さぁ。廻る世界でもう一度
さぁもう一度
「つまらない。」
右腕はもう無い、足も動かない。
腹部からは大量に出血しているおそらくもう長くはないであろう男が言う。
そこらを見ると浮遊しながら突撃していく兵士、火の玉、氷の槍、人の四肢が見える。
目の前に何かが転がってくる。
目を見開いた顔がぼやけた視界にうつる。
下を見てみるがそこから先は何もない。
その姿を見た男は言った。
「おまえも災難だな。」
「自分以外を人とも考えない上のやつらに捨てられるわけだ。」
「なんのために生きてきた…」
焼けたのどから声は出ない。
頭の中の独り言。返ってくる言葉もない。
(ぁあ。そろそろ俺もか)
だんだんと視界が狭まり…
意識が途切れる…
授業も後半、窓際最後列の机に座りひじをたてて空を見る。
「今日もつまんねーな」
俺、いや陽無優斗は
つぶやいた。
16年前、この世界に生まれた優斗は生まれたばかりの頃のことは覚えてはいないが自分が以前どういった人生を送ったのかは覚えていた。
(あの、頭には争うことしかない戦闘狂の国よりかどれだけこの世界が平和か…)
優斗が前の世界について思い出していると先生がそろそろ授業を終わらせるため今回の範囲をまとめていく。ノートは真っ白だったがすぐに机にしまい、授業が終わる。
「起立。さようならー」
気づけば学級委員長、西村悠那が帰りの挨拶をしていた。また考え事に止まりがきかなくなっていたようだ。
次々と教室を出て、帰って行く人たち。
気付けば教室は優斗だけとなっていた。
窓から校門を出て行く人たちをを眺める。
優斗は人を見るのが好きだった。普段どんな顔をしているのか、こんなときはどんな顔をするんだろう。それを観察したり考えたりするのがとても楽しい。
少しニヤつきながらそんなことを考えていると、
バンッという教室のスライドドア特有の湿った音とともに声が聞こえる。
「優斗ー!帰ろ~!」
ドアを勢いよく開け声をかけてきたのは悠那だった。
「そーだなそろそろいかねーと。」
優斗はゆっくりとした動作で立ち上がりバックに教科書を詰めていく。そして2人は教室を出て帰路につく。
帰り道、優斗は話すことなどもう無かったが悠那は永遠と話し続けている。いつも通りとても声が大きい。優斗はそれに適当な相づちを打ちつつ歩みを進める。
悠那とは幼馴染みだった。長いつきあいでもいまだに思うのは性格は明るく容姿も相当上の部類に入るだろう悠那。おそらく友達も多くいるだろう。なのにどうして特にこれといった特徴もない俺とに関わってくれるのか。それが優斗にとって謎であった。
と、そんなことを考えて歩いている間にT字路にさしかかる。学校からここまでは1キロ程度はあるがすぐについてしまった。
「よし、じゃーな悠那」
「うん。バイバイ優斗!明日は学校遅刻しないようにねー?」
「はいはい、わかってますよー。」
去り際に大きな声で今日の失態について叫ぶ悠那に、優斗は目を伏せながら軽く手を振り、でかでかと《7》と書かれた看板のある店の前で2人は別れた。
場所は変わって山奥にある廃工場。
そこには大きくへこんでいたり穴が空いたりしているドラム缶が大量に転がっていた。
____ズダァンッ
ドラム缶に大きな穴が空き吹っ飛んでいく。
「ふぅ。今日はこんなもんかな」
周囲に拳大ほどの火の玉を浮かべてつぶやいている人影…
それは優斗だった。悠那と別れたあと、優斗はいつもここに直行していた。
優斗はこの世界でしばらくしてあることに気がついた。それは前の世界で使われていた「魔法」が使えることであった。しかもおそらく前の世界より強い力になっている。理由はわからないが…。
そして優斗はこの世界に来た違う世界の人間が自分だけではないと考えた。最近は特に不可解な事件が多発している。その中には空を飛ぶ人間などというものが超常現象番組ではなくニュースで流れるのだ。
おそらく自分以外にも『いる』のだろう。
そしてそれはおそらく善意をもった者だけではない。
ならば今すべきことはいろいろな事態に備え力をつけることだ、という結論にいたり、こうして5年前からこっそりと鍛錬していた。
「あー。つかれた。そろそろ帰んねーと」
「最近は成長期だからか結構魔力量も増えてきたな。」
自分の右手をグーパーして自分の成長を実感する。
汗をワイシャツで拭いながらバックを背負い廃工場の錆びた扉を開ける
____とその瞬間
優斗は火の玉を周囲に6つ展開する。
「へー!よく気がつくわねー」
