陰キャラな妹と陽キャラな幼馴染の仲が悪すぎるんだが

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正月特別編 (本編とは関係ありません)

俺は、俺の家に那月と山田と志賀と叶美と香美を呼んで一言。


「新年、あけましておめでとう!」
「「「「おめでとう!」」」」


新年、俺たちはこれからも仲良く──


「チッ……なんで叶美の家なんかに来たんだろう。叶美消えてよ」
「新年特別編なんだから、少しくらいは仲良い風にしようよ。でないと嫌われキャラになるよ」


おっ、叶美いい事言うじゃないか!
朝九時、テーブルを真ん中にし、それを囲むように俺たち六人は座った。
正月だからといって特にすることもなく、ボーッとしていると。


「みんな、トランプをしよう!」


突然那月がそんな提案を出してきた。
することがなかった俺たちは、ババ抜きに大富豪、七並べや神経衰弱をした──


「まさか……香美が全敗か。マンガじゃあるまいし、そんな一人が全敗なんてありえるのか?」
「う、うるさい! ちょっとした手違いだ。それより叶美はズルしてんじゃないか? 全部一位なんておかしいだろ」
「こんなカードゲームで叶美が負けるはずがない。ゲーマーなめないで」


引きこもりゲーマーの叶美にとっては楽勝だろうな。
それはいいがもう十一時か、昼には少し早いし何しようか考えていると。


「凧揚げしに行かないか? うち帰国子女だし、したことないんだよ」
「あー、そういや帰国子女だったな。でも、絶対外寒いぞ? 今日の気温マイナス三度くらいだし」
「浩介、そんなの気にしたら負けだよ! さ、みんなも行こう!」


何人かは嫌々ながらも俺たちは公園へと向かった。
その道中、山田はあることに気付く。


「凧揚げ用の凧誰か持ってる?」
「「「「…………………」」」」


全員言葉を詰まらせた。
なぜなら、


「このご時世売ってないんじゃないか?」


俺のこの発言が引き金となり、山田は膝から崩れ落ちた。
それを見たほかの人たちが、


「浩介っち……流石に可哀想だよ。現実を突きつけられた山田っち泣くよ?」
「兄さん、山田さんに謝ったら? 今すぐに」
「浩ちゃんの味方したいけど……無理っ! 本当にごめんね!」


手のひら返し感ハンパねーな。
このままでは俺がヒール状態になるんじゃないか?
それを恐れ俺は、ある提案をした。


「よーし! じゃあみんなで作ろうか! さ、物を買いに行こうか!」
「「「「え、嫌だ」」」」


何なんだよこいつら!
特別編だから俺の言うこと聞かなくていいや的な感覚なのか!?
あれ……俺、主人公じゃないっけ?
一歩後ろに下がって歩く俺に、誰一人として見向きもしてくれない?
公園に向かって歩いて五分、それから引き返し無駄に十分が経ち、俺の気分は今日最低にまで落ちていた。
家に着き、五人は机に囲み、俺は独り部屋のベットに寝転がっていた。


「ふっ……あいつらだって腹を空かせれば俺を呼ばないわけにはいかないだろう。何せ、料理を作れのは俺だけなんだなら!」


十二時になり、みんな腹が空き始める頃合。
そろそろ来るかな……?
何もないまま十分前が過ぎ、不信に思うと。


『ピンポーン』


家中に響き渡るインターホンの音。
少し耳を澄まして誰が来たのか声を聞くと。


『あ、ご注文されたピザを持ってきました』


おいおいおい、何勝手に頼んでるの!?
さらに耳を澄まして会話を聞く。


「ありがとうございまーす。一万円ですか? これ、浩ちゃ……浩介って人の財布なんですよ。勝手に使って怒られたりしないかな?」


そんなことを陽気に言う那月にキレ……ってあれ?
アイツはなんで俺の財布を持っているんだ!?
俺は心に決め、リビングの前に立ち、


「おいこらっ! お前ら勝手に俺の財布……」
「「「「あけましておめでとう!」」」」


そう言って五人はクラッカーを俺に向けて放った。
お金も俺の財布を使った形跡はなく、きっと自分たちのを使ったんだろう。
俺は涙目になりながら……、


「お前ら……本当にいい年になりそうだよ」


男として恥ずかしい姿を見せたかもしれないが、ここは素直に俺は泣く。
楽しい時間は本当に過ぎるのが早い──


夜の十一時五十分、お別れの時間だ。


「ありがとうな、今日は楽しかった。また来年も楽しもうぜ」
「「「「続いたらね」」」」


うっ……痛いところを突いてくるな……。
その後、みんなは俺の方を向いて、


「「「「今年も、いい年になりますように!!」」」」


呆気に取られた俺も、ワンテンポ置いて。


「そうだな!」


目尻に涙を溜めながら、一月一日は過ぎていった──

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