朝起きたら女の子になってた。

スライム3世

旅行 part12



シャワーを浴び終わったら、浴室から出てバスタオルで髪と体を拭いてからショーツを履く。まだ、暑いので浴衣は着ないで、浴衣とタオルを持ちそのまま洗面所を出た。

母さんは過去の旅から帰ってきて、今度は布団で夢の旅に出かけた様だ。沙雪はどこか笑いながら寝ていた。

「お姉ちゃん、おっぱい丸出しで良く出てこれるね」

紗香には呆れられた。

「別に良いだろ、ここには女しかいねぇしよ」

そう言いながら、今日温泉から上がって買っておいた『津軽路BEER』を冷蔵庫から取り出して、奥のスペースにあるテーブルに置いて椅子に座った。

「あ、蓋開け……」
「はい」

紗香が瓶の蓋開けとグラスを持ってきてくれた。私は紗香にお礼を言った後、瓶を開けて中身をグラスに入れて飲む。

「ふぅ〜〜美味しい」

窓から見える日本庭園の景色を見ながら酒を愉しむ。

「ねぇ、お姉ちゃん」
「何だ」

紗香が向かいの椅子に座って話しかけてきた。

「沙雪と何してたの」
「理由を聞いてもいいか?」
「沙雪が寝言で「お姉ちゃん」って言ってたから」

(何してくれてんだ……。まぁ、紗香には遅かれ早かれ気付かれてたな)

「おっぱい吸わせた」
「え……」
「間違えたな、挑発してたら吸われた」
「そ、そうなんだ」

(意識が無かったとは言えお返しするぞ、沙雪)

しばらく間が空いて、紗香はまた話しかけてくる。

「お姉ちゃんは、沙雪の事が好きなの?」
「好きか嫌いかで聞かれたら、好きだ」
「それは嘘。お姉ちゃんは沙雪の事が大好き」
「そんなには「なら、お姉ちゃんは高校生の時、彼氏を作ってるはず」!?」
「そして私も沙雪、ううん、お兄ちゃんが大好き」

そう言った紗香は、寝ている沙雪を恋する乙女の様に見る。

(はぁ……罪作りだな)

「いつから好きだったんだ?」
「好きだと自覚したのは小学3年生ぐらいだった」
「そんな前から好きなのか……」
「お姉ちゃんはいつから好きなの?」
「私は……」
「どうして逃げるの?」
「逃げるなんて「逃げてる!お姉ちゃんは……」耐えられないんだよ!」

大きな声を出してしまった私は、母さんと沙雪が起きてないか確かめる。

(大丈夫だな)

私は冷静になって紗香に伝える。

「確かに、私は沙雪の事が恋愛の面でも大好きなんだろう。だが、行き着く先は婚約だ」
「それでも好きなら……」
「良いか?確かに私は強くなったとは思うが、そっちの方面は、強くなってないんだよ……」
「お姉ちゃん……」
「もう寝る」

ビールを飲み終えたら、私は浴衣を着て沙雪がいる布団に潜り込む。そうしたら、酔いが回ってきて直ぐに眠りに就いた。


*****


「は!」

起きた。

体を起こして、布団の側に置いてある自分のスマホで時間を見ると、午前7時13分だった。周囲を見ると、母さんは部屋にいなかった。

(温泉行ったかな)

紗香は布団で寝ていて、姉貴は俺と一緒の布団の中で寝ていた。

それを見て、昨日の夜の事を思い出すのと同時に脳内には1つの言葉が流れてきた。

某RPGゲームのセリフ「ゆうべはおたのしみでしたね」と。

(うん、なかった事に……って出来るわけねぇだろぉぉ)

(姉貴が起きてきたら、絶対愚痴言ってくるぞ……いや、変態と言ってくるに違いない)


そして俺が導き出した答えは、起きなかった事時間稼ぎにする。

そう決まったので俺は、巻き戻る様に布団の中に入り、二度寝をするのであった。


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