陰キャラな妹と陽キャラな幼馴染の仲が悪すぎるんだが

ウィング

第12話 告白(2)

俺と志賀は緊張のあまり唾液をゴクッと飲み込み、山田に注目すると。


「……え、初めて告白されたなあ。別にうちで良ければいいよ」


山田は頬をポリポリと掻きながら少し照れたように言ってきた。
そして、俺は志賀と顔を見合わせて。


「よっっっしゃああああああ!! 人生初告白成功してよかったー!」
「よかったな! 俺も心からおめでとうって思ってる! 本当によかったな!」


まさか今日リア充が誕生するとはなあ。
しかも同じ部屋で。
……いや待て、山田は百合のはず。
なんで志賀と付き合うのを了承したんだろう。
まぁ、心のどこかで好きだったんだろうな、きっと。
志賀は喜び、那月はもう寝ている中、山田が俺の方に来てコソっと。


「七月は補習なので、八月一日に相談したい事あるんだけどいいかな? 出来れば早い方がいいんだけど……」
「よく分からんが、まぁ暇だしいいぞ。じゃあそろそろ寝るか」


俺達は布団に入り、眠りにつこうとした時。


「兄さん、ちょっといい?」
「どうした?  お兄ちゃんと寝たいってか? 仕方ないなぁ、寝てあげるよ」
「ち、ちちち違うよっ! ただ単に用事があったからだよ!」


むっ……?
今は一時だぞ、こんな遅くに用事って……まさか!?
いや、冷静さが欠けてるだけでもっと現実的な事考えろ。
なんて思いつつも、心では大きな期待をしながら叶美の部屋へ向かうと。


「さぁ兄さん、今からあの人達が起きるまでエロゲーするよ!!」
「……ふぁっ!?」


いやいや、隣に三人友達いる中でエロゲーするとか……バレたら人生詰むんじゃないか!?
だが、気付けば叶美と夜通しゲームをしていた──


「やべえ……眠すぎるわ。叶美、なんでお前元気なんだよ、本当に人間か?」
「唐突に酷いこというんだね……。あ! 今いいところだから喋らないでね!」


俺の台詞はエロゲー以下か。
することのなくなった俺は、三人のいる部屋へ戻った。
すると、


「浩ちゃんどこ行ってたの? 起きたらいないから魔王に拐われたのかと……いてっ」
「ラノベの読みすぎだ。俺は妹と戯れてただけ」


入ってすぐ話しかけてきた那月に軽く頭を叩き答えた。
そんな俺達の会話を聞いてか皆起き始めた。


「浩介っち魔王に……ってあれ、いんのかよ」
「えっ!? 浩介が魔王に……なんだ、いるんか」


ふぅ……、ここでキレては関係壊れるんだ。
冷静に冷静に……、


「浩ちゃん、魔王に拐われてなくてよかったね!」
「お前らああああああああ!!」


近所に聞こえるくらいの大声で叫んだ──


それから数日が経ち、八月一日になった。


「いやー、まさか山田と二人で喫茶店で話す日が来るとはなあ。こんな所志賀に見られたら半殺しじゃすまねぇだろうな」
「そう、今日は衿木についての話しなんだ」


デートプランとかを訊きたいんかな?
俺もリア充じゃないしそんな相談されても……、


「実は、別れたい」


衝撃的な告白をしてきたな……。
まさかの出来事に戸惑いを隠せない俺は、一先ずお手洗いと言って向かった。
独り個室に入り。


「あいつ付き合って一週間ちょいのくせに、別れるとか言うのかよ……。驚き通り越してうぜーよ」


何だかんだで志賀は俺の大事な友達だ。
あいつの勇気ある告白を受けといて振るとか、どんな理由か問いただす必要がありそうだ。
席へ戻り、山田の方を真顔で見て一言。


「なんで別れるという決断に至ったか教えてもらおうか」
「うちが……『百合』だからっ!」


……わ、忘れてたあああああ!!
そうだ、こいつは女子好きだったんだ。
俺は頼んでおいた紅茶を啜りながら一息つく。
紅茶を置き、もう一息ついてもう一回お手洗いへと向かった。
そして、また同じ個室に入り、


「なんであいつは告白を受け入れたんだ? 百合なら普通断るだろ。それなのに何故だ?」


考えろ、頭を使え!
ふっ……考えるまでもないか。
なぜなら、直接訊けばいいんだからな。
ここに来るのは最後に、と、心に誓って席へ戻った。
真面目な表情で俺は。


「何故、告白を受け入れた?」
「嬉しかったから」


なるほど、ストレートかつ簡潔で良い答えだ。
だがな。


「そんな簡単な答えで志賀に言っても、納得するわけないだろおおおお!! もっとマシな答えを寄越さないか! 例えば……」
「うるっさーい! 何処の馬の骨か分からないけど、それ以上騒ぐなら殺……って、叶美の兄さんか」


流石、家の近くの喫茶店なだけあるな。
まさか香美と出会うとは……。
俺たち三人は、叫んで迷惑を掛けたという事で喫茶店を追い出されたので、公園へと来ていた。


「なんで私まで……。大体お兄さんが悪いんですよ、あんな大声出すから」
「俺のせいかよっ! 山田と話してただけなんだから悪いのはお前だろうが!」


昼間の公園、男子一人女子二人の光景を見れば羨ましいと思う奴が現れるかもしれない。
だが、一人はリア充でもう一人はドエス。
リア充に手を出す気は無いし、エムでもないので早く帰りたいのだが……。


