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陰キャラな妹と陽キャラな幼馴染の仲が悪すぎるんだが

ウィング

第8話 叶美が退学の危機!?

俺の高校生活、今日で終わりですね。
今まで学校へ通わせてくれた両親、高校に期待を持っているかもしれない叶美。
そして、いつも話し相手としていてくれた那月、本当にありがとうな──


と、思った瞬間クラスの雰囲気がガラッと変わった。


「志賀、お前なんでそんなんに興奮してんだ? ばかじゃねーのか?」
「今時それくらいするの当たり前じゃない。まさかしたことないの?(笑)」
「志賀マジかよ、お前童貞なんか!」


そんな風にクラスの皆が志賀を馬鹿し始めた。
ん? つまりみんなは童貞でも処女でもないってことなのか?
いやいや、まだ高校生、そんなことありえるはずが……。


「じゃあみんなは童貞でも処女でもないってのかよ!」


志賀と俺って思考回路同じかよ。


「あったりまえじゃないか(笑) え、それ撮って興奮した浩介も童貞か?」
「浩介もかよ。志賀と浩介仲いいと思ってたけどそういう共通点でか。ふはははは」


めっちゃ馬鹿にされるじゃん。
あれ、一線越えるのは二十歳以上じゃないのか?
いやいや、今はそんなことよりも。


「お前達強がってんじゃねーよ! 俺と志賀以外にも童貞や処女のやついるだろ!!」
「はい! うち処女です! なぜなら百合ですから!!」
「突然のカミングアウトいらなあああああい!!」


俺の問に答えたのは山田だけだった。
皆、笑いをこらえるように口を手で押さえていた。
なんということでしょう、高校生達が物凄くませてるではありませんか。
そういやあの時先生、「生徒のしたいようにさせとけばいい」って言ってたな……。
まさかこれ全て知ってたってのか!?


「委員長何やってんだよ、早く話進めようぜ!」
「そうだよ、クラスマッチの練習って学校でもするでしょ?」
「早朝と放課後に練習でもすれば優勝出来るだろ」


委員長も正気を取り戻し、教卓前に立ち直した。
俺と志賀。そして山田は唖然としたままクラスマッチの話が進められた──


「──考えてみれば明日日曜ですけど、ちゃんと学校来て一日練習することになりました。頑張っていきましょう!」
「「「「おーう!!」」」」


うわー、威勢がいいなあ。
やる気ない組があったら代表になれるわ。
志賀はなんかイライラしてるし、山田は百合発言以降頬を赤らめているし。
その他の人達はやる気満々ってか。
帰りの挨拶をし、俺と志賀、そして山田は遊ぶ約束をしていたから、遊園地に行くことにした。


──遊園地


「うぇーい! ほらほら浩介も手を挙げて一緒に……イェーイ!!」
「ちょ、え、手を挙げさせないでくれ! 怖い、怖いんだよおおおお!!」


ジェットコースターに乗ってる時に、志賀が余計なことをいっぱい言ってくる。
遊園地系の乗り物、ほぼ苦手なんだよなあ。
怖いし、本当に怖いし。


「衿木楽しそうだねー! それに比べて、浩介はビビりすぎでしょ(笑)」
「お、下の名前で呼んでくれるのか。初めて名前呼ばれたから驚いたわ」


もう無理、この二人のテンションにはついていけない……。
あいつらがどう呼び合おうと関係ないし……って、今思ったけど叶美大丈夫かな?
学校行かなければ退学、というか中学生が退学って有り得るのか?


