朝起きたら女の子になってた。

スライム3世

水着を買いにいくところ。



始業式とG退治の日から一週間が経ち、週はじめの月曜日になった。

学校にも若干慣れてきて、クラスの女子達との関係の方も大体分かってきた。そして俺は『俺っ子』として認識されたみたいで、その事がギャップ萌えで可愛いとか言ってたような気がする。不本意なんだけどね。

それに、俺は誰かしらの男子と友達になってみたかったけど、何故かクラスの女子達に止められた。解せぬ。

それと、莉奈さんの俺に対する態度は相変わらずで、スキンシップが激しい。だが、過剰になった時には紗香が物理で止めに入ってくる。

授業は懐かしいって感じがするだけで、それほど難しくはない。だけど、生物が少し苦手。
体育は体操服がまだ届いてないので見学中。制服が売ってるショッピングモールと場所が違うのでめんどくさい。紗香の体操服を借りるという手段もあったが、俺の危険信号が発令しているのと、サイズが合わないことからその案は却下された。

そして現在ーー学校に登校して朝の挨拶、出席確認を担任である林先生が終えたところだ。因みにこの先生は俺の知っている先生ではなかったので良かった。

「えぇ〜明日からある体育の授業から水泳の授業を再開する〜準備をするように〜」

「「「「おおおおおおおお」」」」

野郎共が勝鬨を上げた。だが、女子達は「めんどくさ〜」と呟いたり、「髪乾かすの怠い〜」と反対向きな意見が飛び交っている。

しかしだ。

俺はこのイベントに参戦したいと思っている。

なぜなら、

女子達の生着替えを直で見られるからだ。動画ではない。生だ。

(色んな下着に色んなお胸様の大きさに形……うん、すごく良い。それに水着も良いな。男の時は女子の水着見てるだけでも変態扱いされてたからな)

俺が少し先の未来の光景を想像して楽しんでいると、前の席に座っている紗香が後ろを向いてきた。

「そういえば、水着持ってないよね」
「水着ならあるぞ〜」
「あ〜はいはい、どうせ男の時に使ってたやつでしょ。放課後買いに行くよ」
「うげ……」

(そうだった……。女子達の生着替えを見る代償に俺も水着を着ないといけないのか……。いや、しかし、見学という最強の技を使えば)

「卑怯な手……使ったら、沙雪が莉奈と仲良くしたいらしいよ? って言うから」
「はい、わかりました。全力で正々堂々と戦い抜くことを誓います」
「よくできました」

それだけ言うと紗香は体を前に戻した。

(くっそ〜〜 俺が女用の水着を着ることになるとは……。まぁ、莉奈さんからのスキンシップよりはマシか)

俺が莉奈さんからのスキンシップを嫌がる理由は2つ。

1つ目は、莉奈さんから漂う甘い匂い。

香水をべったりではなく、軽く付けているだけなのにすごく良い匂いがするのだ。だから、男のさがを受けて自然と莉奈さんに釣られてしまう。

2つ目は、マッサージ。

釣られた俺をマッサージと偽って、莉奈さんは俺のちっぱい様を大きくするという目的で揉んでくる。それも的確な強さと握り方で。あれは、やばい。自分が男ではなく女だろ!と突きつけてくるような感じがするのだ。

まぁ、そうなる前に紗香が止めに入ってくるから助かっている。
しかし、その紗香が裏切ってしまったら、俺はどうにかなってしまう自信があるので、その件では紗香には逆らえないのだ。

(妹に弱みを握られた兄……なんかえっちぃな)


*****


授業が終わり放課後になった。

現在の時刻は午後の3時半頃で、おやつの時間を少し過ぎた頃である。

「じゃあ、水着を買いに……」
「「「ちょっと待った」」」

帰りの挨拶を終えて、紗香が俺に話し掛けてくる中、3人の女子達が割り込んできた。その3人の女子達とは学級委員の坂井 結衣、ペット的な存在の犬井 蓮、色々とビッグな天童院 麗華だ。

俺はこの3人とは仲良くなったと思っている。特に蓮は「私は沙雪のお姉ちゃんだから」と言って、俺の世話を焼いて来る。だから、俺はパシリにしている。

「ここは学級委員の私が沙雪ちゃんの水着を選んであげる」
「何言ってるの。ここはお姉ちゃんであるうちが」
「いいえ、沙雪さんの水着は天童院家の令嬢であるこのわたくしが」

割り込んできた3人がいきなり喧嘩ムードになるが、紗香は無視して俺を連れて教室を出た。

「はぁ、やっと静かに……」
「「「なんで、堂々と無視を」」」

「蛆むsじゃなくて、貴方達が煩いの。沙雪が怖がるでしょ?」

(煩いだけで怖がるとか小学生か? というか今、蛆虫って言おうとしてたな?)

紗香の黒い部分が露出しているが、俺は気にしないでその3人に話しかける。

「委員長も蓮も天童院さんも一緒に来るのか?」
「「「「行きたい(ですわ)」」」
「じゃあ、行くか」
「待って、私は……」

紗香が反論してこようとしたので、紗香の耳元である言葉を囁く。

「……下着姿で外に」
「わかった……」

紗香は俺が言おうとしたことを察して、直ぐに了承してくれた。頬を染めて。

(妹の弱みを握っている兄……なんかえっちぃな)


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