四獣神

狗井 ケモケモ

第7話 砂浜バトルには危険がいっぱい

最初からいきなりふたりも脱落者が出るとは予想してなかったけど、まぁこれでわかったことが1つだけある。レイシスは運が悪いということだ。
...罠を仕掛けたとはいっても、15~26個くらいだからね?三回連続で罠に嵌まるとは思わないじゃん?
確かに学校での生活は、転んだり、真横から流れ魔法をくらったりと不運なことがあったけど、さすがに運悪すぎない?...とりあえず気絶回復の魔法はかけたから目が覚めるまでにステータス見てみるか

レイシス・フォン・クロード

力50
魔力47
体力61
素早さ30
運9

うわぁ~、そりゃ運が悪いわけだ。運の数字によって未来が広がったり、狭まったりする。

運1~9    こいつはヤバい。関わると自分も巻き込まれる
運10~25    アイスの当たりが20回に1回出るくらい。まぁ気を付けろよ
運26~40    普通。アイスの当たりが10回に1回出るくらい。
運41~67    あれ?俺ちょっと運良くね?やったぜ!
運68~83    おっ?見つけにくい魔力の水を手にいれたぜ!
運84~99    危なかった~、たまたま当たったところが弱点で。クリティカルが出やすい。
運100    もう無理です。攻撃あたらねぇよ。全属性攻撃クリティカル

運100の場合はラッキーマンとかラッキーウーマンとか呼ばれるそうな。しかし、謎なのがらっきょうくったら100になるかと聞かれたことだな。それは置いといてそろそろ起きるころか

「おーい、起きろ~。これ以上寝てるとクロエが泣いちゃうぞ~。宗雪も響が泣いててもいいのか~。」

ピクッ

「...狸寝入りを続けてチェックの餌となるか起きて説教くらうかどっちがいい?」
「「説教でお願いします。」」
「はいよろしい。ジャックあとはよろしくな。」
「むっ!早速我の出番か。では、お主達の欠点を言おう。まずはレ...レイ...レイスンとやらお主の欠点は、体感の無さと詠唱のタメが少し多いところだな。
詠唱は、タメを作ってはダメだ流れるように詠唱しないとタイムラグが発生して1秒短くできたら勝てた試合が負けることになる。まぁ、要練習という事で。体感もしっかり鍛えろよ...お主なぜほうけた顔をしとるのだ?」
「いやなんて言うか、今までの先生は『もうお前無理だわ諦めろ運が無さすぎる』的なのを言われてきたもので。」
「はぁ?ちょっとその先生を呼んでこい。運はあげれるステータスだぞ?そもそもあげれないんなら表記すらしないという風にされているぞ?なぁ朱雀殿?」
「そ~だね~。そもそもステータスという概念を作ったの俺らだしね。あげられないものを表記するわけないじゃん。まぁ、隠れステータスというのもあるにはあるけどな。」

運があがる魔物はスライム系に多い。メタルなスライムとか、ゴールデンなスライムとかが運があがると言われているな。その頂点に神鉄スライムというやたら硬くて速い。100mを0.3秒くらいで走り抜けるとまでも言われてる。まぁ0.3秒は盛りすぎだけどな、実際は2秒だし。神鉄スライムはここまでにしといてだ

「だそうだぞ、レイスン。運はあげられるんだ。レベル20ごとに5あがるとも言われているから諦めんじゃないぞ!」
「判りました!と言いたいところですが、僕はレイスンではなくレイシスです。」
「むっ、それは悪かったなレイスイ。」
「...もういいや。」
「おおっと忘れるとこだった。宗明むねあきよお主の欠点は隠密を頼りきっているところだ。確かにお主の隠密は他の隠密持ちと比べてずば抜けているが、索的値が高いやつらからすると『バレバレすぎて笑えんだが』と言われる。」
「マジかよ。じゃあ隠密使ってもダメじゃん。」
「いや、ダメというわけではない。確かに隠密はばれるがそこに隠密蜥蜴ハイドリザードのマントとか、幻術を組み合わせて索的が得意なやつを翻弄するのが一般的な使われ方だ。お主の隠密とそれらが合わさったら世界一恐い暗殺者として働けるぞ。」
「じゃあ、素材と幻術を手に入れるまで熟練度あげときます。」
「うむ、頑張りたまえよ。」

