世界を渡る私のストーリー

鬼怒川 ますず

無力な万能を持つ支配者5

あの声が数回の問答でくれた力は万能だった。

オーク・ゴブリン・海人族の連合軍を、俺1人で殲滅した。

首をもいだ。
腕を引きちぎった。
相手に触れずに、臓物を腹から引き出した。
仲間内で殺し合わせた。
地面からゾンビを出して襲わせた。
相手の銃弾も魔法攻撃も全部跳ね返した。
本当にチートだ。
昔あった家庭用ゲーム機にゲームカートリッジと一緒にある機械を挿すと持ち物が無限に増えるとかいうヤツと同じで、すごいスッキリした。
今までの苦労が嘘みたいに楽に殺せた。
俺はいつの間にか笑っていた。
目の前で目も覆いたくなる程の惨劇を起こしているのに、心は晴れやかだった。

全て殺し終え、相手側の指揮官や階級の高い人物を捕えて本部に戻った俺はその場にいた兵士…将軍ですら平伏して俺を『英雄』だと言って称賛した。
彼らは俺の戦いを見ていた。
俺が超常なる力で戦っている場面を見ていた。

誰1人として俺に加勢もしなかったくせに。

そんなことはどうでも良かったが、どこか引っかかっていた俺は捕えた指揮官をすぐさま国同士の交渉の席に立たせ、引き渡す代わりに今後の領土侵攻に対する賠償を求めた。

当然ながら何度も攻め込まれて負けていた人間相手の出す条件などをあいつらは飲み込まなかった。

人間側はすぐに指揮官を死刑にしようと考えるが、指揮官を殺したところで意味がないと察した俺は死刑決行の2日前に1人で国を飛び出し、ゴブリンの国を陥落させた。

たった1日で全て終わらせ、一般人も軍人も、老若男女分け隔てなく潰し、根絶やしにしたところで次の日にはオークどもを潰した。
最後に残った海人族達は俺の行なった虐殺に怯えたのか、こちらの出した条件…それに俺が指示した追加条件で海人族の利権を全て人間が握るという荒唐無稽なものも容易く呑んだ。

この日、人間側はゴブリンとオークを滅ぼし、海人族の国すら飲み込んだ。
俺1人の功績で。

俺はこの日から人間側の最高指揮官、元帥の地位についた。
容易くて、本当に容易くて大声あげて笑った。

全てが思い通りで、本当に楽しくて。


俺がここまで出世した途端に、まだ上で踏ん反り返る王族が邪魔になった

だから俺は革命を起こしてやった。
元々不満があった軍部や民もこれには乗り気で、俺が主導者となれば良いと思われていた。
結果、王族と貴族を含む一族郎党全員を縛り首にしてやった。

ただ、貴族の1人にやけに賢い小娘がいたからそいつだけは生かしてやった。
そいつを側近において俺は次を目指した。

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