世界を渡る私のストーリー

鬼怒川 ますず

山と海の悲哀10

朝になり、俺は守衛たちの手によって牢屋の外に出される。
もちろん、俺が暴れないように鎖などでグルグル巻きにしてだ。
連行される際に俺は一つ聞いた。

「…騎士たちはみんな人魚の肉を食べたのか?」

守衛は俺の顔を見ずに「上の連中は全員食べたよ」と答えた。
俺はそれを聞いて胸の内に酷い怒りの炎を灯すが、これから行うことを思えばそんなことはどうでもいいことだと思えた。
彼らはみんな後悔してもらうのだから。

「これよりこの者の死刑を行う。罪状は殺人…及び我が国の資源でもある人魚の肉を奪おうとした罪だ」

中央都市の広場の真ん中に置かれた絞首台。
その周りにはたくさんの見物客が集まっていた。
前述はその通りだが口述は謂れのない罪を言い渡された俺は絞首台に登らせられ、太い首に縄が掛かる。
そして、絞首台に立った俺は見物人を見下ろしながら、その中に見知った顔があるのを見つける。

(…あいつらも来ているのか)

彼女の仇でもあるあれら、もはや人間とは思えないそいつらを見つけ視線を向けると、彼らは満面の笑み、まるで本当に面白いものを見るかのように俺の姿を笑う。
許せない。
俺がそう思うのと同時に足元にある板が開き、そして俺は______


「__________ッ」

縄が締まり、俺の首はそのまま絞められる。
首が締まり気道が確保できなくなる。苦しみが頭の中で巡る。息が止まり、あれだけ復讐に燃えていた考えも消え去る。
一瞬で起きた永遠に続くような苦しみ。
それは転生初、人生初の体験。
二度目の死を俺はもう一度味わう。

_________だが、それだけだった。
一瞬で起きた苦しみ。それはものの数秒で終わった。
息が出来る…首が締まってる状態でそんな真似が出来る事自体がおかしな話だが。とにかく俺は生きていた。
ずっと目を開けていたせいもあって、首を吊られながら目の前で俺の死刑を見物してる連中をゆっくりと見渡す。

「…死んだのかあれ?」
「首絞められた奴にしては何だか…生きてるような気がするが」
「おい…こっちみてねぇかアレ?」
「まさか…不死身じゃねぇし違うだろ」

見物人、愚かで救いようのない奴らを静観していた俺だが、ここら辺が頃合いとみて俺は口を開いて彼らに言った。
憎悪すべきこの国の王族や騎士、見物人たちへと向けて。

「お前らが、あいつを殺した…」

首を吊られた男からの言葉に、見物人はおろか死刑を執行した騎士たちまでも一瞬で言葉を無くした。

「あの子は、誰かのために何かをしたいと、そう俺に言ってくれる程にいい奴だった。本当にどうしてこんな目に合わないといけないのか分からない程にいい奴だったんだぞ…」

俺はここまで口にしておきながら、あの日彼女の告白を拒否したことを思い出し、心に何か嫌なものが刺さる感覚に陥る。
今になって目の前にいる連中と俺は同じ存在だと、そんな自虐的な感覚になりそうになる理性を抑える。
この胸にあるどす黒い感情の捌け口として、俺は授かった魔法を使う。

「俺は、お前らを許さない、絶対に、絶対に許しはしない…!苦痛を与えて殺してやる!!」

「あ…がぁぁ!?」
「うぐぅぅぅ…!?」

その言葉と同時に、すぐ目の前で見物していた数十名を俺は死霊術の餌食にした。
そいつらは地面に倒れて苦しそうにのたうち回り、しばらくしたらそのまま動かなくなった。

「苦しんでくたばったら次だ、この場にいる人間を全員殺しちまえ」

先ほどと同じように言葉に反応して、その場に倒れた人間は起き上がって周りで様子を見ていた人間に襲い掛かる。
わぁぁぁぁ、と叫び声をあげて逃げ始める見物人達。
しかし、死霊術で生き返らせた人間は、その速度よりも早く駆け、逃げていく人間捕まえては次々と首を噛んで殺害していく。
その光景に俺はざまあみろと呟くが、そんな俺に背後から騎士たちの怒号が響く。

「この野郎!首を吊られた状態で意味の分からないことを!」
「引っ張り上げて斬り殺せ!バラバラにしてもかまわん!!」

その声が聞こえるのと同時に縄が引っ張られ俺の身体は引き上げられていく。
そういえば逃げるの忘れていたなと思っていたのと同時に、背後から騎士達によって斬りつけられる。
背後を見れないから余計にやりづらいなと感じながら、俺は再びさっきと同じ魔法を使った。

「が!?」

それだけで、周りにいた騎士たちは問答無用で死んでいく。
再び起き上がるときには既に俺の配下だ。体中にまかれていた縄を斬ってもらい自由の身になった俺は広場で無残にも俺が操った死体に殺された見物人たちを一瞥して一言。

「この国をめちゃくちゃにしろ」

たった一言、それだけで死体は常人じゃ敵わない化け物へと姿を変えてこのクソッタレな国へと散らばり始めた。
操る死体が2000体にまで膨れ上がったのは経った30分だったか。
その頃には逃げてきた国民や騎士達が中央都市の中央に鎮座する城で籠城戦を繰り広げていた。

俺は死体、それ以外にもこの地で死んだ人間を蘇らせてスケルトンナイトとして1万近く使役し、自動的に攻め続けるように指示を出した。
指示を出し終え、俺の私物である服を回収させた後俺は死体達にお願いしていたものの準備が整ったとの情報が入ると即座にそこへと向かう。

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