外道魔王の降臨

きよひー

……スカッ

「ハハハッ勇者よ死んでしまうとは情けない!!」

 いかにも物語の悪者が、言いそうなセリフと高らかな笑みを浮かべるのは、魔王である。

 「クッ……まだだ!みんなこいつを倒して世界を救おうっ!!」

 「………………そ、そんな」

 そこには手足を縛られ、服だけを溶かすグリーンスライムに飲み込まれている仲間の姿があった。

 『…ッあ♥』


 『クッ…殺せ』

 「フハハハ!貰いましたお約束っ!」

 仲間は、全員戦闘不能。自分の魔力もあとわずかしかない。勇者一行にとっては魔王を倒し世界を平和にすることが、悲願だった。だが、現状は絶望的。本当ならこのまま負けて楽になってしまいたいのが本音だ。だけど負けられない。負けてたまるか。約束してきた…!家族と!皆と!この技が失敗したら終わりだ。これに賭けるっ!


 「うおおおおぉぉっ!!!エクスカリバー!!!」

 眩いくらいの閃光が刀身に宿り、全ての闇を打払う最高にして、最強の一撃。真の勇者のみが使えると言われる禁忌の一撃。おそらく魔王ですら存命することは不可能だろう。



 「ガハッ……よ…くも……」

 そこには血まみれでやっと思いで意識を保っているであろう魔王がいた。おそらくもう虫の息なんだろう。


 「よく…ぞ…さぁ、勇者…宝箱の鍵…を…。」


 魔王から宝箱の鍵を受け取ったあと、拘束された仲間を自由にした。

 『ねぇ!早く宝箱を開けてみましょ!』

 「そうだな!どんなアイテムが出て来るのかな!」

 モンスターを倒すと、たまにアイテムがドロップされることがある。それは沢山の金貨であったり、役に立つ魔道具であったりもする。それは強い魔物を倒すごとにレア度が上がる。そのこともあって勇者一行の期待は高まっていった。


 「じ、じゃあいくぞ……『ガチャッ』」












   「……………。」


 宝箱の中に入っていたのは、一枚の紙切れだった紙にはただ『スカッ』と書かれたものであった。

 



 「……ざけんなっ!!!!チッキショーっ!!!」

コメント

  • シュララP

    バニルじゃないか(歓喜)

    0
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