神殺しの狂戦士達
世界線を越えて
「……きて!起きて!仁!」
「駄目だ……。どうしよう。このまま仁が起きなかったら……。」
夏恋が目覚めて回りを見渡すと仁が倒れていた。
何度起こそうとしても起きない仁を見て、今にも泣きそうだった。
「仁!起きて!」
しばらくすると
「……っ!痛ってーー!」
腹の辺りをさすりながら仁はそう言って目覚めた。
すると、
「仁!」
そういいながら 夏恋は 仁 に抱きついてきた。
夏恋の目からは涙が流れていた。
「何度起こしても起きないから死んじゃったのかと思ったよー(泣)」
「悪かったな」
仁はそういいながら夏恋の頭を撫でていた。
「それよりここは……?はっ!そういえば夏恋!お前腹の辺り痛くないか?」
仁はあのとき、確かに切られたお腹の辺りを見ながらそう言った。
「うん。起きたときはちょっぴり痛かったんだけど……。今は大丈夫みたい」
「他の皆はどうした?」
「それが、起きたときには 仁と私以外誰もいなかったんだよ」
仁は辺りを見渡した。
そこにある光景は辺り一面の草原だけだった。
人がいなければ民家もない。ただの大草原。
「あれ?たしか、さっきまで河原の土手を歩いてたよな?ここは……一体……。」
仁はできるだけ情報がほしいと思い、色々なことを試してみた。
上を向けば雲ひとつない青空が続き、息をしても苦しくないことから酸素が存在している事がわかった。
「あとは……。生物の存在の確認と、食料と水の確保。それと、ここがどこだかわからないから、とりあえず寝泊まりできる安全な場所を探すことか。」
そんな仁の姿を見ていた夏恋は、どこかほんの少しほっとしたような、心が安らいでいくような感じがした。
「ねぇ、仁。どうしてそんなに冷静でいられるの?」
「ん?まあー、母さんや父さんによく言われてたからかな。焦りや混乱は同じく焦りと混乱を招く。だから、どんなことがあっても冷静に状況を分析をしなさい。ってね」
「そうだったんだ。仁がいてくれてよかったよ。もし一人だったら死んでたかも(笑)」
「俺も、夏恋が無事でよかった。とりあえず、今できることをしよう」
「そうだね」
夏恋は、確かな安らぎを感じながら仁と共にどこまでも続きそうな草原を歩いていくのだった……。
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次回   
謎の女
お楽しみに
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