世界を渡る私のストーリー
カードの館の人形姫4
それから1週間後。
あれだけ元気だった大魔導師が亡くなった。
いつも通りに起こそうとして肩を揺さぶるが起きず、おかしいと思って脈と鼓動を確かめて初めて分かった。
人の死というものに出会うのは初めてで、何度も起こそうとするが結局は安らかな顔で眠ったままだった。
後日、初めて家を出て大魔導師の死を国中に伝えた。
その日は国、隣国を巻き込んで大魔導師の死を悲しんだ。
人々が彼の成し遂げた偉業を口に唱え、同じ数の人々が彼の生き様やその人柄を語る。
葬儀は壮大な催しで行われ、参列者は万を超えた。
その参列者の最前、大魔導師が入った棺桶に寄り添う私が顔も知らない人々に「お気の毒に…」と慰めを言われる。
私は大魔導師の晩年の妻という体になっていた。
『私が死んだら妻のヴィヴィーラによろしく頼む』
見つかった遺言書にそう書かれていたからだが、最初の頃は誰も顔を知らない私に猜疑心の目を向けていた。
しかし、筆跡を調べてもらうと大魔導師本人のものだと分かり疑いの目はなくなった。
そうして、ただの人形である私は一人ぼっちになった。
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