神様の日記

Togemoti

銀髪の少女


 ・・・今日は10月1日、夏の暑さが抜け少し肌寒い日だった。
 希はいつもの時間に高校に向かう。
 「眠い・・。」
 寝ぼけた状態で学校へ向かった。


 「よ!希、眠そうだな。」
 トンっと希の肩に手を置いて挨拶をしてきたのは、大塚諒(おおつかりょう)ツンとした髪といつもニヤニヤしているのが特徴の奴だ。
 「ん、おはよ。」
 「なんか、元気ないな大丈夫か?」
 「寝不足なだけだ。」
 昨日夜遅くまで本を読んでいたのがいけなかったらしい。そんな風に反省していることをつゆとも知らずに何食わぬ顔で希に話掛ける。
  「眼鏡なんかかけるのやめたらどうだ?少しはその仏頂面がマシになるかもしれないぞ。」
  こいつ人の外見を馬鹿にしやがって。
  「うるさい、お前とかクラスの奴らが顔と名前が女みたいって言うからこっちはせめて見た目だけと思って眼鏡をかけたんだよ。」
  今井希(いまいのぞみ)という名前と眼鏡をかけても女っぽさの残る顔、この容姿には正直ずっと悩ませられていた。 
 ちなみに伊達眼鏡ってわけでもなく単純に目が悪いだけだ。
 「すまん、すまん。そんなに怒ることはないだろう。」
 「はぁ、もういいよ・・・。」
 全くとため息をついてる希に軽く謝ってくる。
 この話題になると、どうも怒りぽくなってしょうがない。


 なんだかんだで、学校の近くまで来ていたことに気がつく。
 何気なく会話を続けていると妙に警察が多いことに違和感を覚えた。
 「なぁ、ここら辺こんなに警察が多かたっけ?」
 「知らないのか?この頃この辺で殺人事件が連続して起こったんだってよ。だから、警察も朝っぱらからずっと警戒して見回りしてるんだろ。」
 「そんなに物騒な事件があったのか。」
 それなら学校も休みにして欲しいものだな。不謹慎ながらも第一に浮かんだのがそんな気持ちだ。

 「ん?」
 何故か視線を感じる。
 視線の方に目をやるとそこには少女がいた。
 屋根の上から銀髪の少女が俺を見下ろしている。
 「どうした、屋根なんか見て?」
 「いや、あそこに女の子が、あれ?」
 いない?
 「なに、寝ぼけてんだよ。本当に大丈夫か?」
 「ああ・・。」
 屋根の上には、少女なんていなかった。
 気のせいか。
 でも、何故か少女の姿が頭から離れることがなかった。

 突然諒が取り乱す。
 「やばい!そろそろ予鈴がなるぞ急ごうぜ。」
 「嘘!」
 携帯を取り出して、確かめてみると無慈悲にデジタルの数字は予鈴の5分前を写し出していた。
 「まじか・・・走るぞ!」
  希と諒は、学校に向かって走りだした。

     *
 
 なんとか、予鈴前に教室にたどり着いた、希は机に突っ伏していた。
 なんとか間に合ったが、全力疾走したおかげで今すぐ家に帰って寝たいそんな気分だ。
 一時限目は数学か・・寝るか。
 「今井寝ちゃダメだよいくら眠いからって。」
  まるで心を読んでる見たいに注意して来たのは加藤結衣(かとうゆい)黒髪でポニーテイルの髪型をしている。
 多少スレンダーで背は決して高くもないそれでもバランスが整っているのでとても子犬みたいな可愛いさを持っている。
 その加藤は希を呆れ果てたように見ていた。
 「俺の快眠を邪魔したいのならばテストで勝ってから邪魔したまえ、加藤君。」
 冗談半分でそんなことを言ってみると俺の頭の上に辞書が降ってきた。
 ドス!
 「ん〜〜いっつ〜。」
 痛いすごい痛い。
 「はぁー全くなんでそんな授業態度でよくあんな高得点たたき出せるよね!」
 「叩かなくてもいいだろう、すまんって。」
 希は軽く謝ると加藤は席にため息をついて席に戻っていた。
 希も授業の準備を進める。
 加藤は俺と諒の幼馴染で、高校になってもよく突っかかってくる。特にテストに関しては俺にずっと挑んでくる、原因があるとするとテストの総合点で俺が学年2位で加藤が3位、1位はこの学校の生徒会長だ。とりあえずあいつは俺に何故か勝負事で勝ちたがる、まぁ俺としては見てて楽しいからよく付き合っていたりする。
 「今井さん立ってください!授業の挨拶ですよ。」
 先生に注意され俺は慌てて起立する。


 適当に授業を受けていると希は登校中に見た銀髪の少女を思い出していた。
 朝からその子が忘れることができないでいた。
 
  

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