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ゆーD

神獣最高2

 ブレイズの方法により残りの四体もまとめて召喚したが魔法陣の規模がでかすぎてアストは白目を剥きそうであった。
 アストが見た中での魔法陣の最高の大きさはせいぜい6畳程度の大きさでしかなかったが今浮かび上がっている魔法陣の大きさは四層全ての全域に及ぶほどの大きさだ。
 ただ混乱が起きることはまずない。
 この召喚術の魔法陣は召喚した者とその召喚術に関わっているものしか見えない。
 つまりアストもなんらかの形で関わっていることになっているがアストは今回何もしていないために本気で驚いている。

 その魔法陣から出てきたのは一体目はこの世界では誰もが恐れるアルミラージ。見た目は兎なのだが角があり威圧感と体から出る冷たいようなひくつくような恐ろしさは計り知れないところがある。

 そして二体目は代々語り継がれる神獣のファルコンである。見た目は竜に近いが頭が五つあり近寄り難い雰囲気とともにどこか優しさを含んでいるような感じがある。

 そして三体目は雷獣である。獣というよりは妖怪に近く、四本の牙と体毛とは色の違う黄色のたてがみをしている。古来より厄災のもととして例えられている。

 そしたて四体目はイメージが獣でも妖怪でもなく見た目は浮かぶ白の球体がゆらゆら揺れているこいつはユリガーナ。他の神獣と比べると見劣りし威圧感もない。この神獣だけ決して強そうだとか神獣か?とか思ってしまう。
 
 そしてなによりこの五体が集まったことにより現在ミューナとアスト付近の気温と状況は最悪である。
ブレイズはミューナの従属しているため特に問題はなかったのだが他の三体・・は依然として威圧してきている。
 それが影響して現在はブリザード級の吹雪の中で猛烈な竜巻が吹き荒れとてつもなく威力の大きい雷が幾度となく落ちてきている。
 それをいとも介さずに佇む一体の白い球体はやはり防御では最強というのも伊達ではないというところなのだろう。
 アストはブレイズの結界に覆われなんとか耐えているがミューナは自分を防護結界に覆って平然としている。
 それをみて神獣達は威力をさらにあげるがそれと同時にミューナもそれと同等まで引き上げる。

 それをみたアルミラージはこう告げる。

「ふっいいだろう。次は我が全力だ。我が全力受けても平然としていられるなら契約してやろう。ただ受けきれなかった場合そこの小娘、死ぬぞ?」
「あの馬鹿。主様にお前のやわな攻撃など聞くはずがないだろうが」
 ブレイズはそういうとミューナにすこしは手加減してあげてくれと頼もうとしたのだが。
「じゃ私も全力でいくね!!」
 駄目であった。そして少しずつ魔力の質があがり無限に膨れ上がるような違和感をブレイズは感じる。
 神獣達に逃げろと言おうとしたが既に時遅し。
 ミューナは一回深呼吸をしたあと瞬時に魔力を練り上げ上級魔法である圧空砲プレシボムを撃ち込んだ。
 圧空砲とは自分の周りの空気を圧縮し打ち出すだけの魔法であるがこの魔法がなぜ上級魔法なのかというと自らの周りの空気を集めることは容易にできるがそれを攻撃に使えるかとは別の話である。
 つまり攻撃で使えるほどに空気を圧縮できていない、そして集める量が足りないという点で風魔法の上位互換である風迅魔法使いでようやく攻撃に使える魔法だ。

 それをミューナは自分から半径50m以内の空気を瞬時に圧縮し撃ち込んだのだ。それは砲撃ではなくレーザーのようであった。
 
 そして一切の反応もできず全ての神獣が意識を断つ。
 雲がかかっていた空は先程ミューナが撃った圧空砲で見事に雲と雲が割れてそこから日が差し込んでいる。

 そしてミューナはアストとブレイズのほうをみてやりすぎちゃったかな?と告げたがアストは腰を抜かしブレイズは開いた口が塞がらなかった。
 それほどまでにミューナがつくりだした魔力は強く質がよかった。
 
「とりあえず他の神獣達を起こしてくれんか?そうでないと話もまともにできぬしな」
 自分に喝を入れ奮い立たせるブレイズだが未だに何が起きているのか信じられない。
「あ、そうだね!怪我させたら悪いなぁと思ってずっと待機させてあった回復魔法使わないと!」
 そういってミューナは待機させてあった回復魔法を使った。魔力が上質過ぎたために意識はすぐに回復し古傷までもが治っている。
「な、何が起きたんだ?」
「ごめん寝てたからなにもわからないやぁ」
「右に同じ」
「・・・・・・」
アルミラージ→ファルコン→雷獣→ユリガーナの反応である。
「お前ら威圧使ってただろ!!」
「それは睡眠邪魔されたから威圧使ったまま寝たんだよぉ」
「右に同じ」
「・・・・・・」
 
「ねえ!私と契約しよ?」
 ミューナが笑顔で覗き込んでくるが4体の神獣の顔は引きつっている。
 それもそのはずだ。今まで負けたことなどなかったのに負けてしまった。それもミューナの足下にも及ばないほどの力の差を見せつけて。

「契約するのはいいのだが、小娘は何が目的だ?我らはその目的次第では死んでも契約はしない。そう遠の昔に誓ったからな」
「目的もなにも遊びたいだけだよ?だから目的も理由もないし強いていうならそのモフモフにダイブしたいかなぁ」
「なぜだ!なぜそのような大きな力があってなにもしないと誓える!その力は我らの王である精獣王の力すら軽く凌駕するんだぞ!」
「だって人が傷つくのみて幸せな気分になる人っていないと思うよ?」
当たり前でしょ?と覗き込んでくるミューナは次の言葉をかける。

「そもそもみんな私の心読めるよね?何考えてるかとか嘘じゃないかなんてわかるよね?」

 そう。神獣たるもの精獣王以外の全てのものの思考が読める。それゆえにミューナが嘘もついていなければ本当に心の底から遊びたかったの一心で呼んだのだとわかってしまった。

「はははっ!面白い!もう何も言うことは無い。久々にここまで笑わせてもらった。
 そなたといると楽しい日々が過ごせそうな気がする。
 それでは契約をしようか。他のものもそれでいいだろう?」
「「ああ」」

「我はそこの腰を抜かしてる娘と契約する」

 先程から一言も喋らなかったユリガーナの言葉に神獣達が黙った。

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