突如声をかけられた優斗は工場の屋根で暮れた日を背に座っている中学生くらいの少女を眩しさにたえながら視界に入れる。
「初級レベルではあるけど6つを即座に同時展開。なかなかだね。」
少女は落ち着いて優斗の魔法について解析する。
一方優斗は少女が魔法を知っていることから警戒心をさらに強める。
「君は…なにものだ?魔法をしっているってことは君も『そう』なんだろう?」
俺はとりあえず今一番重要だと思ったことを聞く。
「名前は日暮葵。そしてもちろん私も別世界のニンゲンよ」
彼女は簡単に自分の名前を他人に教え、右手を前にかざした。すると手のひらの前に四角い氷の塊ができていく。
「なるほどな。やはりか。じゃあもうひとつ、君はこの世界に敵対する側の人間か?」
優斗は問う。この答えによっては大きく対応が変わる…が、葵の返答は…
「いえ。私はこの世界を前の世界のようにする気はないわ」
「逆にそれをどーにかしようっていう方」
先ほど造った氷塊を四散させ葵は軽く言う。
優斗は内心とても嬉しくなる。自分と同じ考えの人間がいてくれたのだ。しかし、それを表情に出さずさらに質問する
「なぜ俺に近づいてきた?」
「ふふっ。ずいぶんと質問攻めにされるわね」
不満を表に出しながら言う優斗に対し葵は余裕の態度で言葉を返す。
「理由は簡単!あなたを利用したいからよ」
「ここ数日間あなたのことは少し監視させてもらったわ。ま、その結果使えるって判断が『上』からきたから勧誘。どお?満足?」
「満足できると?」
葵のあまりにも雑な説明にさらに不満をあらわにする。
しかも監視とはどういうことだ。まったく気がつかなかった。などと考えていたがそれよりも気になることがあった。
「『上』とはどういうことだ?君たちはなにかの組織なのか?」
「やーっときたわねその質問!いつ聞いてくれるのかと思ったわ。私、いえ私たちはこの世界のこの事態をおさめようと集まった『異世界人』の組織…」
____《異魔対組織》
ご愛読ありがとうございます!
まだこれが一作目なのでわからないところ、どのように工夫すればいいのかなどわからないところが多々あります!
感想や意見、こうした方がいいなどがあればコメントによろしくお願いします!
これからも週2のペースで更新していきます!
右腕はもう無い、足も動かない。
腹部からは大量に出血しているおそらくもう長くはないであろう男が言う。
そこらを見ると浮遊しながら突撃していく兵士、火の玉、氷の槍、人の四肢が見える。
目の前に何かが転がってくる。
目を見開いた顔がぼやけた視界にうつる。
下を見てみるがそこから先は何もない。
その姿を見た男は言った。
「おまえも災難だな。」
「自分以外を人とも考えない上のやつらに捨てられるわけだ。」
「なんのために生きてきた…」
焼けたのどから声は出ない。
頭の中の独り言。返ってくる言葉もない。
(ぁあ。そろそろ俺もか)
だんだんと視界が狭まり…
意識が途切れる…
授業も後半、窓際最後列の机に座りひじをたてて空を見る。
「今日もつまんねーな」
俺、いや陽無優斗は
つぶやいた。
16年前、この世界に生まれた優斗は生まれたばかりの頃のことは覚えてはいないが自分が以前どういった人生を送ったのかは覚えていた。
(あの、頭には争うことしかない戦闘狂の国よりかどれだけこの世界が平和か…)
優斗が前の世界について思い出していると先生がそろそろ授業を終わらせるため今回の範囲をまとめていく。ノートは真っ白だったがすぐに机にしまい、授業が終わる。
「起立。さようならー」
気づけば学級委員長、西村悠那が帰りの挨拶をしていた。また考え事に止まりがきかなくなっていたようだ。
次々と教室を出て、帰って行く人たち。
気付けば教室は優斗だけとなっていた。
窓から校門を出て行く人たちをを眺める。
優斗は人を見るのが好きだった。普段どんな顔をしているのか、こんなときはどんな顔をするんだろう。それを観察したり考えたりするのがとても楽しい。
少しニヤつきながらそんなことを考えていると、
バンッという教室のスライドドア特有の湿った音とともに声が聞こえる。
「優斗ー!帰ろ~!」
ドアを勢いよく開け声をかけてきたのは悠那だった。
「そーだなそろそろいかねーと。」
優斗はゆっくりとした動作で立ち上がりバックに教科書を詰めていく。そして2人は教室を出て帰路につく。
帰り道、優斗は話すことなどもう無かったが悠那は永遠と話し続けている。いつも通りとても声が大きい。優斗はそれに適当な相づちを打ちつつ歩みを進める。