「おい浩介……これだと山田っちと呼び方被るから、浩介っちって呼ぶわ。なんか顔色悪いぞ、気分悪いなら休むか?」
「気持ち悪いからその呼び方はやめてくれ。それと、気分悪くないから遊園地楽しもうぜ」


明るい風を装ってるだけで、内心やばい事になってるんですが。
頭は叶美の事しか考えてないし、もう遊ぶことも考えれない。
よし、ここはひと芝居打って電話するか。


「志賀ー山田ー、急に電話しなければ百万払わされることになってしまってな……。ちょいと電話さしてくれ」
「「何それ! 架空請求にでもあってるの!?」」


なぜこの二人はワクワクしているんだろう。
仮にも架空請求に引っかかったんだとしたら、ワクワクされるととてつもなく腹立つんですけど。
割り切って全てを話そうかな。


「実はさ、妹が退学の危機にさらされてて……」
「「面白そう!」」
「何がだよ!」


こいつらのノー天気さは見習うべきなんかなあ。
いや、こいつらは無視すべきだな。
俺はこいつら二人から逃げるようにトイレに駆け込んだ。
個室で電話をかけるために。


「ふふふ、ここなら電話しても大丈夫だろ。さ、電話を……」
「一人でぶつぶつ言ってると、変人にしか見えないぞ?」
「!?」


忘れてた……志賀は男子な上にサッカー部だった。
帰宅部の俺に追いつくなんて楽勝だわな。


「山田はどうしたんだよ。女の子一人にしてると、色々やばい事されるかもしれないぞ?」


冗談めかしにそう言った。
すると、志賀は真顔で、


「気にするな。迷子センターに置いてきたから」
「高校生が迷子センターとか恥でしかないだろ!」


こいつは時々ビックリするようなことを言ってくる。
気を休めれない……。


「電話しなくていいのか? 早くしないと退学になってるかもよ?」
「あ! 忘れてた、サンキュー志賀! 大丈夫だよな……、流石に退学になるくらいなら学校に行ってるよな? うん、言ってるはず」
「独り言多すぎない!? 浩介っち早くしないといけないんでしょ!?」
「ちょ、その呼び方やめーい!」


付き合ってらんないよー!
涙目になりながらも俺は、電話をかけることにした。


『何?』


おっとー? これは少しキレてるのかな?
でも引き下がるわけにもいかぬし、全てを聞き出そうか。


「学校に行ったか聞きたかったんだが、即電話に出た所をみると、やっぱり行かなかったのか? 中学は卒業してもらいたかったんだけど……」
『勝手に話を進めないで。確かに学校には行かなかったけど、退学になることは無いよ』
「本当か!? 良かったあ。で、一体どうしてそうなったんだ?」
『待って、用事があるからまた後にして』


そう言って切られた。
向こうにも用事があるのは普通だろうし、こっちだって今遊園地にいる。
止め時見つけてくれてサンキュ叶美。


「どうだったんだ? 顔色見る感じ、良かったっぽいな。山田っちを待たせてるから早く行こうぜ」
「山田……あ、忘れてた。そうだな、今すぐに行こう」


急いでトイレを出て、山田の元へ向かったが、山田の姿はなかった。


「おい志賀、山田はどこにいるんだよ。てっきりトイレの前だと思ってたのに」
「それ俺に言われても……。俺も絶対山田っちは前にいると思ってたし」


誘拐か?
でも、こんな目立つ所でそんな事があれば絶対誰か見て、放送とかされてるはず。
だとすると一体何が起こったっていうんだ。


「あれ、浩ちゃん。どうしたの? そんな血相変えて面白い顔。ふふっ」
「浩介に衿木じゃないか。いないから心配してくれてたのか? 悪い悪い、百合としてこんな美女のお誘いを断ることなんて出来なくてな……はぁはぁ……」


全く状況の理解をしようとしない那月と、息を荒くしながら頬を赤くする山田が目の前にいた。
何ということだ……!
山田の発言を元にすると、那月がなんかしたんだろうな。


「二人とも何しとったん? 山田っち息荒いけど大丈夫?」
「ああ! もちろん大丈夫さ! やっぱ美女は素晴らしいよな、うちは美女に囲まれたい……!」
「それ、男子の夢だろ普通」


あまりにも女子とは思えない発言にツッコミを入れてしまったが、まぁしょうがないだろう。
男子二人女子二人、これはもはや合コン的なヤツか!?


