世界を渡る私のストーリー
無能な万能を持つ支配者28
次の日には皇帝と側近は行方不明扱いとなり、国は混乱に陥る。
しかし、次代の王が君臨したことで混乱は治り、それに続くように世界の異常な天候も弱まり、飢饉で飢える村が減っていく。
やがて人の手によって世界の未開拓の地は切り拓かれるが、そこには絶対の万能を持つ皇帝と何でもこなした側近の姿は無い。
その情報を聞いて、未だに大切な彼を探していたツヅリとミレーナはお互いに彼らがどうなったか気になったが、思い当たる節があるツヅリはそこまで追求しようとは思わなかった。
彼女だけ、アレに気付いていたから。
1年後、彼女たちはこの世界を去った。
「ミハル、ここが俺達の再就職場所だ」
「わぁ、ここが次の世界なのね!それで私たちは何をすればいいの?」
「ここで生活するだけだとさ、あの声のジジイが言うには『ここなら死なないし苦しまない』って事らしいが」
「なら私たち永遠にここに居られるの!ちょっと困るけど、でもタクマと一緒なら私大丈夫よ!」
「そうか?俺もだよ」
そこはどこかの城のような場所。
全てが黒一色で、それでいて彼らが居た世界の城の数千倍も大きく、広大な部屋が広がる城。
簡単そうに見えて、複雑な彫刻がいくつも飾られた場所。
そして、玉座にはソレがいる。
ソレが何かは、彼らも知らない。
でもそれが誰かは、本能が教えてくれた。
玉座にたどり着いた彼らは、それを目の前にしてその名を自然に口に出してしまう。
「…お会い出来て光栄です×××様」
それはどこか別のお話。
ただ、紡ぐだけの物語。
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