そして欠点を言われた二人は各々に必要なものを集めに森へ向かう。



「フハハハハ!見よ俺の剣技を!『流水惨禍』」
「ちょ!なんで一本しかない剣が10本に増えてるでござる!ズルいでござるよ!」
「勝負にズルいも反則もあるか!勝ちか負けかそれだけだ!」
「その心意義は素晴らしいでござるが、拙者の腕は二本しかないゆえ奥の手を使わせてもらうでござるよ。」

そう言うと智幸は右手に持つ刀〔菊一文字則宗〕に風属性、光属性、雷属性、闇属性を籠める。そして智幸の周りに菊の花が咲き乱れる。菊の花は主を守るために、体へと貼り付く。菊の花が貼り付いた智幸、否、薄い桃色の鎧を着た智幸が姿を現す。

「確か寒菊の花言葉は『けなげな姿、真の強さ』だったでござるな。まぁ、それは置いとくとして行くでご「待て待て!なんだその姿!ズルいぞ!俺も変身したいぞ!」それを言うならそっちの方がズルいでござるよ!なんでござるか!空中を縦横無尽に飛びまわる8本の剣の方が色々とできるからズルいでござるよ!」
「うるさい!これを取得するのに1ヶ月かかったんだぞ!オートじゃ役に立たないから自分で操作してんだぞ!そっちの方が楽でいいじゃないか!」
「なにおう!これ使ってるとどんどんSPが減るんでござるよ!数分後には全身に骨折したような感じで倒れるんでござるよ!」
「『崩雷激』!」
「菊一文字、一の刀『覚めうるは明日の頃に』!」

ジャミラミは、剣を雷化させ右斜めに斬り払う。
智幸は、居合の構えをとり刀を抜く。その刀身は微かに歪んでみえる。       ガギャーン!
剣と刀のなる音ではない、明らかに剣と刀の域を越えているがどちらとも折れるは無いにしろ、ヒビ1つも入らずに凄まじい速度で剣撃の応酬を繰り返す。
逸らされたら、二ノ太刀、三ノ太刀とすぐさま相手に攻撃をする。その二人の姿はまさに龍と虎。
二人は徐々に闘いのギアを上げていく。...反動で周りのに衝撃波を与えていることに気づかぬまま



ジャミラミと智幸が戦っているなか、少し離れたところではクロエとモノリンが徒手空拳で戦っていた。

「あなたのご主人様はずいぶんと戦うのが好きみたいね!」
「それは褒め言葉として受けとりますね!」

普通に話し合っているように見えるが殴る、蹴る、掴む等様々な拳術が繰り出されている。1つでもミスれば相手の思うように動かされてしまう。魔法を撃ち合うよりも速く、鋭く考えて動かなければならない。1秒でも速く相手よりも先に、しかし、焦ってはいけない。判断力を失ってしまうからだ。
二人に氷の礫が飛んで行く。しかし、彼女達にはとどかない。なぜなら、炎の壁とぶつかったからだ。だがそれで充分だった。煙が彼女達を包み込み、お互いの姿は見えなくなる。しかし、モノリンの四肢は魔法によって属性を付与されており、視界が悪い煙の中でも視認できた。
クロエは走りだした。途中で認識阻害の魔法を唱え、この最初で最後のチャンスに思いを込めて

「『獅子雷王拳』!」
「っ!   舐めないでくださいね!」

正拳突きのように繰り出されたクロエの右腕には雷が付与され、手の甲に獅子の姿が浮かび上がる。
しかし、戦闘慣れをしているモノリンは反応が遅れたものの、すぐさまその攻撃に対応しようとする。
                ガンッ!!!
多数の雷が近くで落ちたような、そんな音が煙の中からする。...そして、煙は晴れていく。倒れている者が視認できるようになると、朱雀は倒れている者に歩みより

「モノリン対クロエ、勝者おらず!よって引き分けとする!」

そう言うと朱雀は両肩に少女達をのせ、集中治療室に急ぐ。片方は、腕に火傷を。もう片方は、火傷と部位欠損に近いケガを。モノリンの腕はもう使えないほどまでに、黒く染まっている。すぐさま台にのせ、最上位の回復魔法をかける。

