龍の子

凄い羽の虫

19話 『はじめてのたたかい?』

『ぼふん!』

まるで、爆発音とは言い難い、ふざけた音で消失した謎の黒い通信機器。

身構えていた宗一郎と美雲は、想定とは違う爆発音に謎の怒りをぶつけていた。

「違う、そうじゃない…」

「これが、爆発……だと!?」

身構えて損した。あのイタズラ小僧め!!

「あぁ、全くだ。これが爆発だなんて笑かしてくれる!なんの話かしらないけど」

……誰だ??

「美雲っ!」

「うんっ…!」

突然現れた謎の賛同者に警戒し、距離をとる、宗一郎と美雲。

「あーあー、悪い悪い、突然話に入って来られたら誰だって身構えるよね?」

「誰だ?お前…!」

目の前には赤と青のグラデーション掛かった珍しい髪色の人物。

「ん?僕を知らないのか?」

全く知らない。この世界の人達はみんなこいつを知ってるのか?

「ごめんね、美雲達はさっきこの世界に来たばかりだからあなたの事もこの場所の事もよく分からないんだ…」

「ふむ、そう言う事なら……って事は!!君たち!異世界から来たのか!?」

異世界?

俺らからしたらここが異世界だが…まぁ、こいつからしたら俺らが居た所が異世界になるな。

「……て事は、君たちこれから勇者になるのか!?」

勇者??

何故、無理やり穴に落とされただけで勇者にならないと行けないのか?

「勇者召喚!うんうん♪定番だねぇ!でも、私たちは勇者になるつもりはないよ!」

あからさまに美雲が好きそうな話だ。

「ん?ならないのか?美雲?」

意外だな。美雲なら喜んで勇者になろう!って言いそうなんだが?

「うん!何故なら勇者になると碌な目に会わないから!!」

「何で言い切れるんだ?」

「ラノベで読んだからっ!!」

な、なるほど…。

「そこの女の子の言う通りだ。勇者に碌な奴は居ない。現に僕の家族も……」

こいつ、勇者に対しての闇が深そうだ。

勇者になると言わなくて良かったな。まぁ、美雲がならないって言ったら俺も付いていくつもりだったけど。

「…ところで、お互い自己紹介がまだだったな。俺は宗一郎だ。隣のが『響 美雲』だ」

「あ!ざこくん!異世界だと名前と苗字は逆転するんだよ!だから私は『ミクモ ヒビキ』だね!てか、何で私だけフルネームなのさ!」

「……うるさい。てか、美雲は名前が逆転してもどっちも名前みたいだよな!」

…と、なると俺は『ソウイチロウ ザコ』か。何か分かってたけど本当、ただの悪口だよな…

「ざ、ざこ?」

「気にするな、ニックネームみたいな物だ。それよりお前の名前を教えてもらおうか?」

「あ、あぁ。よし、……聞いて驚け!僕の名前はベルロベッサ!Aランク冒険者に最速で登りつめた者、ベルロベッサ様だ!ここには薬草を採りに来た!!」

なんか、ドヤ顔で言ってるけど冒険者?Aランク?すごいのか?

「悪い、えーと、ベロベロ?Aランク冒険者って何だ?良質なお肉か何かか?」

「ベロベロ!?お肉!?……あぁ、そうか。確か君らは異世界から来たんだったけ?異世界には冒険者ギルドは無いのか?」

「『ゲームの中でなら』あるよ〜、私はどのギルドでもSSSランクだったけどね!と言うかSSSランクまではチュートリアルみたいなもんかな?」

こいつ、最初の「ゲームの中で」ってのをボソッと言言いやがった…。

「な!?SSSランク!?神話級じゃないか!」

「ふふふ、ちなみに、そこのざこくんも私のサポートによってSSランクまで上がってるから侮らない方が良いよ」

おいおい、ハードルあげんなよ…。

まぁ、パッと見こいつと殴り合いになっても負ける気はしないが、Aランクってどんくらい強いんだ?

「君もSSランクだって!?異世界、やっぱり勇者の故郷だけあってぶっ飛んでいる。…しかし、一般の勇者がSランク以上あるとも思えないのだが…」

一般の勇者??何と言うパワーワード…

勇者ってそこら辺に蔓延るものなのか?

「えぇ!一般の勇者ってことは、そこら辺に蔓延ってるレベルで沢山いるの!?」

ありがとう、美雲、俺の代わりに声に出してくれて。

「あぁ、基本的にこの国に召喚された異世界人は王によって勇者と定めらる。…しかも、厄介なことに王は勇者に最低でも下級貴族と同等かそれ以上の権力を与えているんだ。そのせいで勇者達は好き放題していて困ってるんだ。もちろん、抵抗すれば反逆罪で、最悪の場合死刑だ」

「ふぇ〜、そんなのよく周りの貴族が許したねぇ」

「もちろん、否定した貴族も居るだろうさ。でも、もう僕が産まれたころには決まっていたからなぁ。『勇者には逆らうな』それが当たり前になっていたよ」

ガサガサ

「逆に、王様に逆らう勇者は居なかったのかな?むしろ、王様も勇者に逆らえなくなってたりして!」

ゴソゴソ

「どうだかな?王がユニークスキルで勇者達を無理やり操ってるって噂はあるけどね。まぁ、実際に全ての勇者が悪ってわけでもないし」

グルルル

「ねぇねぇ!ざこくんはどう思う?王様が勇者をたぶらかしてるのか、武力で勇者が脅してるのか!」

……

どうでもいいが。

「美雲、…とベロベロ。話の最中だが、あっちを見てくれ、何かでかい犬が襲いかかって来そうだ。これは、ヤバいんじゃないか?」

目の前の犬のような化物は、美雲とベルロが話をしている最中、ゆっくりと距離を縮めて来ていた。

「うっわぁ、おっきい!こんなに大っきかったら抱き心地半端なさそうだね!…その前に食べられちゃいそうだけど…」

「あ、あぁ〜、これはちょっとマズいかも…。こいつが一体だけなら余裕なんだけど…」

グルル… グルルルゥ…  グググゥ!

