世界を渡る私のストーリー

鬼怒川 ますず

無力な万能を持つ支配者6

俺は多種族、15種もの種族の国のうち3つを落とした。
領土が広くなり、人間がその地に移って農作に励み、その一方で俺は前線に立って兵士たちと共に侵攻を始める。

声がくれた力に限度は無い。
目の前で傷ついた仲間を癒し、相手が怒涛の勢いで繰り出す攻撃も一切効かない。

俺が国のトップに立ち、人々を率いて戦い始めて3ヶ月で落とした国は12になった。
数千年の戦争が、たった数ヶ月で終わることに人間以外も驚くが、それ以上に戦争が終結することにみんな胸をなでおろした。

そもそも戦争が始まったきっかけは些細な事だった。
各種族の王族や統率者が己が種族の優位さを証明するためだけに起きた事で、数千年もの遺恨も今では意地の張り合い程度のものだ。

国民には小さい頃からそういった教育を施していたのもあって、その中からでも疑問に思う者も現れるが、大概は自分達が劣っているかもしれないと思って戦争に加担するしかなくなる。

過去数回平和を唱えた者達が現れたが、それもすぐにそれぞれの国で秘密裏に処分され、歴史の闇とやらに放り込まれている。

つまるところ、上を消せば良かっただけだ。
遊戯盤と同じで、王様さえ取れば全て治る。
それだけで済む戦いだった。
しかし、そこまで攻められるものは誰もいなかった。


俺を除いて。






負けた種族の国の者達はみんな戦争が終わって胸をなでおろす。
でも、俺はそうはさせなかった。
そもそも許す気は無い。


俺が落とした国の連中の殆どを農奴にした。
全員が不満な顔で俺を見るが、俺が見せしめに彼らの中から1人を手も使わずに虐殺すると、我先に命令に従った。
反抗する者も、王族でも無理矢理に農業を行わせた。

半分を奴隷にして人々に与えたりもした。

人間はその飼い主だ。
その飼い主の中で偉いのが俺だ。


俺が最強だ。
俺が全てを支配できた。

財産と土地も全て奪い、俺の幹部達に分け与えてその土地に住んでいた奴らを召使いにもしてやった。
虐殺しても許される法律も作ってやった。

俺はそれを見て笑いが止まらなかった。
あれだけ苦しめられた海人族が、俺にヘイコラとこうべを垂れ、俺が地面を舐めろといったら本当に舐める様は最高だった。
殺しても抵抗出来ずに怯える姿も最高だった。

あと3つの国。

竜人族、魔人族、ダークエルフ。

その全てを奪う。
そして俺はもっと笑うんだ。
それこそ、顎が外れるほどに。

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