「皆で遊園地まわろうぜ! 今日はもう遊びまくろうや!!」
「「「うん!」」」


そのまま俺達はジェットコースターやバイキング、コーヒーカップと色々乗り回し、夜六時頃、そこそこ暗くて街灯もつき始める時間帯。
観覧車に乗り、会話を楽しんでいた。


「この遊園地って人気ないのか? 半日っていうのにものすごいいろんなの乗れた気がするだが」
「うち達の運が良かったんじゃない? うちは那月さんと出会えたことが一番よかった事だけど……はぁはぁ……」
「山田さん、なんかすごい性格なんだね。まぁそれ分かってて少し連れ出したんだけどさ」
「そういやなんで那月は山田っちといたの?」
「訳ありでね」


あれ、志賀って那月と仲悪くなかったか?
俺の知らない時にでも仲良くなったのかな。
それより訳ありの方が気になってしまうな……。


「観覧車ももう終わりか。クラスマッチ、那月のクラスには負けないよ?」
「威勢よくなったね浩ちゃん! ちょっと前までは子供だと思ってたのに……ううっ……」
「い、いつの話してんだよ!」


喜びか馬鹿にして面白かったのか、那月は涙を零しながら笑っていた。
山田と志賀は俺達の会話を聞き笑っていた。
当の俺はというと、いじられすぎてふてくされてた。
折角の遊園地なのにな。
もう七時、皆家の方へ向かった。
俺と山田と那月組、志賀一人に分かれることになったが、こればっかりは仕方ない。
帰り道、那月は深刻そうな顔をしていた。


「どうしたんだ那月、浮かない顔して。いつものテンションはどうしたんだよ」
「え、ううん! 何にもないよ! ただ、叶美ちゃんがどうなったかなって……」
「その事なら何事も無かったよ。まだ全てを確認した訳じゃないが、多分大丈夫だろう」
「……そうなんだ! よかったねー!」


なんだ今の間は。
てか、那月と叶美って仲悪かったような気がするけど、俺の思い違いだったのか?
なんというか、那月を元にいろんな人が仲悪くなってる気がする……。


「浩介? なんか考え込んでいるのか? うちと那月さんに話せばスッキリするかもしれないぞ?」
「うん、大丈夫だ気にするな。 それよりここ俺の家だから。じゃあな」


二人はバイバイと言って、仲良く帰っていった。
那月の前でこんなこと言えるはずもないし、溜め込むか。
そう思いながらドアを開けようとすると、家の中からドアが先に開けられた。
中からは中年の男が出てきた。


「じゃあそういう訳で」


どういう訳?
と、思いながらも聞くことは出来ず、その男はそそくさと帰って行った。
なんだあれ。
俺になんの挨拶もしない無礼な男にいきり立ちながらも家に入ると。


「兄さん、おかえり」


いつも部屋に引きこもっている妹が、リビングにいた。
やっと陰キャラ卒業してくれたのか……!?
感動を覚えながらもただいまと挨拶すると、叶美が。


「夜ご飯作っといて」


そう言いながらリビングを出ようとする。
慌てて俺は叶美の手を掴むとこう言った。


「どこ行くんだ?」
「部屋」
「そ、そうか。じゃあさっきまでいた男は一体なんだ? まさか彼氏か? 歳上すぎるのはあんまりよくないと思うぞ」
「勝手に彼氏にしないで。あの人はただの担任の先生だよ」


担任の先生……。
その言葉を聞きホッとする。
焦った、彼氏だったらどうしようかと……。
妹に彼氏が出来るのは兄としてめでたく思わなければいけないとは思う。
思うけど、素直に認めれない自分がいる。
結婚は出来なくとも、俺は叶美と一緒にいたいんだから!