「やっぱ、群だよなぁ…。流石の僕も、これはキツイかもしれないっ!ミクモさん!と、ソウイチロウ!ちょっくらSランク超えの実力を僕に見せて貰えないかな!?」

なぜ、俺は呼び捨て。

「え、えぇっとぉ。美雲は戦いたくないと言うか、戦った事ないと言うかぁ…」

キョドるな美雲!!

「っち、あの犬全部ぶっ殺せば良いんだな?」

「あぁ、頼む。一匹でも残ってたらまた、新しい群れを作って復讐しにくる厄介な魔物だ。鼻がよく効くからどこまででも追って来るんだ!」

めんどくせぇ事この上ない!!

とりあえず、さっき貰った剣でぶった斬ってやる!

総一郎が振りかざした剣は犬の魔物の胴体目掛けて振り下ろされた。

幸い、この犬共より俺の動きの方が速いみたいだっ!!

「オラァ!!」

「速いっ!」

ザクッ!

……何っ!?

ソウイチロウの振るった剣は魔物の身体の半分まで通った所で止まった。

流石に、真っ二つに出来るとは思ってなかったけど、出来ないってなると少しヘコむな…。

「グウァ!!クゥゥゥン!!」

うっ、中途半端に斬りつけたから、苦しんでる所を見なくちゃいけないのか。

犬は嫌いじゃないから辛いな…。

……おかしい。

血が、流れてない??

てか、時間が止まってる!?

『オオォ、久しいぞぉ。魔物の鮮血を啜る日が再び訪れるとは…。礼として、貴様に力を授けよう』

え、誰だ?

ズッパンッッ!!

!?

なんだ?今のは?

「うぉっ!?真っ二つ!!流石、SSランクの太刀筋は違う!っと危ない!『アイスグレイブ』!」


いや、ベロベロもすげぇ、地面から氷の刃がめっちゃ出てる。あれが魔法か?

…まぁ、よくわからんが俺も犬を真っ二つに出来たんなら!さっさと他のやつにもいくぞ!!

………ズバッ!

……ジュプッッ!!

…ズブブブバッッッ!!!




「ふぅ、はぁ…。我ながら、よく片付けられたと思うよ。やっぱり僕は弱くはない…」

いやいや、普通に地面から氷の刃を生やしたかと思えば、犬共を一瞬で灰にするほどの業火を作り出す事が出来る奴が弱いわけないだろ。

「いや、実は少しだけ疑っていたんだ、ソウイチロウが本当にSSランクもあるのかって。だけど、疑っていた自分が馬鹿らしく感じるくらいにソウイチロウは強かった。まぁ、剣技とかそういうの無しで圧倒的な力で全てねじ伏せていたけど…」

「悪いな。まぁ、全部ぶった斬ったんだから問題ねぇだろ?」

「そうだね。しかし、この量の『リベンジャーウルフ』の死体、どう処理するべきか…。一度に全て燃やしてしまうのが楽だけど、少し勿体無い気もする」

「素材とかには出来ないのか?」

「出来るけど、あまり良い事がないんだ。さっきも言ったけどこいつら、『リベンジャーウルフ』は装備にされた仲間の臭いですら嗅ぎつけて復讐しに来る。燃やしてしまうか何とかしないと復讐にキリがないんだ」

めんどくさっ!!

こいつら、種族全域通して仲良すぎじゃねぇか!!

「う〜ん……、あっ!それなら、良い考えがるよ!!」

おっ、戦闘中ずっと俺の後ろにへばりついてた奴がここぞとばかりに発言しだしたぞ。

「ミクモさん?良い考えって?」

「うん!これを使えば良いんだよ!」

美雲が腕を掲げた先にあったのは。

例の奴から貰った、収納出来る腕輪。

「美雲、それは少し危ないと思う」

「いーっだ!!ざこくんだけ活躍してずるいから私も活躍するもん!ベロベロちゃん!死骸を一箇所に集めて!って、言うよりも私が集めた方が早いかな!…ハァ!!」

ベロベロちゃん?

……それよりも、すげぇ。全部の死骸が一箇所に集められていってる。美雲の超能力ってこんなに凄かったのか…。

「えっ?えっ?何これ!すごい!空間魔法の何かなのか??」

「よし、一箇所に集まったね!それじゃあ、腕輪を起動するから、私の後ろに隠れててね!」

そそくさと美雲の後ろに隠れるソウイチロウとその腕に無理やり抱き寄せられるベルロ。

「えいっ!起動!!」


バグンッ!!










その日、国内1位の標高と謳われた『グランブラン山』は一気に国内5位の標高へと格下げされる事になった。幸いだったのは、その山はレベルの高い魔物が出現する事で有名だったため、人が住んでいなかったことくらいである。







無視です。

仕事つら。


良いね押してくれた方ありがとうございます。

泣きそうです。

ペースは遅いですが、絶対に完結はさせますので、これからもご愛読よろしくお願いします。

さて、また戦闘シーンと言うような戦闘シーンが書けませんでしたね。てか、難しいわー。もう、技名とかセンス無いからもうー。

ねー?

もうー。


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