悠那とは幼馴染みだった。長いつきあいでもいまだに思うのは性格は明るく容姿も相当上の部類に入るだろう悠那。おそらく友達も多くいるだろう。なのにどうして特にこれといった特徴もない俺とに関わってくれるのか。それが優斗にとって謎であった。
と、そんなことを考えて歩いている間にT字路にさしかかる。学校からここまでは1キロ程度はあるがすぐについてしまった。
「よし、じゃーな悠那」
「うん。バイバイ優斗!明日は学校遅刻しないようにねー?」
「はいはい、わかってますよー。」
去り際に大きな声で今日の失態について叫ぶ悠那に、優斗は目を伏せながら軽く手を振り、でかでかと《7》と書かれた看板のある店の前で2人は別れた。
場所は変わって山奥にある廃工場。
そこには大きくへこんでいたり穴が空いたりしているドラム缶が大量に転がっていた。
____ズダァンッ
ドラム缶に大きな穴が空き吹っ飛んでいく。
「ふぅ。今日はこんなもんかな」
周囲に拳大ほどの火の玉を浮かべてつぶやいている人影…
それは優斗だった。悠那と別れたあと、優斗はいつもここに直行していた。
優斗はこの世界でしばらくしてあることに気がついた。それは前の世界で使われていた「魔法」が使えることであった。しかもおそらく前の世界より強い力になっている。理由はわからないが…。
そして優斗はこの世界に来た違う世界の人間が自分だけではないと考えた。最近は特に不可解な事件が多発している。その中には空を飛ぶ人間などというものが超常現象番組ではなくニュースで流れるのだ。
おそらく自分以外にも『いる』のだろう。
そしてそれはおそらく善意をもった者だけではない。
ならば今すべきことはいろいろな事態に備え力をつけることだ、という結論にいたり、こうして5年前からこっそりと鍛錬していた。
「あー。つかれた。そろそろ帰んねーと」
「最近は成長期だからか結構魔力量も増えてきたな。」
自分の右手をグーパーして自分の成長を実感する。
汗をワイシャツで拭いながらバックを背負い廃工場の錆びた扉を開ける
____とその瞬間
優斗は火の玉を周囲に6つ展開する。
「へー!よく気がつくわねー」
突如声をかけられた優斗は工場の屋根で暮れた日を背に座っている中学生くらいの少女を眩しさにたえながら視界に入れる。
「初級レベルではあるけど6つを即座に同時展開。なかなかだね。」
少女は落ち着いて優斗の魔法について解析する。
一方優斗は少女が魔法を知っていることから警戒心をさらに強める。
「君は…なにものだ?魔法をしっているってことは君も『そう』なんだろう?」
俺はとりあえず今一番重要だと思ったことを聞く。
「名前は日暮葵。そしてもちろん私も別世界のニンゲンよ」
彼女は簡単に自分の名前を他人に教え、右手を前にかざした。すると手のひらの前に四角い氷の塊ができていく。
「なるほどな。やはりか。じゃあもうひとつ、君はこの世界に敵対する側の人間か?」
優斗は問う。この答えによっては大きく対応が変わる…が、葵の返答は…
「いえ。私はこの世界を前の世界のようにする気はないわ」
「逆にそれをどーにかしようっていう方」
先ほど造った氷塊を四散させ葵は軽く言う。
優斗は内心とても嬉しくなる。自分と同じ考えの人間がいてくれたのだ。しかし、それを表情に出さずさらに質問する
「なぜ俺に近づいてきた?」
「ふふっ。ずいぶんと質問攻めにされるわね」
不満を表に出しながら言う優斗に対し葵は余裕の態度で言葉を返す。
「理由は簡単!あなたを利用したいからよ」
「ここ数日間あなたのことは少し監視させてもらったわ。ま、その結果使えるって判断が『上』からきたから勧誘。どお?満足?」
「満足できると?」
葵のあまりにも雑な説明にさらに不満をあらわにする。
しかも監視とはどういうことだ。まったく気がつかなかった。などと考えていたがそれよりも気になることがあった。
「『上』とはどういうことだ?君たちはなにかの組織なのか?」
「やーっときたわねその質問!いつ聞いてくれるのかと思ったわ。私、いえ私たちはこの世界のこの事態をおさめようと集まった『異世界人』の組織…」
____《異魔対組織》
ご愛読ありがとうございます!
まだこれが一作目なのでわからないところ、どのように工夫すればいいのかなどわからないところが多々あります!
感想や意見、こうした方がいいなどがあればコメントによろしくお願いします!
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