「兄さん、もう手放して」
「おっとすまない。作り終えたらまた行く……待って、一つ聞きたいことが」
「一つって言葉すきだね。で、何?」
「最近よく会話してくれるじゃん? 電話も含め。もう学校に行くのか?」
「会話はされてるから返してるだけ。今日の電話はタイミングよかったからしただけだし、学校には行かない」


なんか饒舌だな……。
いい事なんだけどね?
いい事なんだけどさ、なんかこう……可愛げがないっていうかなんていうか……。
まぁいっか。


「じゃあ部屋で待っててくれ」


叶美はこくりと頷き部屋へ戻って行った。
なんか……進展が欲しい。
妹と付き合いたいという願いがまずおかしいのかな。
色々考えながらチャーハンを作り終え、叶美に届けた。
香美との関係はもう大丈夫なんかな?
学校行かない時点で大丈夫ではないか。


「あぁー! 考え事なんてしてたら頭痛で死ぬわ! 寝るに限る!」


ストレス発散がてら大声を出し、眠りについた。


──日曜の朝


クラスマッチの練習を一日するとか馬鹿な事を言い出したので、わざわざ早く起きて学校へ向かった。


「朝八時、集合時間知らんから早めに来たつもりだったんだが、まさか誰もいないとは……」


グラウンドは小さな風が吹き、砂が少し舞うマンガの悲しいシーンみたいになっていた。
なんか、もう試合に負けた気分だ。


「浩介っち! 早いねおはよう」


この喋り方は一人しかいないだろう。
そう、こいつは。


「志賀じゃねーか。これ一体何時からなんだよ」
「知らねーよ。ただ、サッカーしたかったから早く来ようかなって」


もう八時半なんですけど。
やる気ないんですかね、クラスの人達は。
逆に俺達がやる気満々みたいになってない?
なってるよね?
やる気あるみたいに見られるのか、と落ち込んでいる俺に志賀が。


「サッカーしようぜ!」
「どっかで聞いたセリフだな」


パクリ疑惑のあるセリフを気にしながらも俺は、暇だったのでサッカーをすることにした。


──もう十二時。


「誰も来ないじゃねーか! なんだよこのクラス、やる気なし子か!?」
「やる気なし子ってなんだよ……。少しは落ち着いて浩介っち」
「いや、これは落ち着けない。全員しばいたろ……」


全てを言う前に声がする。


「浩介、早いねどしたん?」


「童貞志賀よ。やる気満々とはいい心がけじゃないか」


山田とクラス男子、そして後ろに全員来ていた。
なんで揃ってるんだ?


「あ、この二人に連絡するの忘れてた……。今日実は昼からになってて……」


委員長が申し訳なさそうに言った。
……。


「遅いわ! なんだ、仕返しか? そうならそうとはっきり言えー!」
「ちちちち、違うよ! ただ単純に忘れてました。すみません……」


尻すぼみに小さくなるすみませんを聞きながらいきり立つ俺を、志賀は肩をポンと叩き宥めた。
そしてそのまま俺の前に立ち、志賀は言い放った。


「よし、揃ったな! 今からクラスマッチの練習しようか!」
「「「「うぇーい!」」」」


流石ムードメーカー志賀。
やっぱ立ち位置違うわ。
ここまで来たんだから、練習くらいは参加していこうかな!


そのまま夜七時までやっていった。
もちろんサッカーとバスケを。


「委員長、一言言ってやってください!」


秘書のように横に立つ志賀。
委員長は朝礼台に立ち、俺達は下で座っていた。


「えぇ……ゴホン。これだけ練習すれば余裕で勝てると思います! 明日は思う存分やりきりましょう!」
「「「「よっしゃー!!」」」」


このクラス、息だけは合うんだな。


その後、みんな筋肉痛になり、動けなくてクラスマッチは大敗した。
そして日は過ぎ、五月も後半。
朝の会で先生が一言。


「先生忘れてたが、明日から中間テストだ。みんな頑張れよ」
「「「「……は?」」」」


息合うの素晴らしい……じゃなくて!
そんな大事なこと忘れんじゃねーよおおおおおお!!
クラス全員思ったと思う──
プルルルルと、俺の携帯の電話の音が鳴り響いた。
先生に断りを入れ、電話に出ると……。


『兄さん! お願い助けて!!』


一体何が!?

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