世界を渡る私のストーリー

鬼怒川 ますず

カードの館の人形姫7



「…なんでそこまでしてここを守ろうとしているんだ?」

「さぁ、人形って事は誰かに作られたって事でしょうからその人の命令を忠実に守っただけかもね」



館の中で生活する人たちから話を聞き終わった私とミレーナは空を飛んでいた。
ミレーナの天使の翼で空を飛ぶのだが、チラホラと天界出身の天使がそこらで飛んでいるので誰も不思議と思わない。



「天界の者が俗物に興味を持つなんて変わった世界だ」


ミレーナが自嘲気味に呟く。
それから約40分後、ようやく目的の場所に着いた
着いた場所は中央に高く大きく聳え立つ城。
それは現実の世界でもない程に巨大で広大な建築物だった。
私とミレーナは建物よりも高く飛べていないことに驚きつつも、適当な場所に降り立つ。

巨大すぎて広大な場所に降りてみると、人の姿はチラホラと見えるのみだった。
…それでも数千人規模で広場を闊歩しているのだが、それでもさっぱりしているように見えるから広い。


「お客様、本日はカードの館、本館【ヴィヴィーラ・クウィンテット】の城にようこそ。謁見する用件があればここでお名前のご予約ができますが…」

「ううん、私達は彼女とゲームがしたい、それもカードゲーム。もし予約が多くても異世界からの来訪者とでも言えば分かるはずだから、お願いしてもらうわ」

「…ヴィヴィーラ様に勝負なさるのですか?」


14歳ほどの見た目の少女は眉を曲げて聞き返した。それに対して肯定するように首を縦に降る私。
なんだか釈然としないまま、彼女はそのまま誰かと通信し始める。


「こちら167563号、現在東ブロック56階でお客人の女性2人がヴィヴィーラ様と謁見。カードゲームでの勝負を申請してきました……はい、間違いはないです、予約も多いのも分かってますが『異世界からの来訪者』とヴィヴィーラ様に言えば通してくれると言うのですが……え?本当によろしいんですかヴィヴィーラ様?……はい、ではお客人を特別遊技場に案内します」


通信を切るとかしこまって私たちに向き合う少女。


「今ヴィヴィーラ様と確認が取れました。次の予約全てをキャンセルして、あなた方を優先的にご招待します。どうぞこちらへ」



少女は深々とお辞儀をしてからすぐに背を向けて案内を始める。
私とミレーナはその後についていく。


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