朝起きたら女の子になってた。
紗香は決闘する。
沙雪が「蓮お姉ちゃん♪」と呼んだ時、教室内は静まり返る。沙雪と蓮を除いて。
「可愛いぃ、も、もう一回言って!」
「もう一回?仕方ないな〜 蓮お姉ちゃん♪」
もう一度、沙雪がお姉ちゃんと言っているところを聞いた教室内にいる女子達(紗香を除いた)はある考えを持った。
紗香の妹にお姉ちゃんと呼ばれたいと。
だが、その考えを察知した者は1人いた。紗香だ。
(蓮は阻止出来なかった… しかし、これ以上は沙雪にお姉ちゃんを増やして欲しくない!)
決意した紗香は、沙雪の元へ歩み寄ろうとする女子達に牽制の視線を送る。
『それ以上、沙雪に近づくな』
その視線に気付いた女子達の代表の1人がお返しの視線を送る。
『まぁまぁ、そんな事言わずにさ、仲良くしましょう?お・ね・え・ちゃ・ん?』
『やめて。私の事、お姉ちゃんと呼んで良いのは沙雪だけなの』
『ほうほう、なら、貴女の妹に私達が「お姉ちゃん」と呼ばれるのは良いと思わない?』
『ダメに決まってるでしょ』
『そう、残念ね』
そして、代表の1人が手を上げると紗香を囲むように女子達が散らばった。それを紗香は一人一人に目線を合わせていく。
『沙雪ちゃんを寄越しなさい』
『寄越すわけないじゃん』
『貴女を倒して沙雪ちゃんとハネムーン旅行に…』
『1人で行ってれば良いよ』
『沙雪ちゃんには公平に接するべき』
『私の辞書に「公平」という文字はない』
『紗香、面白そうだったから混ぜて貰うね』
『莉奈、後で覚えててね?』
『私と決闘しろ、紗香!』
『その辺の人と戦っててよ』
『お姉ちゃんって呼んで下さい』
『私より小さいのに何言ってるの?』
『はぁはぁ、紗香〜〜、好きだよぉ〜、沙雪なんか置いて私とイチャイチャしよ?それで、たくさん遊んで、たくさんデートして、結婚して、老後も一緒に暮らして、一緒に寿命で亡くなって、来世でも恋人になって、その次の人生でも、いや、時間の概念が存在する限りずっとずっと一緒にいよ?だから、まずは…』
「……」
私は最後の1人を危険人物と認定して現状を把握する。
(私の敵は7人、莉奈になら許して6人、最後の1人は、強敵ね)
「私と勝負するの?」
「もちろん」
こうして、紗香を含む女子達8人は勝負をする事になった。
*****
「やるじゃない、莉奈」
「そっちもね」
「紗香〜 こっち見てぇ、見てくれたら結婚してあげる」
「楽しくなってきたぞ」
勝負をするにしても8人だと多かった。何度、「負ける」と思ったことか。
「次、紗香の番」
私は莉奈に言われて机に何かを出す。それはスペードの3。
「ジョ、ジョーカー返しだと…」
もう分かったと思うが私を含む4人は大富豪で勝負をしている。
8人で多かった時は、ババ抜きをした。いかんせん、カードの配分が少ないから揃うカードも少なくて負けるかと思った。だけど、勝ち残った。沙雪を守るために。
そして、4人になった時にババ抜きから大富豪にゲームを変更して1位になった者が勝ち抜きとなって沙雪の元に向かう権利を得る。
勝ち残った4人は、私と莉奈、勝負女、危険人物の4人。順番は、私→勝負女→危険人物→莉奈となっている。
それで、私は莉奈がジョーカーを出した時にスペードの3を出した。
そして今は、私が出す場面。手元には5枚のカードが残っている。
(他の3人は3枚ずつ残っている、ジョーカーは出た。2のカードも全て出た。そして私が手元にあるカードはダイヤの3、ハートの3、クイーンのJ、クイーンのQ、スペードのA。ここで出すとしたら…」
そして私は、クイーンのQを出した。
「パスだ」
「あるよ〜」
危険人物がハートのKを出す。
「パスー」
ナイス、莉奈!
「はい」
私はスペードのAを出す。
「パスだ」
「パス〜」
「パスー」
(これは、勝てる!私がここでクイーンのJを出してイレブンバックさせればいけるはず)
「勝ちは貰った!」
私はクイーンのJを出す。
「あるぞ」
勝負女はスペードの6を出した
「ある〜」
危険人物はダイヤの4を出す
「私は…」
(お願い莉奈、出さないで!)
だが莉奈は、クイーンの3を出した。
(あぁぁぁぁぁぁぁ)
「紗香、出せる?」
(出せる訳ないのに良くそんな事言えるよ… だけど、まだ負けない!)
「パス」
「パスだ」
「パス〜」
(さぁ、莉奈、あと1枚あるはずのJを出して私を…)
「やぎって、ほい。私の勝ち〜」
(はぁ?)
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