世界を渡る私のストーリー
無力な私が愛した支配者1
私はもうすぐ31歳になる。
この歳になるまで、一度も誰かと交際をしたことがなかった。
ってのも、私はそもそもカップルや恋人などといった浮ついた言葉には一切興味もなく、ただ毎日仕事と向き合う日々であった。
そんな日々で私が出会った彼。
最初はなんだか浮ついていて頼り甲斐のない男であったが、私と彼は不思議と話が合って、そのまま交際まで行くことができた。
付き合いはじめの頃は彼を愛し続けると、私らしくもない浮ついた考えで彼のことだけ考えていた。
あの時の私がどれだけ彼に苦労させたかも知らずに、ただ彼に執着していた。
彼は仕事に疲れていた。
同時に私との関係にも疲れていた。
私が心配している間に、彼は多くの女性と関係を持つようになった。
五股というやつだ。
私はその事実を知って彼を問い詰めると、彼は逆ギレして私に暴力を…振ってくれればよかった。
彼は本当に優しかった。
あの時、正常に判断ができていなかった私のことをぶってくれれば、おそらく私は正気に戻って彼との関係を考え直していたんだろう。
もうそれは過去の話で、私はもう引き返せないが。
数日後、私は彼を刺し殺していた。
何度も何度も、滅多刺しにしてやった。
それでも彼は最後まで私を思ってくれてた。
「ごめんなさい…ごめんなさい…」
弱々しく私に向けて謝罪の言葉を呟いて、涙を流して生き絶えた彼を見て私は正気ではいられなかった。
彼を置いて私は走る。
近くのビルに入り、そのまま最上階まで走ってから身を投げた。
自殺だ。
あれだけ憎かった彼の後を追ったのだ。
そして私は次の世界で生きた。
貴族の娘として。
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