陰キャラな妹と陽キャラな幼馴染の仲が悪すぎるんだが

ウィング

第23話 エロゲー三昧

   文化祭が終わったの週の土曜日。
   特に予定がなかった俺は、自室のベッドでゴロゴロしていた。

「暇だなあ。まだ九時じゃないか、どっか遊びにでも行こうかな」

   一人呟く俺の部屋のドアが、コンコンと鳴らされる。
   俺が返事をしながら、ドアノブを回してドアを開けると、モジモジしながら立つ叶美の姿があった。
   手にはパソコン、服装は淡いピンク色のワンピース。
   俺はジャージと、楽な格好をしている。

「どうしたんだ? いつものように自室でエロゲーしてたんじゃないのか?」
「……その、一緒にやりたいなって……」
「エロいことをか!?」
「ちちちちち、違う!」

  興奮した俺の脳天を割る気だったのか、持っていたパソコンで俺の頭を叩く。
  くっそみたいに痛てぇ……!
   頭を抑えてかがみ込む俺に、頬を赤らめながら恥ずかしそうに叶美が口を開く。

「やってくれるの?」
「もちろんです」

   ──初めてまだ五分。

「ちょっ、これエロすぎないか?」
「何言ってるの兄さん。エロくないエロゲーなんて邪道だよ」

   キリッとした顔で言う叶美。
   18禁ゲームというのは、ここまでエロかったのか……!

『ちょっとお兄様、やめてください! そんな大きなものを私の中挿れられでもしたら、や、やめ……らめぇぇぇぇぇ!!』

   ヘッドホン越しに聴こえる声。 
   めっちゃムラムラするんだが。

「これ、タイトル何て言うんだ?」
「『お兄様との禁断の関係』って言うんだよ。興奮したの?」
「正直に言うと興奮した」
「妹の前でよく平然と言えたね」

   なら逆に、兄によくエロゲーをさせたねって言ってやりたい。
   叶美には悪いが、少しトイレに行かしてもらおうかな。

「ちょっとトイレに行かしてくれ」
「だめ! もう少しでいいところだから、もう少し待って」

   いや、そんなことしてたら白い液体でちゃうよ?
   俺のズボンにシミ出来てたら引くだろ?
   何て考えも虚しく、叶美はカチカチとパソコンをいじる。

「兄さん、見てこれ、ここを見てほしかったの」

   そう言ってパソコンを俺の方に向けてくれた。
   覗くように見てみると、

『アッアッ……はぁはぁ……処女だからいいでしょ? ……くっ……アッ……アーッッ!!』

「トイレ行かしてください」
「何するか言ってくれたらいいよ」

   ニヤニヤしながら言ってくる叶美が腹立たしいなあ。
   言えるはずがない、妹の前で言ったら恥さらしもいいところだ。
   だが、言わなければガチでやばい。
   相変わらずニヤニヤする叶美に対し、手を上下に振る。
   流石にこれで……。

「何やってるの?」

   ダメでした。
   ニヤニヤするのをやめ、真剣な表情で訊いてくるあたり、本当に知らないんだろうな。
   エロゲーやってるくせに……。
   頭を抱えて真剣に考えること一分。
   俺はある答えへと行き着いた。

「トイレ行ってくるわ」
「何をしにいくの?」

   もちろんこの反応は想定内。
   さっきと同様なんだから。
   俺はお腹に手を当て、膝から崩れ落ちる《《演技》》をした。

「くっ……腹が……腹が痛いんだ」
「そ、それは大変! 私も着いていくよ!」
「いや、大丈夫……」
「大丈夫なんかじゃないよ! 一人しかいない兄さんが大変な目に遭ってるんだ。私も何か一つくらい協力した方がいい」

   真剣な表情、あいも変わらず真剣な表情。
   まじか、一点の曇りもなくそんなことが言えるのか。
   会話をするたびに俺の心が抉られていく。
   どうしていいか分からず、あたふたする俺の耳に入るあの声。

『アッアッ……』

   その声を聞き、少し冷静に考える。
   よく耐えたよな? ここまでよく耐えたよな?
   ていうか、叶美がこれを見せてきた時点で襲っていいよという合図だったのでは?
   腹を抑えるのをやめてホッとしたのか、叶美はパソコンをカタカタいじり始めた。
   そんな叶美の肩に手を乗せる。
   そして、少し引っ張り俺の方を向かせる。
   目と目が合い、少し緊張しながらもパソコンを指を指す。

「それ……同じことしてみるか?」
「えっ////」

   自分で言ってなんだが、恥ずかしすぎる。
   お互い顔を見合わせるのが恥ずかしくなり、明後日の方を向く。
  『お兄様との禁断の関係』という名のパソコンゲームからの声が漏れる中、俺達には今会話がない。
   この均衡を破ったのは、叶美だった。

「別に……いいよ」

   ポカンと口を開ける。
   さらに顔を赤くした叶美は、顔を両手で覆って隠す。
   あぁ……可愛いな……じゃなくて!

「ほ、本当にいいのか? 自分から言っておいてこんなこと言うのはおかしいかもしれないが、俺達は兄妹だ。そっちの関係になるのは……」
「嫌ならいいの。ただ……今まで初めてとっておいたわけだし、最初は兄──」

   叶美が最後までいう前に、大音量で俺の携帯が鳴り出した。
   これ、ラブコメのお約束ですもんね!!
   心の中でキレ気味にツッコむ。
   イライラしたまま携帯に映る名前を見てみると。

「那月……!」

   歯をギリッと噛み締めたまま、ポツリと呟いた。
   その言葉を聞き、叶美まで不機嫌な顔をする。
   絶対いい所で邪魔するの那月なんだよな。
   今度からいい展開に入りそうって思ったら、師匠に頼んで那月と出掛けてもらおうかな。
   イライラのせいというかおかげいうか、何にせよアソコが治まってくれて助かった。
   ヤってみたかったのは事実だが、その場合近親相姦とかいうのになるのでは?
   那月に救われた……のかな。
   電話が鳴り止むのを待ち、終わったのを確認してからポケットにしまう。
   水を差され、シーンとする。
   なんかどことなく気まづい中で俺は叶美に話し掛ける。

「また今度にしようか」
「うん……」

   そう言って叶美は俺の部屋を後にした。
   叶美が自室に入るのを見て俺は、コソコソバレないように移動して、思う存分トイレで手を上下にした。

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