四獣神

狗井 ケモケモ

第8話 会議と休日と更なる問題

「今日もお疲れ様だな。飯作っとくから海で遊んでこい。チェックに頼んで沖まで行かないように」
《は~いわかりました》

そう言うと生徒達+αは海に向かって走る。朱雀はその様子を見て微笑みながら海の家(仮)に向かう。
しかし、その途中で

「スーちゃんなんかあなた宛に手紙がとどいたんだけど」
「手紙?...ちなみに何の動物で渡されたか聞いていいか?」
「白い狼だったわね。それがなにか?」
「...」
「スーちゃん?どうしたの顔が赤と青に点滅しだしてるけど。それ以上続くなら止めてね?ポリ◯ンショックみたいになるから」
「すまんな。明日から5日間でかけることになったから休日にしといてくれ。あぁそれと、最低でも三時間は鍛練の時間を作ってくれ」
「わかったわ。でも5日間もでかけるって長くないかしら?」
「...レインフォレストで会議が始まるんだよ」

そう言うとレヴィアはやや頬をひきつりながら朱雀に言う。

「その...ね?なんて言うか御愁傷様?」
「...雷撃ライトニング

朱雀は予備動作無しで魔法を撃った!
しかし、レヴィアにはあたらなかった!

雷針撃ニードルボルト」『続く二撃デュー』【三撃トロァ】《四撃カトル》〔五撃サンク
「ちょっと!それ卑怯!みかわしの指輪ないとよけれないじゃない!というか私に八つ当たりしないで!」
「オリジナル魔法【業火の狂想曲カルミナ・オブ・イグニス】」

炎の海が瞬く間に広がりだす。しかし、詠唱破棄で瞬時に張られた結界によって霧散する。レヴィアは氷魔法で自身を護っていたが

「ちょっと!こんなことしてる場合じゃないでしょ!白ちゃんたちにご飯作るんでしょ!早く八つ当たりをやめて」
「大丈夫だ、問題ない。なぜなら、分身体が作ってるからだ。だから、しばらく八つ当たりに付き合ってくれ」
「そっか~ってならないわよ!帰って来たらあなたの好きな海鮮丼作るから攻撃を止めて!」
「わかった。言質はとったから言い逃れできないから覚えておくように」

朱雀が言い終わると同時に魔法は止まり、霧散する。

「...ハメられた気がするんだけど、どうしてかしら?」
「気のせいだ。それとこれが今回の夕御飯のメニューだ」

今日のメニュー
・経験フグの刺身
・回復魚のたたき丼
・レインボードリンク
・魚の形のチーズケーキ

「結構普通に釣れるのばっかだけど...このレインボードリンクって何かしら?」
「飲む人によって変わる魔法の果実のジュースだ」
「それ飲むとハイッ!になったりしないわよね?」
「...大丈夫だと思う」
「ねぇ!その間はなに!しかも「大丈夫だ」じゃなくて「大丈夫だと思う」って不安になることを言わないでよ!」
「文句はジャックに言ってくれ」

うん。俺でもそれは...って思ったもん。だって虹色に輝く飲み物だぜ?オレンジや水色なら「みかんかサイダー?美味しそうだね」って言えるよ。なにいれた?って聞いても「疲労回復にいいウボの実と少しMP回復速度が上がるラモン草、数分自動回復オートリバイブがつくコロロの実、味を整えるクルシュ草を入れた」って言ったから効果は期待できるけど、虹色って怪しすぎない?

「それはそうとレヴィア、あっちで誰か呼んでるけどいいのか?」
「えっ?誰かしら?」

俺はレヴィアが後ろを向いた瞬間右手にレインボードリンクを持ち

「誰も呼んでないじゃなッ!」

レヴィアの口内へと流し込んだ。吐き出さないようにしっかりと手で抑えて。しばらく暴れてたレヴィアだったが、急におとなしくなり力を抜いてきた。よく見ると気絶していた

「...これを出すのはやめよう」



???