癒しの伝道師セレスよ、そなたの御力を、大切な者、愛する者、家族、仲間、我の親友を救うための、癒しの御力を今ここに顕現せよ

ハイレストヒーリング

逆再生するかのように火傷と黒く染まった腕が治っていく。

「よし!治療完了だな。やっぱりこの範囲回復魔法を覚えておいて正解だったぜ。レヴィア!二人に調律の魔法をかけておいてくれ。」
「わかったわ!」

そう答えるとレヴィアは、調律魔法を唱える。二人の体に調律魔法式の文字が浮かび上がる。文字は彼女達の周りを何周かすると張りつきだす。そして、文字は消え、また新しい調律魔法式の文字が浮かび上がり、張りついていく。

「...異常はなさそうだな。お疲れレヴィア。後でアイス作っておくから食後に食べといてくれ。」
「あら?気がきくじゃない。でも今はそんなy「違うものにしろってんなら、無しになるけど?」なんでもないです!」



時間はやや遡って(響目線)


いや~、冒険者とニャて前衛のありがたさは身にしみてるんだけどもニャ。それでも、打ち合う度に火花が散るってありえニャいと思うだニャ。ほら、うちのモノリンさんのご主人様の...智幸さんだっけかニャ。
刀って側面に弱いと思うのだけれども、側面を盾にしたり、受け流しに浸かったりしてるニャ。絶対折れると思った攻撃でも折れニャいって刀の強度がおかしいんだと思うニャ。デバフのレジストや強化するのにも時間がかかるっていうのに、詠唱破棄を使ってようやく追いつけるって、大変なんニャからね!だから、これはもうマタタビ酒を飲ませてもらわニャきゃいけないと思うニャ。

「そういえばモノリンさんのとこ見てニャかったけど大丈夫かニャ?」

軽く辺りを見回すと、ヤバい光景を見たニャ。思わずうわぁとか、言いそうにニャちゃったニャ。だってニャ、素手で殴りあってるとこ見てニャにか言えると思うかニャ?

「とりあえずもう一回バフを!?」

魔法職についていないとわからないであろう魔法の発動時の魔力が向こうの、もっとはっきりいえば、白から漂う。そして、ギリギリ視認できる速度で氷の礫がモノリンに迫っているのを確認できた。
響はとっさに炎の岩壁フレイムウォールを氷の礫の前に作り出した。それによってできた煙が辺りを包み込み

「獅子雷王拳!」
「っ!   舐めないでくださいね!」

煙の中に黄色のまばゆい閃光がはしっていた。防御魔法を唱えたがパリンと防御魔法を破られる。しかし、それによって隙ができたためモノリンは助かった。
ガードができたことによって、腕だけに攻撃がいくようにできた。しかし、響は自己嫌悪に陥っていた。突然氷の礫がきたとはいえ、もう少し使う魔法を選べなかったのか?自分でモノリンを窮地に追いやった。とそんな風に考えてしまう。

「響!お前のすべき事はなんだ!そんな風に自己嫌悪に陥っていることか!」

その言葉に響は身震いをする。
響......響の......すべき事は

「響のすべき事は!みんなのサポートをする事ニャ!そして、守ることニャ!」
「あぁそうだ!俺ができなかった仕事をお前に任せる!お前はできる!頑張ってこい響!」

わかったニャご主人!
響は声にすることはなかったが宗雪は二人だけのサインを出した。その意味は『全力をだして遊んでこい』というものだった。それを確認した響は四重詠唱カルテットをしだす。すべては勝利のため、ご主人のため、そして、自分のために響は全力を出した。



斬りあっていた智幸とジャミラミはつばぜり合いに移行していた。

「お前強いな。ここまで斬りあえたのは初めてだぞ。いつもすぐに相手がたおれたからな!」

自分の持っている剣に力をいれ、相手におしつける。

「それは喜ばしいことでござるな!」

SPはどんどん減っているが、自分の持つ刀に魔力を籠め、おしかえす。
そして、それは突然やってきた。智幸が一歩前に踏み出したとたん、突風が吹き荒れる。鎧を着た智幸は吹き飛ばされはしなかったが、ジャミラミは10mほど後退してしまう。智幸はそれを確認すると

「裏菊一文字、三ノ刀『幻影は現実となるリ・ベーラ・アウテム』」

ジャミラミの周辺に様々な武器が顕れる。それは手甲だったり、斧だったり、弓だったりと多種多様な武器が連携を組んで攻撃を仕掛ける。

「なっ!?お前だってできるじゃねぇか!俺より便利そうなのを!軍魔拳術マーシャルアーツ『即応反射・激』!」

そう文句を言いつつ、ジャミラミは対応を始める。逸らしたり、わざとくらいその反動で次の攻撃をよけるといった防御や、攻撃を仕掛け壊そうとしたりした。
しかし、智幸の任意によって現実にあったものは幻影となったり、幻影だったものは現実に顕れる。しばらくの間対応していたジャミラミであったが