「浩介、その子誰? なんか、ものすごく仲良くなれる気がしないんだけど」
「こいつは放置しよう。俺も忘れたい存在の奴だしな。それより志賀の話をしようか」


俺達は香美を置いていくように公園を後にすると。


「なんで私を置いていくのさ! 私と話なさい」
「却下だ。俺がお前を憎んでいるってことを忘れてはないだろうな? 今から大人の話をするんだ。近づくな」


ちょっと言い方はあれだが、憎んでいるのは事実。
なんたって叶美を傷つけたんだからな……!
だから俺と山田は別の場所へと向かった。
俺もどこに行くか分からず歩いていると。


「着いた。ここうちの家だよ。ま、入ってよ」


マジですか……。
俺は周りに、特に志賀がいないことを見て、山田がドアを開けてくれたので入った。


「うちの部屋は一階のすぐそこだから」
「あ、あぁわかった。……なんか、すごい女子らしい部屋なんだな」


辺り一面ピンク色で、ベッドや机、普通の部屋だ。
目がチカチカしそうな部屋だなあ。
椅子が二つ無かったので、ベッドに二人並びで座りながら。


「まず、どうしたら志賀がキレないか。と、いう問題だが、確実にキレるだろうな」
「そこをどうにか出来ない? うちはさ、このまま四人で楽しく過ごして高校生を終えると思ってたんだ。こんな簡単に壊れたら嫌なんだよ」


確かにそれは俺も思っていた。
志賀と山田の関係が壊れた場合、山田は俺以外に喋るヤツがいなくなるんじゃないか?
それは阻止しなければ……。


「やっぱり俺は付き合うべきなんじゃないかって思うよ。志賀は学力優秀でサッカー部。理想的な人だろ?」
「普通の人はね。でもさ、うちは百合。この性格には誇りを持っているんだ」


拳を胸辺りでグッと握る山田を見て俺は、かっこいいと思ってしまった。
一生の不覚……!
俺は額に手を当て、落ち込んでいると山田が。


「と、いうわけでさ、助けれる?」
「とにかく話すなら十五日の盆踊りがいいんじゃないか? 花火もやってくれるし、リア充としては最高の場所だ。別れも多いと聞くしな」
「そ、そんなのがあったんだ……! よし、行く! 浩介も行くんでしょ!? あ、行くなら那月と、とか言いそうだなあ」
「大当たりー」


山田と一緒に行くとか言ったら志賀に殺されるわな。
夕方になり、これ以上女子の家にいるのは……と思い、山田の家を後にした。



「叶美ー、エロゲーの続きするか?」


俺は叶美の部屋の前で、ドアをトントン叩きながらそう言った。
返事は無く、静かにドアに耳を当てると。


「スースー……」


あぁ、寝ているのか。
夜更かししたしなあ。
俺も眠くなり、自分の部屋のベッドで寝ると、気付けば朝になっていた。
そんなこんなで日が経ち、盆踊りの日がやってきた。
俺は那月を誘っていたので、二人で五分程度の公園へと向かった。
その道中、


「浩ちゃんに誘われるとは以外だったなあ! 嬉しいよ、ありがとうねっ!」
「あぁ気にするな。俺達幼馴染だし、たまにはこういうのもいいだろ?」


本当は裏があるのだが、陽キャラな分騙しやすいかな。
山田は上手くやったのだろうか──


──数日前


「あ、あのさ衿木、十五日の盆踊り一緒に行かないか?」
「もちろん行くさ! 俺達リア充なんだしな!」


俺はコソっと見ていたのだが、山田は全然乗り気じゃないなあ。
別れるのを前提として言ってるんだから当たり前か。


と、そんな感じで誘っていたわけだが。


「山田っち楽しみにしてくれてた!? 俺楽しみすぎて寝れなかったんだよ!」
「そ、そうなんだ……。花火まだ始まらないかな?」


あまり会話をしたくない……。


そんな中、俺と那月は仲良く会話を弾ませていた。


「那月って趣味あるのか?」
「そら部活でしょ! 楽しすぎて死にそうだよっ!」


部活を趣味って言う奴いるんだな……。
中学の時、バレー部入って苦痛でしかなかった俺とは違うんだなあ。
そんな感じで会話をしていると、花火が始まった。


「綺麗だなあ。まるで山田っちのようだ!」
「あー、うん、ありがとうね」


うちは本題に入ることにした。


「衿木、聞いて欲しいことがある。聞いてくれる?」
「そらもちろん、山田っちの頼みなら!」
「その……別れてほしい!」


沈黙がうちを不安にさせた。
この花火を見に来ているのはせいぜい十人程度。
薄暗い路地裏的な所に連れてかれたら一発終了だ。
うちが恐る恐る衿木を見ると。


「なんで、なんでさ! 俺の何がいけなかったの?? 俺は何も悪くないんだ、山田っちが悪いんだああああ!! もう話さないからな!」
「え、ちょっ、衿木!?」


衿木はそう言い残し、花火特等席から走って去っていった。
残されたうちは、とぼとぼ歩いて帰ろうとしていると。


「あれ、山田どうしたんだ? 顔色悪くね? ……もしかして失敗したのか? いや、泣かんといてくれないか!?」
「うっ……うっ……こ、こおすけぇぇ。助けてよおおおお」


これは……予想以上に最悪な自体になっちまったのか?
泣き崩れた山田の表情は、とても可愛く、守りたくなってしまう顔をしていた。


「俺に出来ることならなんでもする覚悟だ。しかし、何があったか言ってくれないか?」


山田は経緯を全て話した──


「会う気がないってか……。だがな、席近い以上確実に話すことになるだろう」
「あ、それもそうだね。じゃあ不安解消!!」
「いや、でもそれだから成功するとは……まぁ、聞く耳を持たないってやつ何だろうな」


この時、俺はとても不安に駆られた──


その帰り道、那月が俺に。


「浩ちゃん、ちょっといい……ですか?」

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