「届けてきました。家にいなかったので少々驚きましたが」
「ご苦労様。ほら約束のこんがり肉(特上)だ。味わって食べなよ?」
「ありがとうございます。我が君」

クランは口ではいい従者なのに、後ろの尻尾をぶんぶん回してるせいで台無しだよ。...しかも絶対気づいてないし、まぁそれがクランの魅力なんだと僕は思う。

「ほら、君の家族も帰りを待ってるだろうし早く帰ってあげて」
「ありがとうございます。それでは」

そう言うとクランは歩いて行き、扉を開ける前にこちらを向いて一礼し、執務室からでてく。...でてくまでずっと尻尾をぶんぶん回してたけど

「はぁ、一応手紙を渡したから遅刻はないと思うけどあの人の事だから従者を1人連れてくることを忘れてるだろうな。...頭痛薬ってまだ残ってたかな?」

1人頭を悩ませる僕っ娘なのであった。


翌日

「身だしなみよし、獣神カードよし、忘れ物なし。では、行ってk「ちょっと待ってスーちゃん」...なに?」
「手紙読んだけど、従者つれてかないの?」
「へっ?従者いるっけ?」
「いるわよ!ちゃんと読みなさいな」
「...じゃあ誰か来たいやついるか?」

そう声をかけると、素早く白が手を挙げる。

「じゃあ時間がおしてるし、行くか白」
「は~い」

空門スカイゲート

そう唱えると目の前の空間に亀裂がはしる。そして、パラパラと破片が落ちていき、空をあらわすようなきれいな水色の門ができた。
朱雀の真横に行き先を指定するパネルが現れ、行き先を入力すると門が開かれる。開かれた先には、朱色、白色、青色、茶色の四色の部屋があった。その光景に目をうばわれた白が興奮して先に中へと入る。そのあとに続いて朱雀が中に入ると、門が閉まった。逆再生のように破片が戻り、何事もなかったのように周りの景色と同化した。

「さぁ、5日間の休日おもいっきり楽しもうじゃない!最低三時間鍛練をしたら遊んでいいらしいから頑張りなさいよ~」
《はい!》



空門の先へと抜けた朱雀と白。その部屋にはその二人以外誰もいなかった。4つある窓の外では雨が降っている。

「わ~!朱雀さん窓の外すごくきれい!後で外に出ようよ!」
「そうだな。会議が終わったら観光するか」
「うん」

白が言い終わると同時に2つの亀裂が茶色の椅子と白色の椅子の隣にできる。

「玄じぃに僕っ娘久しぶりだな」
「おぉスー坊久しぶりじゃな。お主が早くk「朱雀さん!?どうしたんですか!熱でもあるんですか!」るなんて明日は隕石でも降るのかのう?」
「お前らは俺にどういうイメージがあるんだよ」
「「遅刻魔」」
「...揃って言うなよ。精神的ダメージでMP減るだろ」
「まぁそれはおいといて彼女は誰ですか?」
「妹」
「やっぱり従者でしたか。しかし、その年で...今なんて言いました?」
「妹」

そう言うと僕っ娘は信じられないものを見るような目で朱雀を見る。

「あなただけは信じてたのに、まさかロ...ロリコンになるなんて」
「いやいや!ちゃんと家族だからね?ちゃんと白からも了承を得たから。なっ?」
「そうだよ。朱雀さんはいつも白を助けてくれるんだよ!」
「そ...そうですか。ちゃんと食べさせてもらってますか?」
「うん!」

白が頷くと同時に青色の椅子の隣に亀裂ができ、腰に刀を差した巫女服姿の女性が現れる。

「集まったようじゃな。従者は椅子の左で立ってもらおうかの」

各々に椅子に座った四獣神達とその隣に立つ従者。白は朱雀の膝の上に座ってピシッと固まっている。

「今回は珍しく遅れたな青龍。」
「えぇ、この子が薙刀を忘れてね。」
「はぅ...申し訳ございません青龍様」
「いいのよ。貴女が忘れ物をするなんて前からだもの。」
「そうだな。...今日の議題はそれぞれの国とダンジョンについて立ったかな?」
「そうですね。では、まず僕から」



朱雀が会議にでかけて数分後

「は~い。今日から5日間休日にしていいと言われたけど、最低でも三時間は鍛練してから遊びなさいよ?」
「レヴィア殿、我はどうしたらいいか?」
「そうね~、ジャックは智幸達の指導をお願いするわね」
「心得た。では、これにて」

そう言うとジャックは智幸達を探しに出かけた。遠くに行ったのを確認したレヴィアは不安そうな顔をし

「魔法のことに関しては任せてもらってもいいけど、近接関係は考えているのかしら?ねぇ、ウァサゴ?」

自分の影に話しかけている様子を見て人は思うだろうこいつ頭大丈夫か?と。しかし、レヴィアはそんなの関係無い、というより気にしていなかった。しばらく時間がたったあと、返答が影から帰ってくる。