「もう無理だ。俺は降参リザインする。」

そう言うと、現実にあった武器たちは幻影と変わり、消えてゆく。

「拙者もでござるよ。もう意識を保つだけで精一杯でござるよ。」
「両者の降参リザインを確認。よって智幸とジャミラミの試合は引き分けとする。」
「では、我の出番だな。ジャミラミよ。お主は慢心しすぎだ。お主が最初から本気を出せば智幸を早々に倒せて他のものに攻撃できたのではないか?そして、智幸お主もだ。お主は己の力を過信しすぎている。だから、お主らにはこの言葉を贈ろう。『己の力を信じるな。どんな相手でも全力をだし、己の限界をこえよ』
今言った言葉を忘れる事のないように精進せよ。」
「「わかりました。」」
「それでよい。あとは...これを飲め。我特性の栄養ドリンクだ。」

ジャックが取り出したのは、虹色に光輝く栄養ドリンクなるものだった。その栄養ドリンクなるものはコップの中で動いていた。

「どうした?飲まぬのか?これを飲むと体力、魔力、SPが回復するぞ?」

二人はお互い見て、意を決した。二人は同時に飲むと前に倒れ気絶した。



後衛の魔法使いしか残っていない戦場。その戦場は、今までの戦いよりも白熱とした戦いをしていた。
どちらとも詠唱破棄を覚えているため瞬時に魔法を撃てる。しかし、それでも差はあった。
白は三重詠唱トリプルキャストまでしか覚えていないため同時に3つの魔法しか撃てなかったが、魔法の威力としては相手よりも上だった。
響は四重詠唱カルテットでき、白よりも数が上だったが、それぞれの威力は白よりも弱かった。

地獄の業火ヘルファイヤ」『氷河の棘道フロストペインテッド』【雷電砲銃プラズマガン

どれも範囲攻撃を可能とし、1つでも当たれば一瞬にして戦闘不能にする魔法を白は使う。

正確なる衝撃ナル・アクラータ」『殲滅せし刃フェルミ・アド・シ』【蹂躙する風ベントス・スイ】《拘束せし氷の蔓ビネア・シ・イリガトス

追尾、範囲、拘束魔法。こちらも1つでも当たれば危険な目にあう魔法を響が使う。
様々な魔法が戦場を駆け巡る。白の氷の棘道が、響の拘束せし氷の蔓がお互いを拘束し、傷つける。
響は魔法によって気絶し、白は氷の蔓によって行動不能にされ、魔法を撃てば自分がダメージをおってしまう状況になった。

「この勝負、両者共に引き分けにより、両チーム引き分けとする。響は暖かいところに、白は魔力マナポーションを飲むように。」



1時間後


海まで来て鍛練だったがこの試合により各々の目指す目標、力を再確認できたと俺は思う。そして俺は皆にこういう。

「よ~しお前ら!今日の・・・鍛練は終わりだ!あとは自由時間だ!存分に遊んでこい!」

そう言うと皆は海にむかったり、岩場に行き釣糸を垂らしたり、砂遊びをし始める。やはり、子供の元気な姿は癒される。1人ハイテンションすぎるのがいるが危ないことをしてないなら大丈夫だ。智幸たちも楽しめてるようでなによりだ。
そう思っていると、白がボールを持ってこちらに走ってきた。

「お兄ちゃん一緒にバレーボールしない?」
「おっ!いいねいいね!レイシス、クロエ、レヴィアと智幸たちも誘うか!」
「うん!」

白は笑顔で返事をした。
その白の笑顔は今日一番光輝いていた。



どうもみなさんお久しぶりです。狗井 ケモケモです。
今回のは結構戦闘描写頑張っていたな~と感じました。戦闘描写は書いている人によって変わっているので難しいなと感じましたがどうでしたか?人によってはこれおかしくない?と感じる人もいると思いますが作者のレベルが上がるのをお待ちください。
さて次回は今回書いた話の6日後辺りを書こうと思っています。サブタイトル的には『生徒達の休日?』を主とした話を予定しています。
最後の魔法戦はなんか雑だなと書いた私でも思うようになりました。改めて、作者のレベルが上がるのをお待ちください。では、みなさんまた来月にお会いしましょう。それでは、バイバイ!

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品