は、鳥系の魔物を使役しているが、まだ上位種を召喚出来ない、今回は『土竜もぐら』『巨大オケラ』を召喚してました」

「私は、狼を召喚出来ますが、上位種は使役していません、今回は『巨大オケラ』を使っていました、『召喚誘導』は出来ません」

「私は『土竜もぐら』しか召喚出来ません」

コイツらは、穴堀り担当か



「ビーストリアって何者だ」
リヤド、タリアに聴く

「帝国の情報は余り無いんだ」
「(首を左右に振る)解らないわ」

「アメイヤ、ビーストリアを見れるか?」

首を振る
「名前だけじゃ、見れないよパパ」
俺が、聞く前に試してダメだったようだ

魔獣ヘルペリウム帝国は、政権交代が激しい、実力次第で、トップが入れ替わる

戦争や暗殺で入れ替わる
各地に王と呼ばれる存在が複数居る

ディレクション王国の冒険者ギルド本部副マスターリヤド、タリアでも、ビーストリアの事は解らないと言う


「ドワーフやエルフは、絶対数が少ないんだ、王と呼ばれる人物が、ここ数十年居ない筈だ」
「その理由が、集落が点在しているからと、言われてるわ」

ジ・ユグのランコに電話
ドワーフの王は居ないか聞いてもらう
『今は、居ない』と返ってくる

「ディレクション王国にも、ドワーフやエルフは居るよな? 魔獣ヘルペリウム帝国のドワーフやエルフとは、違うのか?」

「は? 何を言ってるの、魔獣ヘルペリウム帝国にも、人族は居るのよ、ディレクション王国の人族と、魔獣ヘルペリウム帝国の人族とは違うんだから、魔獣ヘルペリウム帝国とディレクション王国のドワーフやエルフは違うに決まってるじゃない」

「そうだよな…」

地球でも、『人』と括れば、白人も黒人も、日本人も、男も女も『人』だ
各国に、総理や大統領、首脳と呼ばれる存在が居る
帝国では王と、自称している者も入れれば、両手でも足りない


ドワーフやエルフはどう区別しているかは解らんが、魔獣ヘルペリウム帝国とディレクション王国のドワーフやエルフは違うということだ

魔獣ヘルペリウム帝国では、ドワーフ族や人族は、蔑まれた種族になるらしい
理由は、魔力の絶対値が低いから
魔力が高い種族程、優れた扱いになると言う

「じゃ、俺やアメイヤは勿論、パーティー『アンドレ・アルス』メンバーなら、魔獣ヘルペリウム帝国の王になれるな」
「アメイヤ、魔獣ヘルペリウム帝国の王に成りに行くか?」

