朝起きたら女の子になってた。

スライム3世

中学校に登校してるところ。



母さんと姉貴が『絶対領域』へのお祈りが終わり、外に出た。『さゆちゃん1号』に乗って中学校まで行きたいけどチャリ通は禁止なので無理。バレたら反省文書かせられるからしない。過去に書かせられたが…

言ってなかったがこれから通う(元通っていた)中学校の名前は汐南しおなん中学校。省略したら塩中しおちゅう。しょっぺえ中学校だ。

「早く、行こう沙雪」
「あ、ああ」

紗香がさり気なく手を握ってきたが気にしない。

家から学校までの距離は徒歩で約15分ほど。結構近い。

「沙雪は楽しい?」

ん?歩いている途中に話しかけてきた。これが噂に聞く通学路で話し合いながら登校する行為か。まぁ、それは置いといて。

「何が?」
「今の生活は楽しいのかなって」

今の生活…… 男の時の俺は引きこもりでは無かったが、実質引きこもりだった。朝起きて、朝飯食って、身支度して、バイトに行って、帰ってきて、晩飯食って、アニメ見ながらパソコン弄って寝る。

バイトがない日は、夜更かしして、朝は寝て、昼間になったら起き始め、昼飯食って、それから…… あぁ、クソみてえだ。何1つ変わりのない生活だった。変わるのは、飯のメニューとアニメの種類とか話数、そして俺以外の家族の表情。親父が病気で亡くなった時も俺は…

「紗香…今の生活は楽しいよ…とっても……」
「さ、沙雪?どうして泣いてるの?」
「今の生活が楽しすぎて感動して泣いてるんだ…」
「そうなんだ」

そう言って紗香はスカートのポケットからハンカチを取って渡してきた。

「使っていいよ」
「ありがと…」

俺はハンカチを受け取って涙を拭いて紗香に返した。

「うん、良い顔になったね。かわいいよ」
「うっ、我が妹よ、俺にかわいいなんて言うな!」
「かわいい、かわいい、かわいい、かわいい」
「うがぁぁぁぁぁぁぁぁ」

俺は気恥ずかしくなり、紗香から逃げる様にダッシュして登校する。

「あ、待ってよー」
「待つものかー!」

それにしてもスカートでダッシュしてると膝にスリスリと擽られる感じがして落ち着かないわ。

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