『そうですねお嬢。一応私は武術を嗜んでいますので生徒達にお教えしましょうか?ついでに男性の落とし方も』
「あら!やっぱりウァサゴは優秀ね。最後のはいらないけど」

ニュルンとレヴィアの影から金髪の燕尾服を着た男性が苦笑しながらでてくる。

『冗談ですよお嬢』
「貴方が冗談を言うなんて、明日は魔石が降ってくるのかしら?」
『面白いことを言いますねお嬢。では、そろそろ私に生徒達の紹介をしてもらっても?』
「えぇ、1時間30分まで貴方にお願いするわね。後は魔法で私がやるから」
『任されましたお嬢』

レヴィアとウァサゴは、生徒達のもとへ歩いて行きふと疑問になったことをレヴィアが口にする

「貴方って性別あったっけ?」
『悪魔は基本的に性別はありませんよ。高位の悪魔ならどちらにでもなれるみたいですが』
「...貴方って高位の悪魔じゃなかったかしら?」
『さぁどうでしょう?』

イラッとしたがここで怒れば相手の手のひらの上と思うレヴィアだった。



「特に問題は無いってことになりましたが、他に何か伝えることがある人はいますか?」
「あるぞ。k氏から送られてきた四人の転移者達と特S級の『白夢』が復活すると聞いたな」

その言葉を聞いた3人は感情が抜け落ちたかのような顔で朱雀を見る。白を除いた他の従者は主の変わりように驚いている。朱雀はその様子をみて苦笑しながら

「これより、『白夢』の討伐にあたってパーティーを編成したいが異論はあるか?」

誰も手を挙げず、沈黙をし続けるなか四獣神の3人から念話で質問が届く。3人の質問は同じで『お前の膝にいる子の名前と真名を言え』というものだった。朱雀はその答えを言う

。真名は******。この子は悪くない。今のところ健康で、ステータスもおかしなところはない。妹を殺そうって言うなら、それ相応のお返しを覚悟しろよ?』

白虎、玄武、青龍はなるほどと納得して頷いていたが内心では、朱雀の殺気に怯えていた。過去どれだけ見返しても朱雀の大切な者に手を出した者は全てこの世から文字通り消滅・・しており、転生の輪にも入れず無限の拷問地獄へと誘っていたからだ。拷問方法は様々な種類があり、代表的かつ、最も軽い罰である【風魔法により、下半身からじょじょに挽き肉にされるのを50回繰り返す】は神や超越者、四獣神でさえも耐えられないほどの気絶するような痛みを始終味わうものだ

「異論はないようだから各国の勇者と賢者、聖女、魔剣聖をレインフォレストに集めろ。瑞獣の麒麟、鳳凰、霊亀、応竜は我ら四獣神で呼びに行く。黄竜は』仕事があるから呼ぶのはなしだ。では、本日の会議は終了とする。翌日の7時にここに集合し、報告せよ。では、改めて解散!」

言い終わると同時にそれぞれの椅子の隣に亀裂ができはじめ、門ができる。そして門の中に入っていく。



王都グランアルト

王を起こすために、メイドが扉を開けようとすると、王の寝室の扉にとある貼り紙が貼ってあることに気づく
 
「これは...っ!グラン様!起きてくださいませ。獣神から手紙が届きました」

その言葉を聞いた王...グランは文字通り飛び起きてすぐさま手紙の内容を確認する。グランは手紙を読み終えると青い顔をしたまま命令を降す。
 
「今すぐ勇者達を集めよ。これは何よりも優先されるべきものである。詳しくは玉座の間にて話す」
「心得ました」

そうメイドが答えると扉から出ていき、扉が閉めるとやや小走りで勇者達が泊まっている部屋に向かう



とある火山の麓。そこに朱雀と白は来ていた

「朱雀さん。ここに鳳凰さんがいるの?」
「あぁ、ちょっと待ってろよすぐ会わせてやるから」

そう言うと朱雀は口笛を吹く。しかし、音が出ていないとこをみて白は不安になる。
時間にして約20秒後、クェーという声とともに空から熱気を放ちながら朱色の鳥が舞い降りてくる

『お久しぶりでございます朱雀様。今日はどんな仕事でございましょうか?』
「あぁ、『白夢』の討伐にあたって瑞獣を召集している。お前と『白夢』について知っている強い者を連れて来てくれ。何匹でも構わん」
『心得ました朱雀様』

