朝起きたら女の子になってた。

スライム3世

ゲーム中なところ。



俺が通っている中学校は、お昼の時に給食か持参か購買を選べられる。よって、お金は持ってきても良い事になっているが、携帯などの持ち込みは原則的に禁止である。隠れてやるなら使用しても良いという暗黙の了解だ。

まぁ、いきなりそんな事言って何が言いたいのかというと……

「南西に2人いましたわ」
「その2人はスナイパー持ってるうちが」
「いや、紗香がサプ付きのアサルトだから紗香が倒して」
「ごめん、2スコしかないから狙えない。せめて、4スコか8スコがないと無理」
「じゃあ、俺が救援物資から取ったサプ付きのAWMで狙うぞ」
「「「「狙撃のサプ羨ましい(ですわ)」」」」

今の会話を聞いて知っている人がいたら分かると思うが、現在俺達は『荒◯行動』というアプリのサバイバルゲームをやっている。
内容は大人数が空中から島に放り出され、民家などから武器を取り、敵を見つけ次第やっつけるゲームだ。時間が経つと行動範囲が狭まっていくので、敵と鉢合わせする可能性が増えていく。まぁ、詳しい話は省く。

「はぁ、それにしても快適だな」
「うんうん、麗華はいい仕事をしたよ」
「当然ですわ。移動中の・・・・遊びも全力でやるのが天童院家の誇りですもの」

そう、天童院さんが言った通り、現在移動中なのだ。リムジンで……。

それだけではない。無線LANも常備、ゲームをする体勢は俯せ、水分補給もドリンクバーの機械があり、充電も出来るというハイスペックなゲーム環境だ。

そして、これを提供する本人様もお胸様がでか……じゃなくてハイスペックときたものだ。全く、隙がなくて少し憧れる。

「そういや、このリムジンは何処に向かっているんだ? ……あ、倒し終わったぞ」
「わたくしのお母様が経営している水着専門店ですわ。……ナイスです、沙雪さん」
「水着専門店か〜、それってどんな……「全部ですわ」ぜ、全部?」
「ええ、お母様はやると決まった分野は妥協しませんわ」

(天童院のそういう部分は母親からきてるのか)

そんなこんなで10分後。

ゲームは佳境に入っていた。

残り人数は俺達5人を入れないで8人。ここまで1人も欠けずに生き残ってこれたのは、見事と言って良いだろう。

「3人見つけたよ。えーっと、15の……あ、挟み撃ちになってやられた」

残り5人。

「マジか、なら、やった奴をここから狙ってみるか」

しかし、紗香が待ったをかける。

「沙雪、待って。フラッシュ的にそっちにも銃口向いてた。狙うなら、そいつを倒してから。えっと、麗華倒せる?」
「いけますわ」

天童院さんは紗香に言われた通り、その敵をヘッドショットで倒した。

残り4人。

「倒した奴を見といて。仲間の元に向かうかもしれないから」
「了解しましたわ」
「えーっと次は……」
「紗香、すぐ近くの木にいる」
「おっと、本当だ」

アサルトライフルからショットガンに切り替えた紗香は、至近距離で一撃で倒した。

「こいつは……フライパンで倒しておく」

残り3人。

「よし、じゃあ俺は囮するから場所分かったら倒してくれ」
「「「それはできない」」」
「え?」

俺は予想しなかった返事を聞いたので、スマホから目を離して皆を見ると俺を見ていた。しかし、蓮だけは黙々とプレイしている。

「沙雪さんみたいなか弱い女の子をみすみす囮にする私達ではありませんわ」
「そうね、すごくかわいい……じゃなくて、学級委員としてクラスメイトを守るのは当然のことです」
「今度は私が沙雪を守る番なんだから!」
「おいおい、ゲームと現実を混同するな」
「「「は!」」」

正気に戻った、蓮を除いた俺達はゲームに戻る。
しかし、ゲームは終了していて戦績画面になっていた。

「負けたのか? いや、1位だ。……ってことは」

俺達は黙々とプレイしていた蓮を見る。

「……ふっふっふ、うちをお姉ちゃんと崇めれば良いんだよ」

「「「「流石です(わ)、蓮お姉ちゃん(様)」」」」

その後、アホ毛をぶんぶんさせながら、小さい体を大きく見せるようにして踏ん反り返っている蓮は可愛かった。

(今は俺の方が小さいけど)


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