「だいすけが、言うと冗談に聞こえん」
リヤド、タリアが苦笑い


「コイツら、どうする?」

「どうすると、言われても…」

「鉱山奴隷じゃないが、俺が農夫として働かせても、問題ないな、死んだ事になっているんだから」

「大人しく従うかしら」

「コイツらには、何も出来ないんじゃないのか?」

「何も出来ないとは、仕事がか?」

「帝国がどうかは知らんが、上流階級の人間は、農作業は出来んと思うぞ」

リヤドの言うのは解るが

「手取り足取り親切に教えるさ、文字通り、手取り足取りな」

青くなるリヤド、タリア

「回復魔法が使えるからって、それはやり過ぎだよ、パパ」

アメイヤにも解ったらしい

「2・3人、犠牲者が出れば、その後は無い筈だ、コイツらもバカばかりじゃ無いだろうからな」

「その事も含めて、報告に戻りましょうか、ここには居たくないわ」

タリアの提案で分身、アメイヤ、紅、リヤド、タリアを王都センター、冒険者ギルドへ転移する

本体は、コイツらの処分で残る

椅子に固定されていた、首、手足を外す

「さて、お前達は、俺の奴隷になってもらおう」
初めて姿を見て、驚く

まだ子供くらいの容姿、兵士なら入隊したばかりと言ってもいいくらいの人族の青年

だが、俺は威圧を使っている

兵士たちが絶望的と感じる威圧、少しの希望も持たないように


一人の上官らしい男が
「我々は、どういう処分を受けるのだ」
震えている

「衣食住の保証はする、畑で働いてもらう」
「飯は自給自足、自炊してもらう」
畑や森、川を写し出す

「お前達の暮らす場所だ」

アパート建築現場を作業風景を写し出す
「!?」

「見ての通り、住まいの建設をしているのは、お前らが使っていた傭兵たちだ、これからは同じ住人として、働いてもらう」

オーグ、竜二、竜三を写し出す
「俺の従魔だ、一人一人がお前ら180人を相手に出来る程の実力持ちだ」

「俺達が、そこで仲良く出来ると思っているのか?」

180人の首に一瞬で首輪を着ける
「!?」

「奴隷の首輪だ、俺の言葉には逆らえんよ」

「最初の命令だ」

ゴクリと、生唾を飲み込む音がする

「風呂に入れ」

最初の命令が、風呂だ、あっけにとられるが、体が反応する

軍服を脱ぎ始める、脱いだ軍服は消える

椅子がくっつき、床からお湯が湧き出る

「言っておくが、『温水』で温泉じゃないぞ」

壁にシャワーが出てきて、鏡が出てきて、石鹸が出てきて、どこぞのお風呂の施設

「早く済ませろよ、風呂の次は飯だからな」

飯だと言われて驚く

体が反応する、シャワーのところへ行き、体を洗い始める
初めて見る蛇口なのに、回してお湯が出ることを理解している

初めて見るポンプ式ボディーソープ、シャンプーなのに、使い方が解る
シャワーのお湯を飲むヤツも居た

「飲みすぎると、飯が食え無くなるぞ」
それに気づいた仲間に止められる

一通り体を洗い終わると、お風呂につかる

「お風呂か…何ヵ月ぶりかな」
ポツリと呟いた

「180人が入れる風呂を造れる、土魔法、お湯を出す水魔法、逆らうだけ無駄だと思わないか」

「傭兵たちと仲良く出来れば、兵士の時より、いい暮らしが出来そうな気がするんだが…」

ラッカ隊長より、こっちの上官の方が信頼が厚いようだ


泣いているのを誤魔化す様に顔を洗う兵士も居た



首輪には、【嫌われ体質】で『争い』『暴力』を嫌うように付与している


「そろそろ、飯にしようか」

風呂から上がるが、タオルも着替えもない

壁に穴が開く

体を反応する
何も言われていないのに、穴に歩き出す

穴を抜けると、体が乾き、服を着ている

驚いても、足が歩みを止めない

広い空間に180人が入る

テーブルとイスが現れる

流れが二手に別れ、右奥と左手前から座り出す
体が勝手に反応する

180人が座り終わると

目の前に、初めて見る料理が出てくる
うどんと雑炊、お茶、ノリの佃煮

お箸、使い方が解らないのに手に取り上手く使い、うどんをすする

「旨い」「美味しい」「温かい」

「初めて食べる」

グスッ 泣いているヤツも居た

食事の有り難みを感じていた


軍人気質?180人がほぼ同時に食べ終わる

イスから立ち上がると

テーブル、イスが消える

「下がれ」
壁際に体が動く

ベッドが現れる、シングルベッド180個

もう驚くのを諦めたような感じで見ている

「イビキまでは、責任は持たん」
そこは、『遮音』してよと、心の声がシンクロしたのは言うまでもない

「明日から、仕事をしてもらう」

東西南北に黒い穴

「穴の先がトイレだ」

中央、天井に砂時計が現れる
「その砂時計が落ち終わるのは約10時間後の朝6時。それまで、ゆっくり休んでもらって構わん、おやすみ」

部屋が薄暗くなる

逆らうことなく、ベッドに入り、寝る兵士たちだった

寝れる喜びに意識を手放した





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