そう言って鳳凰は朱色の羽根を数枚残して飛び立っていく。地面に落ちた羽根を白が拾い「朱雀さんの髪みたいできれい!」と嬉しいことを言ってくれた。まったく兄冥利につきるぜ!それよりも

「白さんや、観光しに行くかい?」
「行きます!行かせてください!」
「では、空門を開くから少し下がっててくれ」




レインフォレスト"神獣の間"

ギイィという音とともに先ほどまで会議をしていた部屋に到着する。朱雀は壁際にあるコントローラーに向かって歩きだし、↑←↓→A←→ABと入力する。ゴゴゴッという音とともに床が割れ、階段が姿を現す。

「わぁ~!よく分からないけどすごい仕組みだね朱雀さん!」
「そうだな~、これを造った職人に感謝しなきゃな。じゃあ先に下に降りてるぞ~」
「あっ!待ってよ~朱雀さん」





優に100段は越えている螺旋階段を降りきると何かの紋様が描かれた木の扉があり、その横に合羽と傘が置いてあった。朱雀は朱色の合羽を白に着させ、自分は傘をさす。
内開きの扉を開けると、雨が降っていたが気分を害する雨ではなく、むしろ雨のおかげで木や花等が神秘的な雰囲気を纏い、視るものを虜にするかのような鮮やかさだった。
思ったことを口にする白だったが目の前の風景に目をうばわれぼーっとしている。その様子に少し苦笑し、白の左手をそっとにぎり

「じゃあ行こうか白」
「えっ!あっ、うん。景色きれいだね!みんなにも見せたい!」
「あぁ、こんな景色を独り占めはいけないな。まぁ、【転写】の魔法があるからいつでも見せれるぞ?」
「転写のより実際に見たほうがもっときれいだもん」
「そうだな。実際に見たほうが綺麗だからな」
「...あいつにも見せたかったな」
「朱雀さん?」
「何でもないよ。ほら行くぞ」




他愛もない話をしながらレインフォレストを観光していく。様々な動物、植物を紹介した。そのどれもに白は感想を言い、早く次を紹介してと手を引っ張って走り出す。途中転びそうになった風魔法で体勢を直す
やがてレインフォレスト全体を見終わった白と朱雀は世界樹に戻ろうとしたが
クゥーーと可愛らしい音が鳴り響く。横にいた白を見ると平静を装っていたが耳を赤くして明後日の方向を向いていた。朱雀は

「白。今日はお前の好きな野菜増しスタミナ丼を作ろうか?」

と耳元で囁く。耳を赤くしていた白が今度は顔をも赤くして小さく頷く

「わかった。じゃあ家に戻ってすぐ作るから風呂入っててくれ」
「はい///」



?????

地下深くに封印されている棺に誰かが近づく。その誰かが一歩、また一歩と近づく度に棺は胎動を激しくしていく。やがてその誰かが棺に触れ吸い込まれる。吸い込まれたと同時に胎動は止まり小さく亀裂ができるその亀裂からは蒼い髪が見える。そしてまた棺は胎動を再開する。ゆっくりと胎動を始める。時には激しく、時には遅く胎動をする。
それはまるで自身の感情を表すように胎動しているそれは言う

『...いつ...かまたあな...たのも...とへ待って...て朱雀』





「ん?」
「どうしたの?朱雀さん」
「いや誰かに呼ばれた気がしたんだが気のせいか?」
「私には何も聞こえなかったから気のせいじゃない?」
「そうかなぁ?」
「それよりも早く帰ろ朱雀さん」
「あぁ、食材がないから買い物してからだけどな」
「は~い!」

世界中の誰もが思った。こんな戦争なき平和な世界がずっと続けばいいなと。しかし、破滅へのカウントが鳴り響く。カチリッ   カチリッとゆっくり、しかし、確かに進んでゆく。それを知るものはまだいない。



皆さんお久しぶりですってこれ毎回言ってる気がしますがきっと気のせいでしょう。ラストが鬱展開になりそうな終わり方かなと思いますが、そんなことにはしません!まぁ、茶番はここまでにして次回予告をしましょう。
次回は『番外編     蒼い髪の少女』です。今回の最後に出てきた蒼い髪の人がどんな人物だったのか、朱雀とどんなことがあったのかという物語です。番外編早くね?と思うかもしれませんが、私が忙しい時には番外編を投稿すると覚えてくれたら良いなと思います。
注意、続けて番外編を出すことはありません。
では、また次回お会いしましょう。ではバイバイ!

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